ツーバイフォー工法の構造現場と考察(2)~千葉市緑区・W様邸

〔第10回〕
    新華ハウジング有限会社(千葉市)が、千葉市緑区土気(とけ)で、ツーバイフォー工法により建築させていただいているW様邸です。 ↓ (2010年 2月 13日)(南側) 
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   南道路の南北方向に長辺がある整形の長方形の敷地で北寄りに建てており、かつ、南側の道路の幅が十分にありますので、完成して入居された時には、日当たりの良いお家になることと思われます。 前面の道路は、主要な県道の大網街道からこの分譲地に入ってくる道で、道路幅はあってもクルマはこの分譲地に関係のあるクルマ以外はあまり入ってこない道なので、自分の敷地の庭だけでなく、前面の道路も借庭のような性質をもち、住み心地のよいお家になるかと思います。
   もっとも、北道路の敷地のお家と比較するならば、どうしても、南道路の敷地のお家というのは、庭のプライバシーを確保しにくいという面はでてきますが、もしも、庭の部分にプライバシーを確保したいということであれば、たとえば、前面の道路との間に樹木を植えるとか、もしくは、完全に見えないわけではないけれども、道路側からの視線に対して心理的な防禦となるというようなフェンスを設置するなどの方法があるかと思います。

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   ↑ 大網街道西側から。

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   ↑ 大網街道東側から。

   この工事現場には、北側に会社名の入った「イメージシート」が貼られているのですが、千葉方面(東側)からも、大網方面(西側)からも、まったく見えません。 古くからの集落より大網街道に合流する北側の道よりは見えるのですが、なぜ、わざわざ、クルマが通る主要な方向と平行につけるのかなあ・・・という気が私はいたします。 運転席から見て正面に見えるように貼ればよく見えるのに、それに対して、横に貼ってあっても、運転者は他のクルマや歩行者や交通標識を見ないといけませんから、正面なら嫌でも視野に入ってきますが、横の、しかも、運転席の高さよりもずっと上となる位置では見えません。 歩道を通行する人からも同様で、人間の眼・顔・頭の構造というのは、真正面より上と下では、下は苦労なく見えても上を継続的に見るのは苦しいようにできており、横の上の方というのは、わざわざ見ようとして見上げなければ見えないのです。
   住宅建築の会社は、建築工事現場に、会社名の入った「イメージシート」を掲示することが多いのですが、「イメージシート」や看板は、何の為に掲げるかというと、工事には何種類もの職方が入るので、その職方や運送業者が工事現場に来た時に場所がわかりやすいようにという目的があり、実際問題として会社の宣伝になるという効果もありますが、 会社名の入った「イメージシート」や看板を掲げるというのは、この工事現場は、●●ハウジング(△△建設、◇◇工務店、☆☆ホーム、▲▲ハウス)が工事をおこないます、もしも、問題点がございましたら御指摘ください、間違いのない施工、間違いのない工事の進行をおこないます、もしも、問題のある施工、問題のある工事の進め方をおこなった時には、非難を受けても異存はないという覚悟でおります、という宣言であり、その点で、「イメージシート」や看板を出さずに工事をおこなう業者よりもお施主様にとって頼りがいのある会社といえるのではないかと思います。 私の家の近所で建売分譲をおこなった某社などは、「イメージシート」も看板も「建築確認票」も出さず、近隣挨拶もおこなわずに工事を強引に推し進めて売り逃げしましたが、工事の進行は問題だらけでした。 (「イメージシート」や看板は任意ですが、「建築確認票」を出さずに工事をおこなうのは建築基準法違反です。) 〔 私の家の近所の建売分譲で、某社が「建築確認票」も出さずに近隣挨拶もおこなわずに問題だらけの工事を進めて売り逃げしたというのは事実であって、決して「中傷」ではありません。〕 もっとも、小規模な工務店の場合は、「イメージシート」を用意していない会社もあり、会社の規模が小さいか大きいかというのは、小さい会社であるから大きい会社であるからという理由で、施工の内容が良いということもなければ悪いということもないので、「イメージシート」を用意していないからという理由で施工の内容が悪いとは決まりませんが、間違いのない施工、間違いのない工事の進行をしますと宣言した上で工事を進める姿勢を示すということで、「イメージシート」などは掲げた方が良いと思います。
   それから、工事看板と「イメージシート」は意味が同じではありません。 「イメージシート」は、建物の骨組みができるころに足場にかけるものであり、足場ができなければ「イメージシート」はかけられません。 看板や「イメージシート」は何の為に掲げるのか、という根源的な問題を理解しなければなりません。会社の宣伝になるという効果も実際にあるでしょうけれども、それ以前に、各職方・工事業者・運送業者に間違いなく自社の工事現場に行ってもらう為ということが第一の目的であるはずなのです。私がかつて在籍した某社において、相当前のことですが、分譲地で、工事業者が建築地の場所を間違えて一筋違いの場所に地盤補強工事をおこなってしまったということも現実にあったと聞きます。それは、現場案内図が適切なものであったかどうかという問題もありますが、工事現場に看板を設置していたかということも原因として考えられます。「イメージシート」は足場ができなければかけられませんし、足場にかけるものである為、建物の各面に沿った方向にしか掲げることができません。それに対して、工事現場看板は、建物の骨組みができていなくても、地面に建てるものなので、場所があれば、どちらの向きにも建てることができるもので、主要道路のクルマの進行する方向に、運転席から見えやすいように垂直に立てるのが基本です。 工事看板は、まず第一に、職方・工事業者・運送業者に間違いなく工事現場にたどりついてもらう為の物であり、自縄張りの時、もしも、地鎮祭をおこなうのであれば地鎮祭の後、という時期に設置するべきものです。それをおこなっていない営業担当者は、その部分については職務怠慢という評価を受けてもしかたがないのではないかと私は思います。又、こういったことをお施主様に説明のできない営業担当者は、最終学校卒業直後の新人ならともなく、何年か経験を経た人間なら、営業として情けない、営業としておかしい、住宅建築の営業と言うに値するかどうか怪しいと言うしかありませんね。

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    ↑ 1階部分。

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    ↑ 2階部分。

   「ツーバイフォー工法(枠組壁工法)は地震に強い」といったことを言われることがありますが、在来木造と比べて「地震に強い」と言われる原因は何かといいますと、
(1)ツーバイフォー工法が日本で建てられるようになる前から在来木造は建てられており、相当に古い建物は、たいてい、在来木造であり、相当に古い建物と新しい建物であれば、相当に古い建物の方が腐り・白蟻の被害にあっている建物の割合が大きい。
(2)戦後、建築基準法は何回か改正されており、そのたびに、構造の基準は厳しくなっているので、古い建物と比較的新しい建物では新しい建物の方が、厳しい構造基準で建てられているものが多い。
ということがあります。

   又、「オープン構法」と「クローズド構法」ということも考える必要があります。 「オープン構法」とは、基本的には誰が建てても良いとされる構法で、在来木造は「オープン構法」です。 「クローズド構法」とは、国土交通省(旧・建設省)にこのような方法で建てますという内容を「システム認定」として申請を出して認定を受けた者(会社)だけが建てることができるという構法のことで、木質プレハブ(木質パネル構法)は「クローズド構法」になります。ツーバイフォー工法(枠組壁工法)は、日本に伝わった当時は「クローズド構法」でしたが、現在では、「オープン構法」になっています。
   建築基準法のような法律を制定して、こういう基準を守らない建物は建ててはいけませんといった規制を設けるのが良いかどうかは、両方の面があると思えます。 その規制を設けることにより、それよりレベルの低い建物は出現しにくくなる、というプラスの面があります。しかし、逆に、マイナスの面として、その規制を守っているのだから、悪くないではないか、という主張をされてしまうことが考えられるのです。 食品についての規制も似たところがあると思うのですが、はっきりと有害であるとわかっているものは、使用禁止にして良いのですが、「有害の可能性がないとはいえない」というくらいのもの、「相当多量に摂取すると有害となる可能性がある」とされるもの、保存料のように「有害ではあるが、その使用によりメリットもある」とされるものなどは、はたして、使用禁止とするべきか、業者の良心と消費者の自己判断にまかせるべきなのか、判断に迷うところでもあるのです。 そして、法律で使用禁止になっていなければ、有害な食品でも販売・提供して良いのか、という問題が出てきます。 建物についても、建築基準法は守らなければならないのですが、建築基準法に違反していなければ、危険な建物を造って引き渡しても良いのか? 法律に違反していなくても、危険なものは造るべきではないのではないか。 そういう時に、法律で規制をすることによって、法律に違反していないから悪くないじゃないか、という主張をされてしまうおそれが出てくるのです。
   特に、耐震基準などは、どんなに基準を厳しくしても、「想定外」の地震が発生する可能性は残りますし、規制を設けるならば、どの程度の基準で規制するべきなのか、もしも、相当に厳しい基準で規制を設けて、その基準を満たす建物は価格も相当に高くなってしまい、その結果として、多くの人が自宅を手に入れることができなくなるようなら、そういう規制のしかたが良いのか、という問題も出てきますし、今まで、その職業についてきた人たちが、厳しい基準での施工ができないからという理由で、その仕事を失うようになったとしたら、雇用問題として、その政策の良否を問われる可能性もでてきます。
  建築基準法は、そういった状況において、相当に妥協された基準で制定されたようなのです。 特に、在来木造は、今までから建てられてきたからということで、当初、規制が緩かったようです。 それに対して、木質プレハブ(木質パネル構法)は、「システム認定」を受ける過程において、基準が定められ、ツーバイフォー工法は、「クローズド構法」から「オープン構法」に移行する際に、「建設省告示」として、ツーバイフォー工法の建設基準が示され、その基準に違反しない限りは、特別に良いかどうかはともかく、特に悪くはないであろうものができるようになった。その結果、在来木造は、法律上の規制が、木質プレハブ(木質パネル構法)やツーバイフォー工法(枠組壁工法)よりも緩く、その為に、耐震強度も弱いものが出現したようです。 その後、阪神淡路大震災やその後の大地震を経て、建築基準法の規制も厳しくなり、この法律上の規制のきびしさ緩さの違いによる在来木造とツーバイフォー工法、及び、木質パネル構法(木質プレハブ)との耐震強度の違いは小さくなってきたように思えます。
  
   「ツーバイフォー工法は地震に強い」というのは、ひとつには、在来木造の柱・梁に比べて、ツーバイフォー工法で使用している枠材(ツーバイフォー材)は細く、「見た目」では、在来木造に比べて、たくましそうに見えない。 又、在来木造では、柱に桧(ひのき)や杉(すぎ)を使用したりしますが(在来木造でも、最近は、スプルスの集成材を柱に使ったりしている会社もありますが)、それに対して、ツーバイフォー工法で枠材に使用する木は、かつては、「ヘムファー(べいつが)」、最近では「スプルス」といった、桧・杉よりも強度の評価の低い北米の針葉樹が多い。 そういったことから考えると、ツーバイフォー工法は在来木造より弱いのではないのか、と思ってしまいそうですが、その割りには強い・・・ということで、在来木造より弱そうで、実は弱くない、強い、ということがあるようなのです。

  もうひとつ、耐力壁の入れ方として、在来木造では筋交い(すじかい)を使用しますが、筋交いには向きがあり、適切でない向きに筋交いを入れた建物は弱いのですが、阪神大震災、及び、その後の大地震を経て、筋交いの向きや入れ方については、相当話題になったことから、今では、問題のある筋交いの入れ方をしている業者は少なくなった・・・・・と思っていたのですが、それでも、変な入れ方をしていると思われる建物を見かけることは少なからずあります。
  それに対して、ツーバイフォー工法の場合は、横方向の力に耐える「耐力壁」には、構造用合板や構造用パネル(オリエンティッド ストランド ボード、OSB)という面を釘で打ちつけて使用し、構造用合板や構造用パネルには筋交いのような向きがないので、問題は発生しにくい、ということがあります。

  まあ、しかし、結論としては、いずれの構法によるにしても、きっちりと造ったものは強い、いいかげんなものは弱い、ということが言えるのであり、なんだか、逃げた結論みたいですが、在来木造とツーバイフォー工法で、絶対的にどちらが強いといったことはなく、きっちりと造ったものは強い、ということになるのではないかと思います。 逃げた結論のようですが、間違っていないはずです。 そして、いずれの構法で建てるにしても、こういったことを考えて、その上で、どの業者で、どういう構法で建てるか、吟味して決めた建物は、いいかげんな選定をして決めた建物よりは良いのではないか、ということが言えると思いますし、こういったことを十分に考え吟味して決めた建物は、そうでない建物よりも家相も良い、と言ってよいと思います。
  家相としては、木・布・紙といった自然素材を使った家は吉相の家とされるようですから、その点では、在来木造にしてもツーバイフォー工法の建物にしても、鉄骨系・コンクリート系の建物よりも吉相の家ということになります。

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   上の2つの写真の中の釘の頭の色を見ていただきたいと思います。もし、見づらい方は、写真をダブルクリックして拡大して見ていただくと良いかと思います。上の写真の釘の頭は青い色をしており、下の写真の釘の頭は赤い色をしています。 ツーバイフォー工法は、在来木造と違って、継ぎ手(つぎて)・仕口(しぐち)といった木材を加工したものを組み合わせるのでなく、釘で接合し、ツーバイフォー工法にとっての釘は在来木造より重要です。在来木造でも、どんな釘を使っても良いわけではなく、ステンレスの釘を使うべきところを鉄釘を使用したりということになっては困りますが、ツーバイフォー工法の場合、使用する釘に、色分けがされており、その点では、ツーバイフォー工法の方が、在来木造よりも徹底していると言ってよいでしょう。

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 ↑ 床下の換気には、基礎と土台の間に樹脂製の「基礎パッキン」をはさむという方法をとっています。 床下の換気には、「床下換気口」を設ける方法と「基礎パッキン」をはさむという方法がありますが、「基礎パッキン」では、建物全体の下に基礎パッキンを設けることができる、特に、床下換気口はコーナー部分に設けることはできず、コーナー部分に床下換気口を設ける施工は不良と言えますが、基礎パッキンの場合は、コーナー部分にも設けることができます。 
   コンクリートの基礎は、建物の最下部の鉄筋コンクリートの梁と見ることができ、基礎は高い方が梁が厚いのと同じ効果を持つので、地震の際にも、一般的には、基礎は高い建物の方が地震に強いことになりますが、基礎が高いということは、地盤面と1階の床面との高低差が大きいということでもあり、基礎の高い建物では、家に上がるのに、ポーチ部分での階段が1段多く必要になったりします。床下換気口の方法では、基礎が高くても、床下換気口の部分で基礎が削られる為、たとえ、斜筋をその脇に入れたとしても、その部分で弱くなる為、基礎の高さそのままの強度は期待できないのに対して、基礎パッキンを使用すれば、基礎を削ることはないので、鉄筋コンクリートの基礎の高さそのままを建物の最下部の鉄筋コンクリートの梁としての強度と考えることができます。床下換気口の場合よりも、基礎の高さが低く、地盤面と1階床面との差が大きくなくても、地震時の基礎の強度を期待できるということになり、階段の上がり降りがつらい高齢者・身障者にとってはありがたい方法と言えるでしょう。

   構造については、これから家を建てようという方の中には、「見てもわからない」「どうせわからないから」「今は法律も厳しくなってきているから、そんなに問題のあるものはできないでしょうから」といったことを言われる方もあります。 そうですか???  見ても、聞いても、100%はわからなくても、それでも、見て、聞いて、考えるべきではありませんか?
   中には、建築業者でも、「今は建築基準法が厳しくなってきていますから、いいかげんな建物なんてないですから、どこでも一緒です」などと無責任なことをいう人間もいます。 私は、そういう発言を聞くと、あなた、本当にそんなこと思ってるの? と言いたくなります。 
   クルマの運転をしていると、制限速度の決められ方というのが、実に良く考えられて決められているという気がします。 走りやすい道なのに、どうして制限速度がこんなに低いのか・・と思っていると、カーブがあったり、何か理由があることに気づくということがよくあります。 その一方で、制限速度以下であっても、自分が運転していて危ないと思ったら、それは、たとえ、制限速度以下であっても、やっぱり、危ないのです。 同様に、建築基準法がどれだけきびしくなっても、どれだけ充実しても、その規制を守っていたとしても、危ないと思えるものは、やはり、危ないと考えるべきではないでしょうか?  建築基準法の規制はクリアしても、やはり、危ないと感じられるというようなそういう建物に住みたいですか? 


   W様邸が、今後も支障なく工事が進み、良いお家ができますよう、念じた上、本日のブログはこれにて終わりにさせていただきたいと思います。
   今後も、構造現場の報告と考察は続きます。 
      今後もご期待ください!

   前にも、このブログで申しましたが、かつて、近鉄バッファローズの加藤哲郎投手が、日本シリーズで巨人と対戦して勝ったとき、「巨人は ろって 以下や。」と言い、「次も勝ってやる。 その時には、又、『巨人は ろって 以下や』言うたる。負けた時には『すいません』言うたる」と話したということがありましたが、今回のブログの内容も、決していいかげんなことは述べていないはずですが、もしも、私の勉強不足、認識不足により不適当な記述がありましたら、その時は、決して意地を張らずに「『すいません』言うたる」つもりですので、ぜひ、ご指摘いただきたく、よろしくお願い申し上げます。

☆ 構造現場とその考察 として、
在来木造 構造 工事現場の観察と分析(1) ~市原市 I 様邸の推移  http://shinkahousinght.at.webry.info/201102/article_3.html
ツーバイフォー工法の構造現場と考察(1) ~千葉市・星久喜(ほしぐき)モデルハウス  http://shinkahousinght.at.webry.info/201102/article_4.html
も、ぜひ御覧くださいませ。


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