浅見シリーズに登場する滝野川警察署。七社神社・国立印刷局東京工場-平塚神社と浅見光彦【2/15】

 [第614回]
   東京メトロ南北線「西ヶ原」駅には北西側は本郷通りの北西に向かって左側、南東側は本郷通りの北西に向かって右側に出入口があります。 南東側の方が平塚神社に近く、平塚神社は南東側の出入り口と同じく本郷通りの北西に向かって右側にありますので、今回は南東側の出入口(飯田橋・白金高輪・目黒より)から出ました。 南北線は、「西ヶ原」駅の北側はJR京浜東北線や都電荒川線に乗り換えができる「王子」。 南側はJR山手線と乗りかえのできる「駒込」。 駒込の向こうが「本駒込」でそのさらに向うは「東大前」という駅名ですが、文京区の東大の農学部の西側あたりに駅があります。内田康夫の小説では『追分殺人事件』「本郷追分」という本郷通りと旧白山通りが分岐する場所が登場しますが、その近くです。
   この「西ヶ原」というあたり、東京のどのあたりかわかりにくい方のために説明しますと、山手線より北側、京浜東北線より西、埼京線(旧 赤羽線)より東、山手線と京浜東北線と埼京線で囲まれた三角形、田端・池袋・赤羽を3つの支点とした三角形の内側の東より・京浜東北線より・・と言えばわかるでしょうか。

   「西ヶ原」駅の南東側の出入口を出ますと、出入口の背後には、左側(北西側)に国立印刷局滝乃川工場というでっかい建物、右側(南東側)には「花と森の東京病院」て、なんか「メルヘンだんなあ~あ♪」て感じの名称の病院があります。どこが「花と森」なのかよくわかりませんが、そういう名前です。


[2] 国立印刷局 東京工場(滝野川工場)
   「国立印刷局」HPhttp://www.npb.go.jp/ja/guide/soshiki/tokyo.html を見ると、紙幣・収入印紙や官報などをここで印刷しているらしい。 こんな場所で印刷していたのですね。
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↑ なんだか、ずいぶんと腹の出たおじさんが入口に立っていますが、国立印刷局東京工場(滝野川工場)の北西側の隣が内田康夫の小説にもしばしば東京する滝野川警察署で、このおじさんが立っている所が滝乃川警察署で警察漢が「立哨」しているのかと思ったのですが、そうではなく、腹の出たおじさんが立っているのは国立印刷局東京工場(滝乃川工場)の出入口で、おじさんは警察漢ではなく警備員(ガードマン)のようですね。
※ 国立印刷局 東京工場 HP http://www.npb.go.jp/ja/guide/soshiki/tokyo.html


[3] 滝野川警察署
   腹の出たおじさんが立っている所が滝野川警察署か、あそこまで腹が出ていたのでは、警察署の前の立哨としては見た目がよくないのではないか、見た目重視でいくと、たとえ、見かけ倒しでも「イケメン マッスル」を立たすべきではないのか・・・なんて思ったが、そこは滝乃川警察署ではなく、滝乃川警察署はその隣り。↓
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( ↑ 滝野川警察署。 南側〔本郷通りの駒込側〕から見たもの )
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( ↑ 滝野川警察署。 西側〔本郷通りの王子側〕から見たもの )

   内田康夫の「浅見光彦シリーズ」にも滝野川警察署は登場する。『佐渡伝説殺人事件』(1997.10.15.徳間文庫)では、自宅近くの路上に倒れている人がいたのを浅見光彦が「もしもし」と声をかけたところ、背後から襲われて気がついたら、警察から殺人犯の扱いをうけて、留置されたというのが滝野川警察署↑である。
≪ 「係長、気がつきました」
  いかつい顔が、でかい口を開けて呼んだ。すぐに足音がして、警部補らしい男が駆けつけた。その前に浅見は立ち上がっていた。まだ体がふらついて、立っているのがやっとだった。
「だいぶ飲んでやがるな」
 係長は顔を近づけて、「うー、臭(くせ)え」と横を向いた。実際、浅見自身が辟易するほどの酒臭さが立ち込めていた。それも、ついいましがた飲んだような生の状態の酒の臭いだった。そのくせ、クロロホルムの匂いは消えている。そのことも併せて、浅見は奇妙に思った。
「とにかく、署の方へ連れて行けや」
  係長がいかつい刑事に命じている。
「いや、それは困ります」
  浅見は手を胸の前で左右に振った。
「事情聴取には応じますが、その前にいったん帰宅させてください」
「冗談言っちゃ困るよ」
  係長は冷淡に言うと、それ以上は口もききたくないといわんばかりに、顎をしゃくって、刑事に連行を催促した。
「すぐそこなんですがねえ・・・・」
  浅見の反論は届かなかった。左右の腕を抱えられたと思った時には、目の前にパトカーがあった。手錠こそかけないが、まるで犯人扱いだ。刑事は浅見の腰を突き飛ばすようにして、ドアの中に押し込んだ。
(被害者に対する待遇としては、あまり適切ではないな――)
  浅見がようやく様子のおかしいことに気がついた頃、パトカーは現場とは目と鼻の先といっていいような距離にある滝野川警察署の構内へ辷り込んだ。 ・・・・ ≫
≪「だとすると、ぼくが犯人である可能性は、まったくと言っていいほどありませんよ」
「・・・・」
「ぼくが車を降りた時刻は、二時をほんの少し前でした。これはあとで、同乗者に確認すれば分かるでしょう。そこから現場までは約三百メートルぐらいですか。もし二時までに事件を起こしたとすると、どんなに長く見積もっても数分間で歩いたことになります。これは速歩とはいえないが、泥酔状態で歩くスピードでないことはたしかでしょう。しかも、それから、通りすがりの相手と口論を開始し、逃げる相手の後ろから重い石で殴りかかる――なんていうのは、これはもう正気でなければできませんよ。とても心神耗弱状態では無理ですね」
「なるほど・・・・・」
 署長は仕方なさそうに頷いている。
「となると、ぼくが犯人でありうる条件は、実際にはぼくが酔ってなどいなくて、犯行後に酒を飲み、ついでに酒の匂いをたっぷり撒きちらしてから、現場に横たわった、というケースだけです。ただし、その場合には近くに酒の瓶が転がっていないとおかしいわけですが、それらしい遺留物はありましたか?」
「どうかね?」と、署長は傍らの刑事課長に訊いた。
「いや、現在までのところ、そういったものは出ておらんようです」
 浅見はジョークのつもりで言ったのだが、署長も刑事課長も真面目くさって答えている。
「いや、かりに正気の上の犯行だとしたら、そんな疑いを持たれるような余計な工作ななかしないで、さっさと現場を立ち去りそうなものじゃありませんか」
「なるほどなるほど、そのとおりですな」
 署長は感心して、何度も頷いた。
「お分かりいただけましたか」
 浅見は、べつに嬉しい顔もしないで、言った。
「これで、ぼくを勾留する理由はなくなったというわけですね」
「しかしですねな、あなたが凶器を掴んでいたのは事実ですからして、警察としては、そう簡単に結論を出すというわけにもいかんのですよ」
(やれやれ――)
 浅見は急に疲労と睡魔が襲ってくるのを感じた。この石頭の署長を説得するには、目の前に犯人を連れてこなければならないのだろうか――。
 ≫
( 内田康夫『佐渡伝説殺人事件』1997.10.15.徳間文庫 )

   『金沢殺人事件』(2015.4.10.祥伝社文庫)では平塚神社の境内で男性が殺されるが、その際も担当は滝野川警察署で、
≪ 浅見家から捜査本部のある滝野川警察署まではほんの五百メートルばかりしか離れていない。滝野川署も平塚神社も、本郷通り――かつて「日光御成街道」と呼ばれた広い通りに面している。距離は一キロばかり離れているが、浅見の家からはほどよい散歩コースである。毎日、散歩を装って警察の前を通り、平塚神社まで行って、戻って来る。
  そうしながら、それとなく署内の様子を窺うのだが、あまり景気のいい動きが見られたためしがなかった。・・・ ≫
≪ 浅見に事情聴取をしに来たきり、その後、浅見家には聞込みの刑事はやって来なかった。浅見局長の家には近寄るな――とでも指示が出ているのだろう。 ・・・・
   事件からちょうど一週間経って、事件現場に張りめぐらされていた立入り禁止のロープはようやく撤去された。
  だからといって、殺人事件の現場に近づく物好きはいない。しかし、浅見は撤去されるのを待っていたように現場を訪れた。
  平塚神社の境内に入ったとたん、「浅見さん」と声がかかった。振り返ると、宮本警部がニヤニヤ笑いながらやって来る。
「ははは、やっぱり来ましたね。犯人は必ず事件現場に現れるものですよ」
  物騒なジョークを言ったが、その口振りから察すると、宮本は浅見が来るのを心待ちにしていたらしい。・・・≫
( 内田康夫『金沢殺人事件』2015.4.10.祥伝社文庫 )
狭山事件の石川さんが犯人にしたてあげられてしまったのは、ひとつには、石川さんが近所で女子高生の遺体が発見されたということを聞いて、かわいそうにと思って、つい見に行ってしまった、ということがあったらしい。殺人事件の現場とか遺体発見現場とかは、新聞記者とか被疑者から依頼された弁護士とかでもない限り、うかつに近づかない方が安全かもしれない。
※ 滝野川警察署HP http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/shokai/ichiran/kankatsu/takinogawa/index.html


[4] 七社神社
   滝野川警察署の左側(北西側)に鳥居が見える。↓
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↑ この鳥居をくぐって進んだ先に「七社神社」があるようだ。
「七社神社」とは、7つの神社を管理しきれないので寄せ集めて1つにしたので七社神社・・・ではなく、
≪ 七柱の神々を祀ることが社名の由来です。明治時代以前には旧古河庭園内に祀られていましたが、明治初年に一本杉(樹齢千年)神明宮の現在地に遷座しました。大鳥居前に一里塚(日本橋より2里目)があり、旅人(旅行者)の守護神としての信仰もあります。≫
( 平塚神社でもらった「北区神社めぐり~静寂な緑に囲まれた鎮守の杜~」 )
   7柱とは、
イザナギ・イザナミ・アメノコヤネ・伊斯許理度賣命(イシコリドメ)・イチキシマヒメ・仲哀天皇・応神天皇 だそうだが(「北区神社めぐり」)、イザナギとイザナミ、仲哀天皇と応神天皇 というあたりがくっつくのはわかるが、どうも、この7つが1社に集まる理由がよくわからん。
  「イシコリドメ」は知名度が低い神さんだが、《ウィキペディア―イシコリドメ》https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%89%E3%83%A1 によると、≪ 天孫降臨の際瓊瓊杵尊(ににぎ)に附き従って天降るよう命じられ、天児屋命(あめのこやね)、太玉命(ふとだま)、天鈿女命(あめのうずめ)、玉祖命(たまのおや)と共に五伴緒の一人として随伴した。 名前は、石(イシ)の鋳型を用いて鏡を鋳造することに精通した(コリ)特別の女性(トメまたはトベ)の意味である。 ≫
   となると、
「イザナギ+イザナミ」
「アメノコヤネ+イシコリドメ」
「イチキシマヒメ(弁天さん)」
「仲哀天皇+応神天皇」
と、ルーツは4つと考えていいのか? 
   ≪旧古河庭園内に祀られていましたが≫という部分だが、古川庭園の「正門」を入ってすぐ左の「サービスセンター」(券売所)の左に「この先の立入りは ご遠慮ください」と書かれていて、その奥に鳥居が見えるのだが↓、七社神社が≪明治時代以前には旧古河庭園内に祀られていましたが≫というのは、もしかして、その鳥居の奥のことだろうか?
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( ↑「旧 古河庭園」内、 サービスセンター左側、「この先の立入りは ご遠慮ください」と鳥居。)

※ 七社神社HP http://www.nanasha.jp/

   (2018.7.14.)

☆ 平塚神社・平塚天神社と浅見光彦
1.裏口は嫌い。西ケ原駅 http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_3.html
2.国立印刷局、滝野川警察署、七社神社 〔今回〕
3.花森東京病院、滝野川公園、地震の科学館 http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_5.html
4.平塚神社全景、門柱、平塚亭 http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_6.html
5.平塚神社参道、社殿、蝉坂からの階段と社務所 http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_7.html
6.ユニークな狛犬、扇に日の丸の紋 http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_8.html
7.社殿の裏の岡。猫の死骸を「かわいそう」と思うか「気持ち悪い」と思うか http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_9.html
8.菅原神社(平塚天神社)、大門先・元稲荷神社、御料稲荷神社、石室神社 http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_10.html
9.城官寺、上中里駅、蝉坂、上中里不動尊、摩利支天 http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_11.html
10.旧古河庭園(1)洋館、つつじ園 http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_12.html
11.(2)心字池、雪見灯篭、石橋、兜門、染井門 http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_13.html
12.(3)茶室、黒ボク石積、崩石積、書庫 http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_14.html
13.滝野川小学校、「御子柴邸」 http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_15.html
14.滝野川会館。「一里塚」バス停から「上中里」駅まで http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_16.html
15.上中里駅陸橋、尾久操車場・田端機関区、銭湯 http://shinkahousinght.at.webry.info/201807/article_17.html

佐渡伝説殺人事件 (角川文庫)
KADOKAWA
1987-01-27
内田 康夫

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≪ 「駒津氏の死因ですが、後頭部打撲というのは確定したのですか?」
「ええ、そのようです。けさ解剖したが、毒物のたぐいは一切、検出されなかったとか言っていました。やはり、浅見さんが持っていた漬物石が凶器であることは間違いないそうですな」
   宮本は面白そうに言った。――おまえさんの容疑は、完全に晴れたわけじゃないのだよ――と、その顔は語っている。
「ぼくが現場へ通りかかった時には、そんな石は見当たらなかったと言ったんですが、そのことは聴いてませんか?」
「ああ、それだったら、ここの刑事課長から聴きましたよ。しかし、あまり信憑性はないとも言ってましたな」
「それでは、ぼくが女に襲われたというのも、あまり信用されていないんでしょうね」
「そのとおり、どうも話が突飛すぎますな。もっとも、嘘をつくなら、もう少しましな嘘をつく――という意味から言うと、ほんとうかもしれませんがね。しかし、あんたほどの智恵者ならば、その逆をいくってことも考えられます」
  浅見は反論する気にもなれなかった。このテアイが一度思いこんだ「事実」を白紙に戻すのは、水に溶けたインクを分離するよりも難しい。 ≫
( 内田康夫『佐渡伝説殺人事件』↑  1997.10.15.徳間文庫 )

金沢殺人事件 新装版 (祥伝社文庫)
祥伝社
2015-04-09
内田 康夫

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≪ 入った正面にある、カウンターのようなところにいた女子職員に、「捜査本部へ」と言うと、まもなく私服の刑事が現れた。
「捜査本部の者ですが、何か?」
 無愛想に言った。
 浅見は名刺を出して、口から出任せを言った。
「北原千賀さんが殺された事件のことで、お話を聞かせていただきたいと思い、お邪魔しました。じつは、殺された北原さんとは、家がすぐ近所なのです。散歩の途中なんかで、ときどき会って、言葉を交わしていたものですから、他人事とは思えません」
 名刺の住所はたしかに北原千賀のアパートの住所地に近い。しかし、刑事は胡散臭そうな目で浅見を見つめ、しばらく考えてから、言った。
「話と言われても、たいした話はないですが、それより、もしよければ、ちょっと事情を聞かせてもらえませんか」
「もしよければ」と、いかにも任意のように聞こえるが、断れば無理にでも――となることは見え透いている。
・・・   刑事はなんと、浅見を取調室に通した。応接室でないというのは、ずいぶん失礼な話だが、・・・ ≫
( 内田康夫『金沢殺人事件』2015.4.10.祥伝社文庫 ↑) 

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