在来木造 構造 工事現場の観察と分析(1) ~市原市 I 様邸の推移

〔第6回〕
   新華ハウジング有限会社(千葉市)施工の千葉県市原市菊間の I 様邸です。↓ (2010年2月7日現在)
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   「在来木造」と表現しても、「木造在来」「軸組工法の木造」と表現しても同じ意味ですが、「昔からの木造」という表現をしますと、戦前型の「貫き(ぬき)」と「大黒柱(だいこくばしら)」による木造と戦後型の「筋交い(すじかい)」式のものとは違いがあるし、最近の木造は機械プレカットによる加工が普通になってきているので、30年くらい前の手加工による木造とはその点で違いがあるし、ましてや、飛鳥時代の法隆寺のような建物と同じであるわけではないので、「昔からの木造」という表現は最適ではないと思います。 現在の「木構造」の建物としては、「在来木造」以外に、北米由来の「ツーバイフォー工法(枠組壁工法)」、それに「木質プレハブ(木質パネル構法)」とログハウスに見られる丸太を積み上げる「組積造(そせきぞう)」とがあり、「ツーバイフォー工法(枠組壁工法)」「木質プレハブ(木質パネル構法)」「組積造」ではない木構造として、在来木造を「昔からの木造」と表現している場合があるようですが、「昔からの」という表現はあまり適切ではないように私は思います。
   ロシア連邦のイルクーツクに行った時、イルクーツクの戸建住宅は、「木造」でできており、イルクーツクとバイカル湖の湖畔の町・リストビャンカとの間に「木造住宅博物館」がありますが、その「木造住宅」は日本で言うところの「ログハウス」・丸太を積み上げた建物で、それが、イルクーツク周辺では普通のようで、イルクーツクでは日本で言うところの「ログハウス」が「昔からの木造」であったようです。
    2005年に亡くなった木構造の研究者・杉山英男・元東大名誉教授は、これらの木構造を対立的に考えるべきではなく、木構造というひとつの仲間と考えて、むしろ、相補うものととらえていくべきと述べられていたと思いますが、たしかに、そうでしょう。
    又、杉山英男・元名著教授は、「在来木造」という表現をすると、電車でも、「新幹線」に対して「在来線」という表現をすると、在来線の方が古くて劣っているような感じがするように、「在来木造」という表現をすると、他の木構造に比べて、古くて劣っているかのような印象を受けかねないが、「在来木造」「軸組構法の木造」は、決して、他の木構造に劣っているわけではないと述べられていたと思いますが、たしかにそうでしょう。 住宅建築業の会社には、対立的にとらえて自社がおこなっている構法が優れていると表現したがる会社がありますが、杉山・元名誉教授が言われるように、対立的にとらえるべきものではないと思います。

※杉山英男『木造住宅は地震に強いか』(講談社 ブルーバックス)
   同   『デザイナーのための木構造』(彰国社)
   同   『地震と木造住宅』(丸善)
   同   『安心という居住学―今なぜツーバイフォー住宅か』(三水社)
 彰国社編『木造の詳細 1.構造編』(彰国社)  他参照

   さて、建築屋としては、建築屋流「百聞は一見に如かず」で、お写真から。
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 ↑ 2010年1月22日現在の写真です。 広い部屋を取るために、太い梁を使用し、特に荷重がかかるところには、集成梁を使用しています。

   ムク材と集成材とはどちらがすぐれているか、どちらが高級品なのか、という問題について、どうも、集成材を使っている住宅建築会社は集成材の方がすぐれているんですよ、と言い、ムク材を使用している会社は、ムクの方がいいに決まっているじゃないですか、と言い、総合住宅展示場などに行って、両方を言われた方は、どちらを信じていいのかわからなくなってしまったりするのではないかと思います。 入場した展示場で、より多くの営業担当者が言った方を正しいと考える方もあるようですが、多数決で決まるものでもないと思います。又、某財閥系大手在来木造メーカーが集成材を使っていることから、集成材がいいと信じる方もあるようですが、財閥系であろうが、大手であろうが、そこにいる人間は生身の人間であって、財閥系の会社の人間の言うことであるからという理由で正しいとも言えないでしょう。
   それで、実際にどうか、といいますと、結論として、はなはだ無責任な答えのようですが、ムク材にもいろいろなものがあり、集成材にもいろいろなものがあるので、どちらが優れているとも、どちらが値段が高いとも、いちがいには言えない、というのが答え・・・・というと、答えになっていないかもしれませんが、実際に、そうなのです。
   又、柱材の場合と梁材の場合によっても違います。 構造材の場合と造作材の場合でも違います。

   柱材について言いますと、「集成材はムク材の1.5倍の強度がある」という神話が蔓延してしまっていて、その話を、住宅建築業の会社で集成材を使っている会社の営業が、会社から教えられて、(私にように疑わずに、)そのまま口うつしでお客様に話すものですから、一般の方でも、「集成材はムク材の1.5倍強い」と信じている方があるのです。 しかし、根源的な問題として、 今、ムクの桧(ひのき)、あるいは、ムクの杉(すぎ)で、4寸角(12㎝角)のもの、あるいは、3.5寸角(10.5㎝角)のものがあって、これを5枚にスライスして、それに、「木工用ボンド」でも、あるいは、接着剤「G17」でも、あるいは、「アロンアルファ」でもつけて、もう一度、貼りつけたとして、それで、5割増しの強度になると思いますか???・・・・・ なったらおもろいわ。 なるわけないでしょうが。

   それでは、「集成材はムク材の1.5倍の強度がある」という話は、まったくのウソッパチなのでしょうか。それとも、まるまる正しいのではないとしても、何か論拠となるようなものはあるのでしょうか。 
   まず、建築材には、「許容応力度(きょようおうりょくど)」という考え方があります。 その材料に荷重がかかったときに、どのくらいの強度まで耐えられると考えるべきか、というものですが、鉄とかであれば、鉄の強度はいくらと定めやすいのですが、木の場合は、桧(ひのき)なら桧、杉なら杉であっても、芯材の部分と辺材の部分でも強度は違うし、十分乾燥した木かそうでない木かでも違うし、目のつまった木と、某在来木造会社が使っているようなメタボリック杉とでは違うわけです。 特に、ムク材の場合は、1本1本が違うので、「許容応力度」をいくらと設定すれば良いのか、まったく困ってしまうのです。 そこで、構造計算をする際などには、ムク材の場合は、「その数値よりも弱いものは、全体の5%以下」という数値を「許容応力度」と定めることとされているのです。ということは、実際に使われている木は、許容応力度の数値よりも強い場合が多い、95%以上は許容応力度の数値よりも強い。  それに対して、集成材の場合は、自然の木を利用しているとはいっても、半ば、工業製品ですから、ほぼ、実際の強度を「許容応力度」とすることができるのです。 その結果として、ムクの木の場合は、実際の強度よりも相当に弱い数値を「許容応力度」としているのに対して、集成材は実際の強度に近い数値を「許容応力度」としている為、「許容応力度」としては、「1.5倍強い」ことになっている、なってしまっている・・・ということです。  ムクの桧、ムクの杉を5枚におろして、再度、接着剤アロンアルファを塗ってはりつけると5割増しの強度になるわけではないのです。
   昔、私がいた某社の店長のオッサンが、「うちの会社は集成材を使うようにしているんです。集成材はムク材の1.5倍強いんです。」などとお客様に話していましたが、アホか! ホワイトスプルスの集成材が桧のムク材の1.5倍強いわけないじゃないか!  よくそういうことを言うよな~あ・・・・。

   「強度」以外に、集成材が良いところとしては、柱材にしても梁材にしても、集成材は、薄い状態で乾燥させて、それから貼り付けるということができるので、ムク材に比べて乾燥させやすい、ということはあります。 しかし、ムク材でも、柱材の場合、人工乾燥によって、十分に乾燥させることはできるので、ムク材であるから乾燥できていないとは言えません。 梁材の場合は、柱材などに比べて厚いので、ムク材は、なかなか乾燥させにくいということはあるようですが、だから、構造に支障がでるというものでもありません。

   梁材の場合は、集成材には、ムク材とは違った特徴があります。 梁材として使用される木は、大手メーカーから工務店、個人大工を通じて、現在の木造住宅では、たいてい、ダグラスファー(米松 べいまつ)ですが、ムクの梁(はり)の場合、木の目の向きがあるのです。 芯に近い部分と周辺に近い部分では、乾燥が進んだ時に、芯に近い部分と周辺に近い部分では、芯に近い部分の収縮は小さく、周辺の方が収縮が大きいので、辺材の方が内側になるように曲がることになるのです。 
   それに対して、集成材の梁では、木の目の向きが交互になるように貼り合わせるので、薄いそれぞれの部分が曲がろうとしても、その曲がろうとする向きが交互に逆である為、全体としては曲がらないという結果となるのです。
   しかし、だから、ムクの梁は欠陥品なのかというと、そうではありません。 木の目に向きがある、というのは確かですが、木というのは、もともと、そういう素材であり、そういう素材を活用して建てるのが木造という構法であり、「適材適所」とは、木を、それぞれの性質によって、ふさわしい場所、ふさわしい使い方をすることを言い、ふさわしい使い方をすれば良いのです。 両側を柱で支えられた梁は、その中間部が重力により下がろうとしますが、ムクの梁を使う場合は、木の芯材側を上、辺材側が下になるように加工すれば、中央部が上に上がろうとする力が働き、その結果、重力によって下がろうとする力を打ち消すようになるのです。
   ヨルン=ウッソンというデンマーク人の「建築家」が設計したシドニー=オペラハウスは、「プレストレス」という方法を取って施工されたといいますが、「プレストレス」とは何かと言いますと、たとえば、鉄筋コンクリートの梁の場合、上と下に2本の鉄筋が入った鉄筋コンクリートの梁を施工するとして、下の方の鉄筋を、両側から引っ張った状態で、鉄筋コンクリートの梁を作ると、あらかじめ引っ張られた鉄筋は縮もうとする力が働くので、梁の中央部が下がりにくくなるというものだそうです。 ムクの梁で、辺材側を下、芯材側を上に施工したものは、いわば、「プレストレス」という施工をした鉄筋コンクリートの梁と同様のものであり、集成の梁よりも、むしろ、科学的でさえあるようにも思えます。
   しかし、しかし、です。 だから、ムクの梁が良いとも言い切れません。 最近は、機械プレカットが普通になってきているのです。 昔は、大工の修行を積んだ人が手でノミを使って、継ぎ手(つぎて)・仕口(しぐち)といった接合箇所を加工していたものですが、機械プレカットでは、機械の使い方さえ覚えれば、特に修行を積んだ人でなくても、熟練の大工以上の加工ができるというのです。 すばらしい・・・と喜んでばかりもおれません。 熟練の大工・・・でなくても、熟練の大工以上の加工ができる、としても、それは、継ぎ手(つぎて)・仕口(しぐち)の部分の加工についてなのです。 上に述べた、芯材側を上、辺材側を下にして、といったことは、「熟練の大工」であればわかっているはずですし、私もわかっていますが、機械プレカット工場で働いている人は、基本的には工場労働者であって、大工でも、建築技術者でもない場合が多く、そういう人は、芯材側を上、辺材側を下にするといったことなど知らないのです。 私がかつて在籍した某社の工場の人間に話すと、「そんなこと知っている人間、工場にひとりもいないよ。」と言われました。 実際、勤めてからずっと工場で働いていて建築現場を見たことのない人がわかるわけないですよね。 こういったことは、その機械プレカット工場によっても多少は違いはあると思いますが、芯材側と辺材側を逆に加工したものが、工事現場に届く、ということは、十分にありうることであり、その点、集成材の梁は、上下もへちまもないので、どちらを上に加工したものが現場に届いても問題ないという、「長所」と言ってよいのかどうかわかりませんが、そういう特徴はあります。

   集成材はムク材よりも、材木を有効に利用しているので自然に優しい、などと言われることもあるようですが、そうとも限りません。 たしかに、1本の丸太から、どれだけ建築材料として利用できるか、という点では、ムク材として利用するよりも、集成材として利用する方が、多く利用できるので、有効利用と言うことはできると思います。 しかし、です。 建物は、早いか遅いかの違いはあっても、いずれ、解体されて廃棄されるわけですが、ムク材の場合は、名前の通り、木材だけでできているのですが、集成材は接着剤で接着されているのです。 ということは、ムク材を焼却した場合に発生するものと、集成材を焼却した場合に発生するものとを比較した場合、集成材を焼却した場合に発生するものの方が有害なものを含む可能性が高い・・ということが考えられ、この点を考えると、集成材は必ずしも地球に優しいとは言えないことになります。 ムク材ならば焼却を認められるが集成材なら認められないということも考えられます。
   銘木と言われるような木で、しかも、造林で育てることが今のところできないような木を造作材として利用する場合は、集成材として使った方が、より多く使えると言えます。 それに対して、造林木の場合は、集成材がムク材よりも自然に優しいとはいちがいに言えないと思います。 
   又、集成材として使われる木は、多くが輸入材であるのに対して、柱材で、ムク材として使用される桧・杉といった木は、日本国産材であり、国産材を使用した方が、日本の林業を保護することになり、日本の造林の林を守ることができるという面もあります。
   又、マホガニー [ ホンジュラスマホガニー とか、メキシカンマホガニー と言われる本物の銘木のマホガニー。 某家具メーカーが、ニューギニアやソロモン諸島で採れるマトアと言う木を「ソロモンマホガニー」という名前をつけて売り出しているようですが、マトアは、質の悪い木ではありませんが、本来のマホガニーとは別の木です。] のように、通常、集成材にした上で造作材として使われる木もあります。 マホガニー[本来のマホガニー]は、見た目が美しいけれども、ムク材として使うと、狂いが大きいと聞きます。

   ということで、集成材とムク材では、どちらが良いとは、いちがいに言えないし、どちらが高いともいちがいに言えないし、どちらが自然に優しいともいちがいに言えない、ということになるのです。

   梁材の場合、集成材には、もうひとつの長所というのか特徴があります。 それは、梁材の場合、構造上、柱材よりも太いものを必要とし、 それは、幅よりも厚さを必要とするのですが、集成材の場合は、何枚かのものを貼り合わせて作るので、自然に存在したものよりも太いもの・長いものを人工的に作ることができるという点です。
   上の写真で使用されている集成材も、特に厚い・長いものを必要とすることから、集成材を使用したと思われます。

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 ↑ 柱と土台との接合部。 2010年1月22日。
   地震の際には、横方向に強い力が加わることが多いのですが、上下の動き、縦揺れもあります。 その際に、柱と土台、土台と基礎が離れてしまうことがないようにしなければなりません。 ここでは、柱と土台との間に、柱のホゾを土台のホゾ穴に入れるだけでなく、写真の平金物にビス止めにして、柱と土台とを接合しています。
   15年くらい前までは、土台と柱・梁と柱の間は、金物を使用してビスどめではなく、鎹(かすがい)を打ち込むことが多く、その後、どの会社がというのではなく、日本の木造住宅全般に、鎹(かすがい)ではなく、金物にビスどめという方法に変わってきましたし、写真の私が在籍させてもらっている新華ハウジング有限会社でも金物にビス止めとしていますが、はたして、鎹(かすがい)よりも金物にビスどめの方が強力なのかどうか、絶対に金物にビスどめの方が良いとも言い切れないのではとも私は思うのですがどうでしょうか。
   この建物では、柱は、すべて、桧の4寸角(12㎝角)を使用しています。 写真で、柱に上下に割れているように見えるものがありますが、これは、「背割り(せわり)」「背割れ(せわれ)」とか「芯びき(しんびき)」と言って、あらかじめ、柱を縦に芯に届くように切っておくもので、この「背割り」「背割れ」「芯びき」をおこなっておくと、施工後、さらに乾燥しても、この「背割れ」「背割り」「芯びき」の部分が広がり、そのかわりに、その他の部分での割れが出にくくなるというものです。
   基礎と土台の間に見える黒い樹脂製のものは、いわゆる「基礎パッキン」と言われるものです。 戦後の建物は、地震に強くする為に、基礎は、布基礎(連続基礎)にしなければならないことになりましたが、その結果、床下が基礎で囲まれることになり、床下が湿けやすくもなりました。その対策として、床下の通風をはかることが必要となったのですが、「床下換気口」を設ける方法と、最近では、写真の「基礎パッキン」を基礎と土台の間にはさむという方法とがとられます。
  基礎は高い方が地震などの力が加わった時、基礎が建物の最下部の梁として強度を発揮できるのですが、「床下換気口」の方法ですと、床下換気口の部分で基礎が切り取られる為、斜筋(しゃきん)と言って、斜めの鉄筋を、床下換気口の両側に入れて補強するとしても、やはり、他の部分に比べて強度は弱くなります。 又、床下換気口の上の部分に柱が来ないように床下換気口の場所を決めなければなりませんが、設計担当者が、そのあたりを理解しているかどうかはわかりません。 理解していない人も少なくないのではないかと思います。その点、「基礎パッキン」であれば、その部分で基礎が弱くなることもありませんし、建物のすべての場所において均質に「基礎パッキン」が土台と基礎の間にあるので、柱の位置を気にする必要もありません。
  「床下換気口」の場合は、できるだけ、建物の向かい合わせの場所に設けて、風が通り抜けるようにするのが好ましく、床下換気口の前には、物を置かないようにしなければなりませんが、 そのあたりを設計担当が理解しているかどうかは人によるでしょうし、工事担当が理解しているかどうかも、やはり、人によるでしょう。私がかつて在籍した某社の「設計」の場合はわかっていない奴の方が圧倒的に多いという状態でした。なにしろ、「設計」という肩書を持った人間というのは殿様のようなもので建築現場を見に行きませんし、たとえ百回に一回行っても箸より重い物は持ちませんから。(それにもかかわらず、実際の建築現場を知らない「設計」がでまかせで言う事をありがたがる人がいるというのは、馬鹿じゃなかろか・・という気がしますね。) 床下j換気口の前に物を置かないようにといっても、建物の周囲には、エアコンの室外機・オール電化住宅ならエコキュートの設備・プロパンガス利用ならガスボンベ・オール電化でなければガスボイラーもしくは灯油ボイラー・灯油ボイラーならば灯油タンク・・・・と、けっこう、建物の周囲に置くものはあるのです。それらは床下換気口の前を避けて設置するべきですが、基礎パッキンならば、建物全体で、基礎と土台の間にあるので、周囲に置くものをどこにするか思案する必要もありません。
  かつて、「ネコ土台」と言われるものがあり、今の「基礎パッキン」のように、コンクリートの基礎と土台との間に部分的に木をはさむというやり方がありましたが、基礎パッキンは「ネコ土台」と似ていますが、材質は木ではなく樹脂であり、シロアリが嫌がる性質を持つと言われ、土台の木がコンクリートの基礎から離れるため、その分、土台が腐りやシロアリの被害にあいにくくなると言われます。
  もっとも、床下換気口の場合、「寒冷地用の床下換気口」というものがあって、床下換気口に開閉できるつまみがついていて、積雪地では、冬場は、床下換気口から雪が入り込まないように、床下が冷えないように、床下換気口を閉め、春になると開けることができるというようにできていたのですが、基礎パッキンでは、開閉できるようにするのは難しいと思われます。
  床下換気口は、基礎の下の方ではなく、基礎の上の方に設けた方が、床下換気の点で好ましいと言われ、その点、基礎パッキンは、基礎の一番上の所に設置されることになるのですが、理論通りになるかどうかは、まだ、実績が蓄積されていない為、断定はできないでしょう。

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 ↑ 筋交い(すじかい)と柱・梁との接合部。 2010年1月22日。
    筋交い(すじかい)には、圧縮の力が加わった時に力を発揮する「圧縮筋交い」と引っ張りの力が加わった時に力を発揮する「引っ張り筋交い」があり、最近の木造住宅で入れられている筋交い(すじかい)は、一般に、「圧縮筋交い」ですが、圧縮筋交いは、圧縮の力が加わった時には威力を発揮しますが、引っ張りの力が加わった時、接合部がいいかげんであれば、はずれてしまうおそれがあり、いったん、はずれてしまうと、次に、圧縮の力が加わった時にも、威力を発揮できなくなります。 引っ張りの力が加わった時にはずれないようにする為に、接合部に、「筋交いプレート」と言われる金物を取り付けています。 最近では、筋交いプレートを取り付けるのはあたりまえのようになってきましたが、かつては、釘を2~3本打ちこんだだけ、といった施工を見ることもありました。 このあたりは、木造住宅全体が進歩したところといえるのではないでしょうか。
   
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 ↑ 2010年2月7日。 内部。 
 たすき掛けの筋交い(すじかい) に、さらに、構造用合板を柱の外側から貼り付けています。
 筋交い(すじかい)は、構造用合板や構造用パネル(配向性ストランドボード、OSB)と異なり、向き・方向性があります。左上から右下への筋交いは左から右への力に役立ちますが、右から左への力には役立ちません。逆に、右上から左下への筋交いは右から左への力に役立ちますが、左から右への力には役立ちません。 しかし、それなら、筋交いは構造用合板や構造用パネルに劣るのかというと、そういうわけではなく、建物全体で見て、左上から右下への筋交い右上から左下への筋交いとの両方を入れるようにすれば、建物全体では、どちらの力にも耐えることができるようになるのです。 この建物では、筋交いを入れるとともに、柱の外側からツーバイフォー工法のように構造用合板を張りつけていますので、「壁倍率」と言われる、地震・台風時に加わる横方向の力に対して耐えることのできる程度は、相当のものがあります。
   但し、良いことばかりとは言い切れません。 ツーバイフォー工法の問題点として言われることとして、断熱材の外側に構造用合板・構造用パネルがあり、通気層は、構造用合板・構造用パネルの外側に設けられる為、断熱材と構造用合板・構造用パネルの間に湿気が貯まらないか、という不安があり、その点、在来木造であれば、横方向の力に耐えるのは筋交いという斜め材で「線」であり、ツーバイフォー工法の構造用合板・構造用パネルのような「面」ではない為、断熱材の外側で結露することがあっても、解消されやすいと言われるのです。断熱材には、グラスウール・ロックウールといった鉱物繊維系の断熱材、ウレタン・ポリエチレンなどの化学物質系の断熱材、羊毛(天然ウール)やコルク・木そのものといった自然素材の断熱材があり、ウレタンなどの化学物質を吹き付ける施工であれば、グラスウール・ロックウールといった鉱物繊維系の断熱材と違って、断熱材と構造用合板・構造用パネルとの間に空間ができないので、その部分で結露しにくいとも言われるようです。 実際に、ツーバイフォー工法で建てられた建物は、すでに相当の数に達しており、当初、北米とは気候風土の異なる日本で、ツーバイフォー工法の建物が通じるのかと不安も言われたものの、すでに相当の実績が残っており、相当のものが相当の年月に耐えてきているのですが、構造用合板・構造用パネル(OSB)で断熱材の外側を囲うツーバイフォー工法よりも、筋交いという「線」はあっても構造用合板・構造用パネルという「面」のない在来木造の方が、断熱材の外側の部分での結露という点では、優れているのではないかと言われてきたのです。 ここでは、在来木造の建物で、筋交いを入れるだけでなく、柱の外側に構造用合板を貼ることで、在来木造の強度に、さらに、ツーバイフォー工法の強度を合わせたような効果を持たせていますが、断熱材の外側部分での結露の不安という点でも、ツーバイフォー工法に似た性質を持つことになっています。 すべての点において最高とは、なかなかいかないのですが、ここでは、「筋交いの強度に構造用合板の強度をさらにプラスする」、という方を選択したというものです。

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 ↑ 2010年2月7日。 内部。 オール4寸角の桧の柱が立つ。
  オール4寸角(12㎝角)の桧の柱が並ぶのは壮観です。 紙が巻いてある柱は、真壁(しんかべ)の和室の役柱(やくばしら)です。 上下に切り込みがあるように見えるのは、上で述べた「背割り」「芯びき」です。
  
  建物が完成した時に、柱が見える作りを「真壁(しんかべ)」、柱が見えない作りを「大壁(おおかべ)」と言いますが、和室の場合、江戸時代頃から、真壁の和室の方が本格的な和室で、格が上と認識されるようになりました。

  柱で、節(ふし)が少ない方が良いと言われるのは、真壁の和室で柱が見えた時に、節が少ない方が見た目が良いというところからであって、節が少ない柱の方が強いというわけではありません。 
  集成材の桧の柱とムク材の桧の柱ではどちらが良いか、というと、ムクの桧の柱は、節の少ないものと言えども、自然の木ですから、小さい節が少しくらいはあるのが普通で、本当に節のないムクの桧の柱となると値段も相当にしてきてしまうのです。 それに対して、集成材の桧の柱というのは、表面には節の無い部分を貼りますから、つくづく、節はないのです。 しかし、だから、集成の方がきれいと言う人の発言を聞くと、私は、それは違うよ、あなたは実際にムクの桧の柱と集成の桧の柱を見比べたことがあるのですか、と言いたくなります。
  集成の柱は、表面に節の無い部分を貼っているので、本当に節がないのですが、ムクの桧は、小さい節が少しあっても、実際の木のそれぞれの面が見えているので、柱の2面が見えるところ、3面が見えるところにおいて、見えている2面、3面が、本来の木の2面、3面であって、その2面・3面に自然なつながりがあるのですが、集成材の桧には、見えている2面・3面につながりはなく、ムクの桧に比べて不自然なのです。
  そして、桧は良い香りがする・・・と言われますが、プンプンにおいがするというのではなく、鼻を近ずければかすかににおうというものではあるのですが、香りという点では、やはり、ムクであってこそではないでしょうか。
  そして、集成材の桧というのは、桧であるのは表面だけであって、中身は桧ではないのです。
  これらを考えると、絶対的にどちらが良いとは言い切れないし、好みの問題もあるのですが、私は、桧の柱に関しては、ムクの方が好きですね。
  値段に関しては、節の少ないものについては、桧のムクは集成よりは高いでしょう。 但し、集成材が欠陥品というわけではなく、ムク材でも乾燥を十分におこなったものは、そうは狂わないとしても、比較して考えるなら、集成材の方が、くるいはより少ないということは言えるでしょう。

  それで、ムク材と集成材は、どちらが良いか、については、無責任な答えのように受け取られるかもしれませんが、絶対的にどちらが良いというような結論はない、と言わざるをえません。
  しかし、いずれにしても、自分の勤めている会社がムク材を使用しているから「ムク材がいいに決まっているじゃないですか」と言い、集成材を使用する会社に移れば「集成材はムク材の1.5倍強くて狂いが少ないんです」と、あたかも、ムク材を使うと狂いまくるかのように話す、といった、なんとも節操のない人よりは、上記の考察をおこなって説明できる人間の方が良心的だと思いませんか?

  ということで、以上、市原市の I 様邸の構造現場の報告と私の木造についての学習結果のご紹介でした。今後も、構造現場の報告と学習・研究結果の報告は続けさせていただきますので、

             !!乞うご期待!!

  昔、近鉄バッファローズに加藤哲という投手がいまして、日本シリーズで巨人と対戦して勝った時、「巨人は、ろって 以下や!」と話し、近鉄3連勝のあと、次に投げる時、「今度も勝ってやる。 その時は、再度、『巨人は、 ろって 以下や』と言うたる。 負けた時には『すいません』言うたる」と語り、実際には、近鉄が3連勝のあと、巨人の4連勝(近鉄の4連敗)となったということがありました。 上記に述べたことは、私の学習成果であり、住宅建築の会社に勤める人間でも、でまかせ、いいかげんなことを話す者もいますが、私は決してそうではありませんが、もしも、適切でない部分、私の勉強不足の部分がありましたら、「すいません」と言いますので、遠慮なくご指摘いただきたいと思います。

  これから住宅を建てようかとお考えの方、参考になりましたでしょうか? たとえば、弁護士に「相談」すると、一般的には、「1時間 1万円」の相談料を支払うことになるでしょうけれども、建築屋の私の場合、ご相談に料金はいただいていませんので、どうぞどうぞ、お気軽に御相談ください。
   
  建築をお勉強されている方、参考になりましたでしょうか? 上記は、私の学習・研究の成果ですが、もしも、不適切な箇所があれば、加藤哲投手のように「『すいません』言うたる」ので、ぜひご指摘いただきたく、よろしくお願いいたします。

   今後も、建築現場報告と分析を発表させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
   写真を掲載させていただいた I 様邸が良い住まいとして完成できるよう、大工、及び、建築関係のすべての職人、建築関係のすべての従業員の神様・聖徳太子に「2礼2拍手1礼」をして、本日はおしまい。


☆ 建築構造工事現場については、
≪ツーバイフォー工法の構造工事現場と考察 ~ 千葉市・星久喜モデルハウス≫ http://shinkahousinght.at.webry.info/201102/article_4.html 
≪ツーバイフォー工法の構造現場と考察(2)~千葉市緑区・W様邸 ≫ http://shinkahousinght.at.webry.info/201102/article_7.html
も、どうぞ御覧くださいませ。


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