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zoom RSS 高山の町家で曲がった松を使うか(2) 曲がった木を柱に使うと上からの荷重で折れないか?

<<   作成日時 : 2014/09/17 10:52   >>

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[第295回]高山シリーズ第2回(17)
【26】-10 高山の「民家」 10
《10》-2 高山の町家では柱に曲がった松を使っているか?  実際にありえない「民家」造りはカッコいいか? (2)
[3]  チムニー(株)http://www.chimney.co.jp/ が運営する「はなの舞」「花の舞」「炎」などの居酒屋は「高山の民家風」らしいのだが、あまり正確なものでもなくけっこういいかげんだ。 私は「はなの舞」「花の舞」「炎」などの店をチムニー(株)に入社前に何店か見て回り、入社後は仕事で、新規開店予定の店の仕上がり具合を見て回った。 火鉢などが置いてあったりする店があるが、考えてみれば、我が家にも昔、あったように思うのだが、使うことがなくなって廃棄した。そういったものを骨董品屋で購入してきて置いたりしているらしい。 古材は古材屋で購入し、建具なども古材屋で購入するが、今現在の人間が使うには寸法がふさわしくない場合があり、特に、高さを足したりしている。 それらはなかなかよく考えていると思う。 しかし、なんじゃ、こりぁ〜〜あ・・・・・というものもある。

    ある店で、松の丸太張り(野物)として使用されていた松梁を縦にして、下から上に立てて柱のようにしていたので、これはいったいどういうつもりなのかしらん? と疑問にも思い、不思議にも思った。 まがりなりにも、「1000万円超プレーヤー」ばかりの「高額選手」の「デザイナー」が設計した店で、なぜ、このようなものがあるのかしらん?  そこで、「はなの舞」「花の舞」「炎」などを経営するチムニー株式会社の建設部にいた時、慶應日吉新図書館を槇文彦の名前から評価した (おっさん+おにいちゃん)÷2 に話してみたのだ。 「松の丸太張りを縦にして柱のようにして使うということはしませんね。 あれはちょっと変ですね」と。 すると、私は、「ああ、あれは、ちょっと、ねえ」とでも言うとこちらは思っていたのですが、ところが、彼は、「いや。あの曲がっているのがいいんですよお。」と、そう言ったのだ。 へ〜んなの。
    松の丸太張りは、凸になった方を上にして入れると、アーチ橋と同じ状況になり、上からかかる荷重にたいして下から上に戻ろうとする力が働き威力を発揮するとされる。
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杉山英男『地震と木造住宅』(丸善)では、東京のJR中央線・総武線「御茶ノ水」駅の北側の聖橋(ひじりばし)(ジョサイア=コンドル設計のロシア正教のニコライ聖堂が南にあり、湯島の聖堂が北にあるので、2つの聖堂を結ぶということで聖橋と言うらしい)↓をアーチ橋の例としてあげ、丸太張りがこれに似ていると指摘されている。
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↑ 聖橋(ひじりばし)。 右手(南側)に見えるプラットホームがJR[御茶ノ水」駅。 手前から向こうに流れる川が神田川。

  又、松材は、ねばりがあるということで梁に向いているとされる。 それに対して、柱は上からかかる荷重をしたに伝える役割の材であり、まっすぐの方がいいはずなのだ。 桧・杉などが柱材として使われるのも、桧や杉はまっすぐに伸びる木だからということがあり、桧は、圧縮・引っ張り・曲げ・せん断のすべてに強いが特に圧縮に強い木で、上から下へかかる圧縮荷重に抵抗するにはふさわしい木だとされる。 もしも、柱に曲がっている木を使ったらどうなるか。 
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   だから、柱には一般に曲がった木は使わない。 但し、「適材適所」として、曲がった松の丸太は梁として使う。 「適材適所」とはうまく言ったものだと思う。 柱でも、例外として、床の間の床柱は曲がったものを使うことがある。これは、床柱は構造材ではなく、飾りだからだ。 但し、床柱でも、飾りであって荷重を受けない床柱と、構造材を床柱にする場合とがあり、構造材を床柱にする場合は、曲がったものは使わない。 栃木県宇都宮市のJR宇都宮駅のすぐ西にある旧篠原家住宅では、構造材の柱は欅(けやき)で、2階に座敷があって、2階の座敷の床の間の床柱は1階から2階に通しの欅の大黒柱が床柱を兼ねている。 篠原家住宅の床柱は通し柱・大黒柱でもあり、構造材としての柱であるので、曲がっていない。
   それで、松の丸太張りは、上の凸になるように入れれば上からかかる荷重に対して抵抗するし、角材の梁と違って、繊維がとぎれていないという点から強いのではないかと言われるが、柱として使うことはあまりないはずだし、私は見たことがない。 「はなの舞」で疑似柱として内装に使っていた松丸太は、かつて、梁として使われていた古材らしく、かつて、使われていた時の仕口が残っている。 そんなものを柱のように縦にして設置して、何が面白いのだろう。 その古材がかわいそうじゃないか・・・と私は思ったのだが、「1000万円超プレーヤー」「高額選手」の「デザイナーの先生」は、「そ〜れがいいんですよ。 その曲がっているところが。」とおっしゃるのです。 いいか?  実際にありえないような造りを、鉄筋コンクリート造のビルの貸室の内装としてのものだから、建物を支えることはないから、それで建物が倒壊するとかいうことはないとしても、地べたに建てる場合にありえないような造りをするのが、それが、いいか? 「そ〜れがいいんですよ」て、そんなこと、誰か思うか? 少なくとも、木構造について、多少なりとも真面目に学習した者や、自分自身が「民家」「古民家」と言われるような家に住んだ経験のある人なら、いいとは思わないと思うのだ。 「な〜んだっぺえ。これえ〜え!」と思うのではないか。
   私は、今まで、「民家」「古民家」「◇◇家住宅」と言われるようなものとしては、千葉県の鴇田(ときた)家住宅(習志野市実籾)、大沢家住宅(長生郡にあったものを、習志野市の藤崎森林公園に移築)(https://www.city.narashino.lg.jp/shisetu/koenshiseki/kyuosawake.html )、安西家住宅(木更津市)(http://www.city.kisarazu.lg.jp/13,997,35,236.html )や、先の宇都宮市の篠原家住宅(http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/bunka/geijyutsu/002266.html )、栃木県では佐野市の田中正造生家(http://www.sano-kankokk.jp/tour_guide/atrct/tg_atrct_004.html )、福島県の大内宿(http://ouchi-juku.com/ )、福島県いわき市のいわき市暮らしの伝承郷(http://www.denshogo.jp/ )、北茨木市の野口雨情生家、栃木市の塚田歴史伝説館(http://www.kuranomachi.jp/spot/kuranomachi/tsukada/ )他の蔵の建築、その他、小金井市の江戸東京建物園(http://tatemonoen.jp/ )、愛知県犬山市の明治村(http://www.meijimura.com/ )にある建物、など時間がとれれば、足を運んで見てきました。「◇◇家住宅」として一般に公開されている建物でなくても、住宅建築業に携わる者としてお施主様のお宅、見込客のお宅に何軒も訪問してきましたし、建替えさせていただいたお宅には、江戸時代や明治初期からの建物もありました。 曲がった松を丸太張りに使っている家は見ましたが、しかし、丸太張りに使うような曲がった松を柱にしている家というものは、今まで見たことがないのです。 いわき市で仕事をした際に、建て替えさせていただいたお施主様の家にも江戸時代や明治初期から建っていたものもありましたし、話がまとまらなかった方でもかなり古くからの家に住まれていた方はありましたが、柱というものはまっすぐに立っているもので、曲がった木をわざと柱に使って、「こ〜れがいいんですよ。曲がっているところが」などという家は見たことがないし、そう言う人と出会ったこともなかったのです。 私が子供の頃に住んでいた家にしても、大阪万博の1970年頃、築30年でしたから、今は他の方が住まれていますが現存しており、その家にしても今現在では築74年になるわけですが、柱はすべてまっすぐな木で曲がった柱をわざと使って、「こ〜れがいいんですよ。曲がっているところが」なんて言ってなかったのです。 親戚の家とか友達の家とかに行った時、同じくらいの築年数の家もあったのですが、やはり、柱はまっすぐなもので、曲がった木をわざと柱に使ったりはしていなかったのです。 チムニー株式会社に入社した時、同社が高山の民家の民家風を内装にしているということで、学習用に買って見た藤井恵介監修『日本の家2 中部』(2004.5.28. 講談社)に写真が掲載されている岩佐家・中村家・田邊家(非公開。田邊家は「店舗には入店可」と書かれているので、下三之町のどこかの店舗でしょうけれども、どこかはわからない。)の写真を見ても、吉島家の写真を見ても、高山の少し北の古川の三塚家・西村家・村坂家(非公開)の写真を見ても、曲がった柱なんか、どこにもない。
   阪神大震災の時に、柱が折れたという家もあったようですが、柱というものは、真上からかかる荷重にはけっこう強いもので、折れたのは、筋交いが十分に適切に入っていなかったり、貫式の木造で十分な耐力がなかったりで、柱が斜めになったところに上から荷重がかかって折れたのではないかと思われます。真上から押さえつける力で柱が折れるということはめったにないはずです。 ところが、わざと曲がった木を柱に使ったとしたら、大地震でなくても、折れるような力が上から柱にかかるということになります。 なぜ、わざわざ、そんな危険なことをしなければならないのでしょうか。 そんな危険な家が「こ〜れがいいんですよ。この曲がっているところが」と言うでしょうか?
   そんな、実際にありえないような内装がいいか? というと、いいわけないと思うのです。 たとえ、鉄筋コンクリート造の建物の中の内装としてのものであっても、地べたに建てる場合でも建つように造るべきだと思うのです。地べたに建てる場合にありえないような内装が、「こ〜れがいいんですよ」などということがありうるか? というと、ないと私は思います。 「なんだっぺ〜え、この変なのお〜お」というのがオチだと思います。
   しかし、理屈からいけば、曲がった木を柱に使う理由はないとしても、又、私が今まで見学した家で、曲がった柱を使っている家はなかったとしても、理屈に合う合わないと別に使っている家があって、私が見たことがないだけで、世の中にはあるという可能性だって、絶対にないとはいえないかもしれない。 「はなの舞」「花の舞」「炎」の内装の原型だという高山の民家で使っている家が、たとえ、1軒でもあるのだろうか。それで、今回、その確認のために、高山市の「民家」を見て回ったのです。 今回、高山市で、松本家住宅(上川原町)・宮地家住宅(大新町)・平田記念館(平田家・「打保屋」)(上二之町)・飛騨民族考古館(藤井家→坂本家)(上二之町)、それに飛騨高山まちの博物館(上一之町)の矢嶋家土蔵・永田家土蔵を見学しました。 今回は3回目の高山訪問ですが、1回目の時に、日下部民藝館(日下部家)(大新町)・吉島家住宅(大新町)を訪ね、飛騨の里(http://www.hidanosato-tpo.jp/top.html )の民家も見学しました。 2回目の時には、白川郷に行き、和田家・明善寺他見学させていただきました。 しかし、どこに行っても、曲がった木を、曲がった松を柱に使っている家は1軒もありませんでした。 私の認識は間違っていなかった、と考えていいと思います。 やっぱり、私の2倍も3倍も給料とってる「デザイナー」様の認識の方が間違っていたのだと考えさせていただいていいと思います。 「建築家」とか「デザイナー」とかいう人たちというのは、そんなものなのだろうか。
  (2014.9.17.)
  
   次回、高山シリーズ第2回(18) 高山の町家で曲がった松をわざわざ柱に使うか?の3 http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_20.html もご覧くださいませ。

☆ 高山シリーズ第2回は、
(1)国府町村山天神参拝(1)上枝駅から宮川沿い http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_2.html
(2)国府町村山天神参拝(2) http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_3.html
(3)国府町村山天神参拝(3)浸透桝で雨水処理、赤松は赤い http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_4.html
(4)あじめ峡、あじか、廣瀬神社、国府小学校http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_5.html
(5)国府大仏、阿多由太神社http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_6.html
(6)飛騨国府駅周辺。「耳付片流れ屋根」http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_7.html
(7)松本家住宅上・ヒラノグラーノhttp://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_8.html
(8)松本家住宅下・宮地家住宅上http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_9.html
(9)宮地家住宅下・平田記念館http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_10.html
(10)飛騨民族考古館1 http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_11.html
(11)飛騨民族考古館2 http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_12.html
(12)飛騨民族考古館3 http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_13.html
(13)飛騨民族考古館4 版画喫茶ばれん、質屋の入口から逃げていく裁判官 http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_14.html
(14)飛騨高山まちの博物館(矢嶋家土蔵、永田家土蔵)http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_15.html
(15)東西反転プランでは玄関だけ移動するのか、全体が入れ替わるのかhttp://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_16.html

〔(16)〜(20)の前提として、権威主義的パーソナリティーの「デザイナー」が「建築家」の名前だけで敬意を表した慶應義塾大学日吉(新)図書館について http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_17.html 〕
(16)高山の町家で曲がった松をわざわざ柱に使用するか? 1 JR日光駅はフランクロイド=ライトの設計でなければ価値はないか? http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_18.html
(17)高山の町家で曲がった松をわざわざ柱に使用するか? 2 今回。
(18)高山の町家で曲がった松をわざわざ柱に使用するか? 3 掃除しにくい細かい桟、マーケティング的発想のない店 http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_20.html
(19)高山の町家で曲がった松をわざわざ柱に使用するか? 4 料理を出せないついたて、店のコンセプトが理解できない建設部長、日露戦争100周年と平気で口にする女性 http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_21.html
(20)高山の町家で曲がった松をわざわざ柱に使用するか? 5 「酒が飲めない人にも飲める酒」を勧められない「日本酒ソムリエ」、 人事総務の最低スキル http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_22.html

(21)飛騨総社 他 http://shinkahousinght.at.webry.info/201409/article_23.html

☆ 高山シリーズ第1回 は、
上 [第202回]《飛騨天満宮(高山市)‐冤罪を晴らす神・菅原道真・怨念を晴らす旅(12)上、松本家住宅、飛騨の家具館他》http://shinkahousinght.at.webry.info/201309/article_7.html
中 [第203回]《飛騨天満宮(高山市)‐冤罪を晴らす神・菅原道真(12)中。「天神」考察。居酒屋はいいかげん。》http://shinkahousinght.at.webry.info/201309/article_8.html
下 [第204回]《飛騨天満宮(高山市)下‐冤罪を晴らす神・菅原道真(12)。高山市の白山神社。高山市役所。》http://shinkahousinght.at.webry.info/201309/article_9.html 
です。 ぜひ、ご覧くださいませ。 


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