祐天寺(目黒区)参拝【4/7】鐘楼堂・阿弥陀堂・五社稲荷。お堂の免震構造の問題と施工法。「水屋」とは

[第576回]
   祐天寺(明顕山 祐天寺)の表門をくぐり、表門‐仁王門‐本堂 というラインを進むと(仁王門は工事中のため、今はその下を通ることはできません。左か右から回ることになります)、仁王門より本堂側の右手に「かさね塚」があり、それより本堂側に「鐘楼堂」↓ があります。
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撮影は12月2日、紅葉がきれいです。
   《ウィキペディア-祐天寺》 には、祐天寺の「文化財」として、国の登録有形文化財に指定されているものが、本堂・書院・地蔵堂・地蔵堂門・表門・水屋の6つ、目黒区指定有形文化財に指定されているものが仁王門と阿弥陀堂の2つと出ているのですが、「水屋」とは、建物の中のものなのか、水屋という建物が別にあるのか、訪問前、建物のこととは思わなかったのです。
   《ウィキペディア-水屋》https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E5%B1%8B を見ると、「水屋(みずや)」という言葉には幾通りかの意味があって、
1. 輪中地帯で、水害時の避難場所として高い場所に作った建物。輪中#施設を参照のこと。
2. 水を扱う場所=台所の古称。転じて、そこに置かれる収納家具(水屋箪笥=食器棚)の別称。
3. 茶室のなかにある、道具を置くスペース。
4. (ア)水を売る商売のこと。 江戸などの水利が悪い地域に、生活用水を売る商売。
   (イ)灘五郷の酒蔵に宮水を売る商売。宮水を参照のこと。
5. 貨物利用運送事業の俗称。
・・・と6通りの意味が出ています。 私は、子供の頃、我が家の食堂に壁面に埋め込まれている食器などの収納棚があって、それを母などが「水屋(みずや)」と言っていたので、食器などを収納する収納家具のことを「水屋(みずや)」と言うものだと思っていたのですが、それは、↑の2番目の使い方だったようで、その後、住宅建築業の仕事につくと、「水屋(みずや)」という言葉が台所・食堂にある食器などの収納家具のことではなく、茶室の付随設備のことを言うようで、どうも、子供の頃に覚えた「水屋」という言葉と食い違い、間違った用語を母は使っていたのかと思ったのですが、そういうことでもなく、「水屋」という言葉は、≪水を扱う場所=台所の古称。転じて、そこに置かれる収納家具(水屋箪笥=食器棚)の別称≫としても使われるが、他方で≪茶室のなかにある、道具を置くスペース≫としても使われるようでした。 住宅建築業の仕事をしていると、単に「水屋」というと、この≪茶室のなかにある、道具を置くスペース≫の意味で使われることが多いようです。 祐天寺の場合はどうなのかというと、≪水を扱う場所≫の意味ですが、≪台所の別称≫ではなく、いわゆる、手水舎(ちょうずしゃ)のことを「水屋」と言っているようです。
   仁王門と本堂の中間付近の右手にその「水屋」(手水舎)がありました。 写真は撮ってきていないので掲載できません。見たい人は祐天寺に行って見てください。 

   浄土系のお寺でも、たとえば、西本願寺(浄土真宗本願寺派 本山 本願寺)http://www.hongwanji.or.jp/hongwanji/guide01.html では、阿弥陀堂が本堂で阿弥陀如来を祀り、御影堂で親鸞聖人を祀っている。 東本願寺(真宗大谷派 真宗本廟)http://www.higashihonganji.or.jp/about/guide/ でも、阿弥陀堂で阿弥陀如来を祀り、御影堂で親鸞聖人を祀っており、阿弥陀堂と御影堂は左右に並んでいる。 但し、いずれも、阿弥陀堂より御影堂の方が大きい。 浄土宗の総本山 知恩院のHPhttp://www.chion-in.or.jp/04_meiho/map.html を見ると、阿弥陀堂で阿弥陀如来を祀り、御影堂で法然上人を祀っているようですが、どちらが本堂といったことは書かれていません。 増上寺http://www.zojoji.or.jp/keidai/ では、大殿(本堂)に本尊 阿弥陀如来を祀り、その脇に法然上人が祀られているらしい。 やっぱり、いかに宗祖とはいえ、浄土系のお寺においては、本堂で祀られるのは阿弥陀如来であって、開祖とか開山とかいう人が祀られるのは本堂ではなく、別のお堂か本堂の本尊の脇の位置かと思うのですが、祐天寺の場合は、表門から仁王門を経て正面にある本堂には祐天上人が祀られており、仁王門から本堂に至る参道の途中の左側にある阿弥陀堂で阿弥陀如来が祀られているようです。又、本堂と阿弥陀堂の2つのお堂で祀られているのは、「阿弥陀如来と法然」ではなく「阿弥陀如来と祐天」です。祐天寺というお寺では、それだけ、祐天上人の存在が大きいということでしょうか。
    仁王門から本堂に進む参道の左側に阿弥陀堂があります。 お寺は、南から北に入るか、東から西に入るかという配置のお寺が多いのですが、祐天寺の場合、表門が北側にあります。駒沢通りの南側の立地であることから、又、≪当時(江戸時代中期)は新しい寺院の建立が禁止されていましたが、八代将軍吉宗公のお取り計らいにより、善久院という小庵に祐天寺の名を付す形で建立することが特別に許可≫(祐天寺でいただいたリーフレット)されたという経緯から、もともとは小庵だったからでしょうか、北から南に入るようになっています。

   仁王門から本堂に至る途中、左手に阿弥陀堂(目黒区指定有形文化財) ↓ がある。
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( ↑ 阿弥陀堂。 目黒区指定有形文化財。 )
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( ↑(左)阿弥陀堂。 (右)五社稲荷。 )
リーフレットには、≪ 享保8年(1723)に5代将軍綱吉公の妻女竹姫より寄進されました。・・・≫とある。だから、江戸時代中期からの建物なのだろう。 

   この阿弥陀堂もまた、免震構造が施されている。↓
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↑ この隙間より上が、地震時、横に移動することにより、それより上の部分に加わる力が弱くなることになる。 免震構造の問題は、この「隙間」と、もうひとつは地盤と建物との間の「段差」である。ある位置から上が横に移動することにより、それより上の建物に加わる力を弱めるということは、どこかで地盤と建物との間に「段差」ができることになる。 これは、「バリアフリー」を実現しようとした時にその部分をどうするのか、なんとかできるのかと問題になる。
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↑ お寺のお堂の場合、もともと、地面より高い場所に設置され、階段で上がるようになっているので、バリアフリーもないわけで、↑の阿弥陀堂にしても、階段で上がるようになっています。しかし、それにしては↑の最初の1段目は何だろうか。 いったん、免震構造に施工した後、やっぱり、最初の1段目の段差が大きいからもう1段作ろうとしたということなのでしょうか。 となると、地震で免震構造が作動して免震装置より上が横方向に移動した際、1段目の石段をはじき飛ばすことにならないか。 それとも、↑の1段目も地震時に免震装置の1つとしてなんらかの作動をするのでしょうか。
   もうひとつ、雨樋を地面のすぐ上で止めて地面に雨水を流すように施工する場合は免震構造も耐震構造も特に違いはないのですが、雨樋を地中まで入れて地中を雨水配管で通してU字溝もしくは道路下の雨水管に接続(途中に浸透桝・雨水桝をはさむ場合もあり)する場合、免震構造にする時、雨水の縦樋をそのまま地中まで入れると、地震時に免震装置が作動して建物が左右に移動した際に縦樋が破壊されてしまうという問題があるのです。 そこで、「エクスパンションジョイント」というのか、柔軟性のあるものを縦樋が地面にもぐる前のあたりにつけるという方法があるらしいのですが、ここでは、正面入り口の両側で縦樋は最上部で止めて、下に「壺」を置いて上から落ちて来る雨水を受けるようになっています。 寺社では、金属製の鎖をつないだものをたらし、雨水がその鎖をつたって下に落ちるようにしているものをよく見ますが、それではだめなのか? と思いましたが、もし鎖をつないだ「縦樋」を吊るした場合、免震構造では耐震構造の場合以上にその鎖が揺れて危険ということがあるのかもしれない。 もっとも、↑の状態では、雨の時、上から雨水が相当豪快に落下してくる。特に、雨とともに風が強い日だと上から「壺」に落ちるまでの間に相当吹き飛ばされるということはないか、という心配があります。
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   ↑免震装置として、地震時に左右に移動する部分の移動範囲に石を敷いてその周囲に↑のように瓦? を縦に埋めています。↑ これは、大地震の際には建物が左右に移動するので、その時、建物のすぐそばにいるとはじき飛ばされることになって危険なので、これより内側には特に免震装置のメンテナンスの作業をする人など以外は近づかないようにしてもらいたいという目印、駅のプラットホームの白線のようなものなのか? 建物の周囲に雨水の溝を作りたかったが、免震装置の周囲に溝を作ると、地震時に建物が移動しだした時にそばにいた人が避難しようとした際、そこに溝があると足をつっこんで危ないので、それで、雨水の溝に↑のように縦に瓦を入れたというものなのか。 縦に瓦を入れても、それでも雨水の溝としての機能は果たすのか・・・・。
   免震構造は、地盤と建物の間に意図的に揺れやすい層を設けて、地震時に、地盤の揺れをその層よりも上にそのままは伝えないようにすることで、建物の揺れを小さくして、建物の被害を防ぎ、建物の中にいる人や建物の中に設置されているものを守るというものですが、問題点として、地震時に建物が移動した時に、建物のすぐそばにいると危険であり、かつ、地震はいつくるか分からないので、結果として、常に建物のすぐそばにいることはできないことになりますが、しかし、お寺のお堂などは、その性質として、できるだけ、人々にそこに寄って来てもらいたいもの、人にそばに来てもらいたいものという性質があり、良寛などは、ともかく、人々と身近に接して、子供たちにも寄ってきてもらおうという人であったと伝えられるのですが、人々によってきてもらいたいお堂において、すぐそばに寄らないようにしてもらいたいというのは、あくまでも「すぐそば」であって、1mも移動するわけではないのですが、そうはいっても、すぐそばに寄れないというのは欠点ではあるでしょう。
   江戸時代中期から建っている建物に、免震施工をしたというのは、どうやって施工したのだろう。 いったん、解体して免震装置を据えてそれからその上に組み立てたのか、それとも、建物が建った状態でその下に免震装置を入れたのか。 上野の国立西洋美術館は、建物が建ったままの状態でその下に免震装置を施工するという「離れ業」をやったようだが、祐天寺では、地蔵堂・阿弥陀堂・本堂・書院・仏舎利殿の5つに免震施工がされているが、仏舎利殿は新しそうだが、他は本堂・書院・地蔵堂が国登録有形文化財、阿弥陀堂が目黒区指定有形文化財に指定されているように、けっこう古い建物なので、「解体修理」をする際に免震施工もするというのならやりやすいだろうけれども、建物が建った状態でその下に免震装置を入れるというのは、けっこう大変かと思うが、国立西洋美術館のような鉄筋コンクリート造のたてものは「解体修理」なんてやりようがないが、木造のいいところとしてそれができるという点があるが、祐天寺の本堂・書院・地蔵堂・阿弥陀堂は建物をいったん解体するか、もしくは、曳家して横に動かして、その間に免震装置を据えたのか、それとも、国立西洋美術館のように建物が建った状態でその下に免震装置を入れたのか・・・・。

    阿弥陀堂の隣(奥側、南側)に「五社稲荷」があります。↓
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「五社」とはどういう意味か。 《祐天寺HP 五社稲荷》http://www.yutenji.or.jp/main.asp?fl=show&id=1000002142&clc=1000002122&cmc=1000002126&cli=1000002128&cmi=1000002130&win=True には、≪ 祐天上人ご誕生の日、白狐が3声鳴いたという随身稲荷をはじめ、松黒、富山、天白、妙雲の5社が、正一位五社稲荷大明神として祀られています。 ≫と出ている。 インターネットで「随身稲荷」と入れて検索すると、東京都港区の芝公園(旧 増上寺境内)に、圓山随身稲荷 というのがあるのが見つかったが、他はよくわからない。
※ 《神社と御朱印 圓山随身稲荷大明神》https://jinja.tokyolovers.jp/tokyo/minato/maruyamazuishininari

   (2017.12.24.)

  次回、《 5.本堂。お堂の免震構造とその周囲。免震とバリアフリーとの関係。》 http://shinkahousinght.at.webry.info/201712/article_9.html


☆ 祐天寺(東京都目黒区)参拝
1.表門・仁王門。祐天寺商店会。警察は犯罪者の味方。http://shinkahousinght.at.webry.info/201712/article_5.html
2.地蔵堂・地蔵堂門・子守地蔵・水子地蔵。「寅さん」「鬼太郎」「マグマ大使」「パンダ」浅見光彦論。http://shinkahousinght.at.webry.info/201712/article_6.html
3.かさね塚。仏舎利殿。海難供養碑。職場の我儘女と「少子高齢化対策」に殺された我が子。 http://shinkahousinght.at.webry.info/201712/article_7.html
4.鐘楼堂・阿弥陀堂・五社稲荷。お堂の免震構造の問題。〔今回〕
5.本堂。お堂の免震構造とその周囲。免震とバリアフリーとの関係。http://shinkahousinght.at.webry.info/201712/article_9.html
6.書院。免震とバリアフリーの関係。鬼怒川・毛野国の地名の由来。http://shinkahousinght.at.webry.info/201712/article_10.html
7.宝篋印塔・祐天上人墓。C57車輪。みよし商店会。「権威主義的パーソナリティー」の「デザイナー」。親に加担する教諭。 http://shinkahousinght.at.webry.info/201712/article_11.html 

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≪ ビュッフェスタイルの食事を済ませ、ようやく落ち着いてコーヒーを啜っているところに、ウェートレスが近づいてきた。・・・・「ご面会の方が見えてますけど」と言う。
   心当たりはないが、たぶん康子だろうと思って出て行くと、人相の悪い男が二人、ロビーに佇んでいた。直感的に(刑事だ――)と分った。・・・・ ≫
( 内田康夫『萩殺人事件』2015.11.20.光文社文庫 ↑)




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