内田康夫追悼【4/5】警察に情報提供すべきか? 「第一発見者」の恐怖。「善良な市民」とは?

[第602回]
7. 一般市民には、「警察ファンクラブ会員」「警察親衛隊」みたいな人間もいるが、そうではない人間もいるという事実を知っている。
  一方において、『城崎殺人事件』では、
≪ 浅見は一応、殊勝げに、目を伏せて見せたが、その瞬間にようやく事態が納得できた。
「なるほど、そうだったのですか、昨日、僕が幽霊ビルを警備していたお巡り(おまわり)さんに、余計なことを質問したので、それで怪しんだというわけですね。なるほど、それでレンタカー屋を調べ・・・あのおやじさん、警察が一緒について行ったのに驚かないから、おかしいとは思ったんですよね。警察に情報を提供していたのなら、強気でいられるわけだな。それにしても、・・・・≫
現実の社会にも、不良警察官に加担することでおのれを守ろうとする卑怯者の「市民」も存在する。

  他方、『砂冥宮』では、
≪  「その話、警察には言いましたか?」
「警察? なんで警察に言わんなんがや。 わしには関係ないことやし
「しかし、警察は目撃者を探してますよ。・・・・いまのお話を、ぜひ警察に教えてやってくれませんか」
「そんなん、いややわいや。 わしは警察大嫌いやし」
・・・
「だめやだめや、警察はだっちゃかん。警察みたいなもんに、何で教えてやらんならんがけ
老人は何か特別の理由があるのか、よほど警察を嫌っているらしい。・・・≫

  『イーハトーブの幽霊』では、
≪ 「それはそうかもしれないけど・・・少なくともこいつを盗んで行った宮瀬という男は死んじまったんですからね。まあ、自殺か他殺かはともかくとして、いやあ、新聞でこの写真を見たときはびっくりしましたよ。あ、こいつだって、すぐに分かりました」
「警察には届けたのですか?」
「警察? 冗談じゃない、届けるものですか。関わりになるのはごめんだし、それに、警察は嫌いでね・・・まさか浅見さん、警察にサシたりしないでしょうな」・・・・ ≫
とある。 たしかに、警察みたいなもんには「関わりになるのはごめんだし」・・・。 「警察みたいなもんに、何で教えてやらんならんがけ」!!!
   狭山事件では、犯罪の情報を警察に提供したことから犯人と疑われて自殺したという人もあったと思う。実際には、「情報提供者」が実は犯人であったという場合もありうることだが、その人がどうだったのかは今もわからないらしいが、いずれにしても、警察に情報を提供するということは、犯人でもないのに犯人と違うのかと疑われてしまう危険性のある行為をおこなうということである。 関わらんのが一番。 「謎はすべて解けた。犯人はこの中にいる」とか警察のアホが言い出した時、「この中」にうかつにいると、「犯人はあんただよお!」とか言われて、「ええ~え!!!」なんてことになりかねない。 「君子、危うきに近寄らず」である。

   さらに、「『第一発見者を疑え』というのが捜査の鉄則」なんてのもでてくる。 『後鳥羽伝説殺人事件』では、
≪ 新祖は女を発見した状況を説明した。
「すると、他には誰もいなかったですか」
「ええ」
「あんたが見た時には、女の人はすでに死んどったわけですな」
「そうです」
「なぜ、死んどったということが分かりましたか」
「そりぁ、分かりますよ」
「脈をさわったですか」
「いや」
「呼吸を確かめた?」
「いえ」
「それでは、どうして分かったのですかな」
「そう言われると困るけど、しかし、死んどるということは分かりましたよ。ちょっとさわったらごろんと倒れましたし、それに・・・・・」
「ちょっと待った、すると、女の人を倒したのはあんたということになりますね」
「そういうことになりますか、しかしそういう言い方をすると、なんや僕が殺したみたいですね
新祖は苦笑したが野上は真顔で言った。
「いや、もし女の人が殺されたのであれば、真先に疑われるのは第一発見者であるあんたですからな
「冗談じゃない、なんで僕が疑われなければいけんのですか」
「いや、それが捜査の公式だということですよ。だから、充分注意して正確に話を聴かせてください」
「分かりましたよ」
  いやな刑事だ、と新祖は不快であった。他の捜査員はニヤニヤ笑っている。・・・・・≫
   『鯨の哭く海』では、
≪ 浅見に声をかけてきたのは、巡査部長の襟章のある、やや年配の警察官である。那智勝浦の交番から駆けつけたそうだ。
「あんたが第一発見者だそうですな」
「いや、厳密に言うと僕じゃなく、僕の前にもう一人、女性がいたのですが」
「ああ、この人にもあなたはそう言うたのやそうですが、その女性なるものがいたかどうか、確認されへんのですよ。したがって、あなたが第一発見者いうことになります」
「えっ? じゃあ、あの女性のことは誰も見ていないというのですか? そんなはずはないでしょう。だって、あの時刻はほかにお客さんはほとんどいなかったし、青い帽子や青いコート、それにサングラスという恰好は、かなり目立つ存在でしたよ。チケット売り場の女性にも訊いてみたんですか?」
「もちろん訊きましたよ。しかしぜんぜん気ィつかへんかったそうです」
「ふーん、そうですかねえ・・・・」
 職員のほうに目を向けると、二人とも視線を合わさないように俯いている。それなりに事情聴取はされているのだろう。警察に対して知らないと言ったものを、浅見の立場でさらに追及するいわれはない。
「分かりました。まあいいでしょう。どっちにしても、大した問題じゃありません」
「いや、いちがいに問題がないとは言えへんのです。事件捜査の基本は、まず第一発見者を疑えということですよってな
「ははは、なるほど」
 浅見は笑った。第一発見者をうんぬんするほどの大事件ではないと思うのだが、巡査部長はどこまでも真剣な顔で「笑いごとやないで。一応、住所氏名を聞いておきましょうか」と言った。・・・・≫
   今は昔、1984年の2月頃だったと思う。 神奈川県川崎市幸区に住んでいた時、真夜中にセブンイレブンに買い物に行き、その途中、雪道の端だったかU字溝にはいっていたか、財布が落ちているのを発見した。セブンイレブンの向かいに交番があったこともあり、親切心から届けてあげた。別段、お礼なんて欲しいとは少しも思わなかったし、実際、たいして入っていたわけでもない。たいして入っていない財布でも、落とした人にとっては戻ってくればうれしいのではないかと思い、持ち主に戻してあげたいと思って届けたのだ・・・・が、ところが、せっかく、親切心から届けたのに、警察官から、まるで犯人を扱うような態度を取られてしまい、こんなことなら、届けなきゃよかったと思ったことがあった。 元あった場所に戻してきてやろうかという気持ちになった。この件について、[第94回]《落し物は届けるな、犯罪捜査に協力するな! ~ 警察の恐怖(1)―川崎市の警察と いわき市の警察》http://shinkahousinght.at.webry.info/201204/article_7.html 《1》 で述べたが、「第一発見者を疑えというのが捜査の鉄則」となっているという内田康夫の小説中の警察官の文句を見た上で今から考えてみると、あの財布だが、もしも、その財布の持ち主が誰かに強奪されたもので、その上で中身をある程度ぬきとった上で捨てたというものであったとしたならば、あるいは、持ち主が誰かに殺されて奪われたというものであったとしたならば、その財布の「第一発見者」は私だとされてしまうことになったであろうし、私は無警戒に特別何も考えずにつかんで交番に持って行ったわけだから、雪が積もっていたと思うので手袋をしていた可能性もないではないが、素手だったかもしれないし、中に持ち主の名前なり書かれているものがないか交番に持って行く前に見たので、その際にでも私の指紋はついた可能性が高いと思うので、そうすると、私は、親切心から届けたがために「相当不利な立場」に立たされてしまうことになったわけだ。 今から考えると、バカなことをしたものだと思う。やっぱり、ビル建築の建築現場に行くと、「安全第一」という標語が貼ってあるのをよく見るが、まさに「安全第一」で考えた時、道に財布が落ちていたからといって、それを交番に届けるなどとは愚の骨頂! 「善良な市民」はそういう愚かな行為は現に慎んだ方がいい、と思う。 おのれの身はおのれで守らないといけないのだから。


8. 警察が一般市民に対して、どれだけ、無礼な態度をとっているか、理解している。
  『城崎殺人事件』では、
≪「しかしあれですねえ、僕みたいな関係ない人間を捕まえて、アリバイがどうのと訊いているようじゃ、警察はまったく手掛かりがない状態のようですね。これじゃ真犯人は手を叩いて喜んでいるでしょう」≫
という浅見の言葉が登場する。

  『津和野殺人事件』では、
≪ 「ちょっと待ってくださいよ」
 実加代は憤然として言った。大きな声だったので、フロントの者たちの目がいっせいにこっちを向いた。
「いったい何を言ってるんです。それじゃまるで訊問じゃありませんか。失礼ですよ」
「そういうわけではありません。警察としては、関係者の動向を詳しく訊くのは、ごく普通の仕事でして、いわば義務のようなものですので」
それじゃ、こちらにはお断りする権利があります。それに、母はあまり精神的に安定している人じゃないし、疲れていますから、これで失礼します」
実加代は立ち上がると、「行きましょう」と久美の腕をとった。
・・・・・
  ・・・相手が警察であろうと何であろうと、母や自分を迫害するようなことは許すわけにはいかない。 ・・・≫

  『津和野殺人事件』には、
≪ 「何が必要なくなったですか、陽一郎さんのことを知ったものだから、態度が変ったくせに。それまでは、まるでわたしが犯人かなにかのような、口をきいていたのですよ」≫
と浅見陽一郎刑事局長の母 雪江の憤慨する言葉がある。

  『美濃路殺人事件』では、
≪ 「じつは、高桑という被害者の人ですが、あの人、東京で起きた宝石商行方不明事件と関係がある人ですか?」
「ん?・・・・」
突然、妙なことを言いだしたので、刑事は意表を衝かれたような反応をした。
「それ、どういうことです?」
浅見はもう一度同じ質問を繰り返した。
「ふーん・・・・」
刑事は急に胡散臭い目になった。
「おたくさん、どちらさん?」
ボールペンとメモ用紙を構えて、上目遣いに訊いた。完全に被疑者に対する姿勢そのものだ。
「浅見という者です」
「浅見、何さん? 住所は?」
  やれやれ――と浅見はうんざりした。せっかく情報を持ってきてやったのに、これじゃ善良な市民としてはあまり愉快な気分にはなれないではないか。・・・・ ≫

  『歌枕殺人事件』では、
≪ その店を朝倉が出た時刻は、午後二時ごろと推定されている。昼食を食べて、しばらく雑談をしたのだから、たぶん出掛けたのはそのころだろう――というのが本当のところで、実際には正確な時刻がそうだったかどうだか、分からないのではないか、と千田は言っていた。
  人間の記憶なんて、ごくいい加減なものだというのである。そんなことを言う割には、警察の取り調べでは、被疑者に何年も前の記憶を無理やり思い出させたあげく、証拠として提出したりする。・・・≫

  『白鳥殺人事件』では、
≪  一気に喋って、玲子は急に黙った。それからしばらくして、
「娘らしいこと、何もしてあげないうちに死んでしまうんだもの・・・・・」
   目に涙を浮かべて、言った。
   遺体と対面した時、玲子はついに涙を見せなかった。伯父は涙ぐんだだけだったが、伯母は声を出して泣いた。
 「しっかりしたお嬢さんですなあ」
  矢島警部が、興味深そうに礼子の白い横顔を見つめていた。それは、明らかに、娘に父親を殺す動機があるかどうか、推し測ろうとする目の動きであった。内側に向けて号泣している玲子の気持ちなど、あの警部には理解できないに違いない――と、浅見は腹立たしかった。
  人間は、涙を見せるかどうかで評価されるというのはおかしい。 兵庫県の県議 野々村竜太郎が会見で嘘泣きしてみせた後、橋下徹が記者に「皆さん、どうして、彼にはもっとわあ~っと言わないんですか。ぼくにやったら、もっと、わあ~っと言うじゃないですか」と言ったことがあった。それに対して記者が「だって、泣くもの」と言うと、橋下は「泣いたら、いいんですか? それなら、ぼくも泣きますよ。泣けばいいのですか」と発言したものをインターネット上で見た。 この点については、橋下の発言を私は支持する。泣いてみせればいいなどという議員は議員として情けない。勝手な時だけ泣く女、泣けば男は女に同情する義務があると考えている女というのには、むしろ、同情なんかしない方がいいと思う。

   『城崎殺人事件』では、
≪ 「・・・その前にあんた自身の潔白を証明せんと、事件は思わぬ解決を見ることになるんとちがいますか?」
「それは脅しのつもりですか?」
「いや、脅すなんて、そないなことを警察がやりますかいな。警察は常に善良な市民の味方でありますよ」
「それは警察側が善良と考えた市民――という意味でしょう。警察が善良でないと判断した者に対しては、容赦ないのじゃありませんか?」
とある。 まさにその通り!  警察の言う「善良な市民」というのは警察にとって都合がいい市民、警察に追随する市民のことである。 警察に追随しない市民は、自分は特別に凶悪犯人でもないから「善良な市民」だろうなどと勝手なことを思っていると、あてがはずれる。警察が気に入らないと考えたその時から、特別何もしてなくても、「善良でない市民」にされてしまう。その際、「善良でない市民」への警察暴力による攻撃に加担・協力する人間のカスのことを警察・検察は「善良な市民」と言う。
   私は、過去に、東京地検の「副検事」から「おまえに人権なんてあるか!」と怒鳴りつけられたことがある。当然のことながら、人間である以上、「人権」は存在する。誰が誰に対してであれ、「おまえに人権なんてあるか!」などと口にいして良いわけがない。但し、もしかすると、暴力団構成員とかそういう人に対しては、法律論理として人権がないわけではないとしても、「おまえに人権なんかあるか」と軽く言うということならあるかもしれないが、私のようなカタギの市民に対してそういう口をきくということはありえない、と思いこんでいた。 誰であれ、誰が誰に対してであれ、「おまえに人権なんか、あるか!」などと口にしていいわけはないのだが、特に、裁判所・検察庁関係に勤める人間は裁判官・検事でなくても、書記官・事務官であっても、そのような暴言は許されてよいわけがない・・・・のだが、彼らは自分たちにはそういった暴言を市民に対してはく権利がある、と思いこんでおるわけだ。 私は、当然、そういう言動は市民として許してはならないと思う。 「善良な市民」として許してはならないと私は考えるが、「善良な市民」であるかどうかの問題だが、警察・検察が、「こいつ、気に食わない」と思ったなら、その瞬間から、彼らにとっては「善良な市民」ではなくなるわけだ。その瞬間から、彼らにとっては「おまえに人権なんか、あるか!」と言ってよい相手ということになる。 警察・検察がこいつをやっつけてやろうと決めた時から、その相手は「善良な市民」ではなくなり、「おまえに人権なんか、あるか!」と怒鳴りつけてよい相手、「事実に反する内容で送検してよい相手」になり、警察・検察によるでっちあげに加担して偽証する人間が「善良な市民」と認定される。 それに異議を申し立てる者は「反社会的勢力」とされてしまう。 私は誰に対してであれ、「おまえに人権なんか、あるか!」などと言って良いわけがないと考えている・・・が、例外的なものとして、「副検事」などで「おまえに人権なんか、あるか!」と市民に言う権利が自分にはあると考えているような不心得者に対しては、「相互主義の原則」として、絶対に悪いとも言い切れないと考える。 日本国民として、そういうヤカラには何らかの報いを受けさせなければならない。 警察・検察こそ、「反社会的勢力」ではないか?!?

  浅見光彦シリーズを中心とした内田康夫の作品には、警察に対しての、市民の防衛マニュアルともなる記述がけっこうある。 「警察親衛隊」となることで、まともな市民を攻撃することで、おのれを守ろうという根性がしみついた人間―いわば、警察暴力団にとっての「善良な市民」―以外の国民(まともな人間)は、何作かの内田作品を読んで参考にして、おのれを守る方法をあらかじめ考えておくようにした方がいいと思う。


9.警察の問題点もあるとともに、市民の側にも問題のある対応の人はいることの指摘もある。
   『後鳥羽伝説殺人事件』では
≪ 広島のタクシーは相変らず柄が悪く、横座りのような恰好の運転手が「どこ?」と語尾を上げて訊いた。それでも浅見が「県警本部へ頼む」と言うと、背筋をシャンと伸ばして安全運転を始めたのは、軽装の浅見を刑事とでも錯覚したのに違いない。


10. 新聞・雑誌の記事の書き方などについての批判もある。
  『砂冥宮』では、
≪ 「須賀さんには、人に恨まれたり憎まれたりするような原因といいますか、揉め事とかはなかったのでしょうか」
「それはありませんね。 ・・・父は曲がったことの大嫌いな人間で、他人様に迷惑をかけたり争ったりは一切、しませんでした」
「確かに、お話を伺っただけでよく分かりました。しかし、たとえご本人が真っ正直であったり、善人であっても、悪い人間の目の仇にされることはよくあります。・・・・・」≫
   これは、実際にヤフーニュースなど見ていて、私もしばしば感じることである。誰それは決して人に恨まれるような人ではないとかいう記述を見ることがあるが、「恨まれるような人ではない」とその発言者は思っているかもしれないが、他の人間から見るとそうではないかもしれない。 又、10人中9人に好かれるために残りの1人を悪人にしたてあげようとする人だって世の中にはいるわけで、そういう人間というのは、10人中9人からは「決して人から恨みを買うような人ではない」と言ってもらえるかもしれないが、残りの1人からすれば、これほど、むかつく存在はないはずである。 その人の立場においてきっちりと発言するべきであるにもかかわらず、「善人」ヅラしたがり、「誰からも好かれる人」になろうとして、その人が本来ならば発言すべきものを発言せずに逃げて、そのために、本来ならその人が主張すべきものをかわりに他の人間が主張させられて悪者扱いされてしまった、ということだってあるはずだ。「誰からも恨みを買うような人ではない」という言葉の意味だが、「態度をはっきりさせない卑怯者の八方美人だった」という意味の可能性だってある。何人かが「人から恨まれるような人ではない」と言ったとしても、「逆恨み」というものだってあるわけだし、そういう発言をその言葉の通りに受け取るのはいかがなものかと思うのだが、浅見はそのあたりを認識できているようである。
   『熊野古道殺人事件』では、
≪ 内田はソアラの中に入ると、がぜん元気が出てきた。
「許せないね。あんな美人を殺すなんて」
「なんだか、美人でなきゃ許しちゃうみたいに聞こえますね。
読者が聞いたら、怒りませんか」
「あ、その言い方こそ、読者に失礼だろう」
「えっ? あ、そうか・・・物言えば、唇寒し――ですね」 ≫
という登場人物の「内田康夫」と浅見光彦の会話があるが、実際、週刊誌・スポーツ新聞などでは女性が被害者である場合、ともかく誰でも「美人」と冠詞か枕詞みたいにつけるが、そういうのはどうかと思う。 又、浅見が発言しているように、「美人じゃなきゃ許しちゃうみたい」で、内田の指摘というのか浅見の指摘というのかはもっともである。

11.警察以外にも、「権威」主義的人格」の人間が信仰することがある胡散臭い存在に対しての批判がある。
  『赤い雲伝説殺人事件』では、
≪ 「・・・・どんな死に方をしていたって、絶対に他殺でないという証明なんかできっこないのですから。たとえ病院のベッドの上で、大勢の医者や看護婦に見守られながら死んだとしても、それが他殺でなかったとは断言できませんよ。いや、むしろ、病院であるがゆえに、合法的に殺し得るということだってあるのですから。」 ≫

  『白鳥殺人事件』では、
≪ 学校の先生は、「先生」という職業なのだからやむを得ないとしても、代議士や俳優を「先生」呼ばわりするのは耳障りだ。ことに俳優を先生と呼ぶのは気色が悪い。大御所といわれるような俳優が、テレビCMの中で「先生」と呼ばれているのを見て、背筋が寒くなったことがある。・・・≫

   「医者」にはけっこう問題のある人間もいるのだが、身体医学・身体医よりも、「精神医学」「精神科医」はさらに問題が大きいと思われるが、内田作品でも、『少女像(ブロンズ)は泣かなかった』と『鏡の女』(いずれも、『龍神の女(ひと)』祥伝社文庫 所収)で「精神科医」と「精神医学」に対する批判がある。
  『少女像(ブロンズ)は泣かなかった』では、
≪ 「でも、女の方を引き込んだとか、そういう事情を訴えれば、有利に別れることができるのじゃありませんか?」
「そう簡単にいかないんですよ。牧田の知り合いの医者が来て、精神鑑定だとかやって、わたくしを禁治産者扱いにしようってことになったらしいのね」
「まさか・・・・」
「いいえ、ほんとうのことよ。それどころか、もう少し病院に入れられそうだったのだけれど、父が生きているコロから診てもらっているお医者様が、そこまですることはないだろうって言ってくださったの」
「そのお医者さんに力になっていただけないのですか?」
「医者同士の仁義みたいなものがあって、それはできないのじゃないかしら」 ・・・・≫
  『鏡の女』では、
≪ 「・・・あの文瀬のおくさんね。事故死ですよ、事故死」
橋本は無感動な口調で言った。
「事故死?」
「ええ、一応、司法解剖に回しましたがね。強度のノイローゼだったそうで、トランキライザーの飲み過ぎですね。もっとも・・・・」 ≫
≪ 「・・・・ちょうど、昨日の新聞で医者の所得の記事が出ていましてね。なんでもふつうの医者は、一般給与所得者の七倍程度だが、精神科の医師はその二倍もあるらしい。・・・・」 ≫
  「精神科医」には新興宗教の教祖みたいになりたがる者が多く、又、世の中にはその信者になりたがる人もいるわけだが、『鏡の女』では田園調布に邸宅を持つ先祖代々「精神科医」という金持ちの「精神科医」が妻でない女と肉体関係を結び、邪魔になった妻を殺す。ありそうな話である。
≪ 第一、文瀬病院は信用も実績もある格式高い病院である。患者には政治家や財界人が多い。大先生は精神病理学界に貢献した重鎮だし、若先生も東大出のホープである。警察だって、事件捜査の際にはいろいろ世話になっていることが多いのだ。早い話、司法解剖に当たった監察医務院の職員の中には、大先生の薫陶を受けた医師もいるのである。夏子若夫人の「変死」をほとんど病死に近い事故死という扱いで、あっさり処理したのには、そうした背景だって働いていたのにちがいない。≫

  (2018.4.20.)

☆ 内田康夫 追悼
1.旅情と人間関係と推理、刑事をヒーロー扱いしない推理小説、実際にありそうな話 http://shinkahousinght.at.webry.info/201804/article_12.html
2.「巡査長」「部長刑事」「確保」とは。日本の警察は優秀か無能・有害か。対警察防衛。 http://shinkahousinght.at.webry.info/201804/article_13.html
3.警察がしかるべく仕事をするか?、刑事ヅラ、でっち上げ、誘導尋問、別件逮捕・・ http://shinkahousinght.at.webry.info/201804/article_14.html
4.警察に情報提供すべきか?「第一発見者」の恐怖。「善良な市民」とは?〔今回〕
5.誰でも「心不全」「心身耗弱」。内田康夫の問題点。警察に甘い評価もある。  http://shinkahousinght.at.webry.info/201804/article_16.html 


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