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zoom RSS 不良在来木造構造現場の例。筋交いの向き無茶苦茶。上階に柱と筋交いがつき下階に柱がない場所の梁が細い

<<   作成日時 : 2016/08/23 20:15   >>

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[第442回] 欠陥住宅の予防と対策
   「間違いのない家づくり」のために「その1」「その2」「その3」・・・別に、そこまでのものでもないのだが、千葉県東金市で、2010年から2011年にかけて、
   「ひっでえ〜え」
と思った工事現場を見かけた。 なにしろ、建築探偵団ですから、そういうのは見ておくべきであり、そして、カメラがあれば撮っておく。何のために撮るかといっても、まず自分自身の学習用だが、それを公開して良いかどうかというと、問題のある施工をしている会社が、その問題のある施工を公開されたからといって怒るのは筋違いといだ。問題のある施工をする者が悪い。 文句があったら、まともな施工をするべきであって、おのれがまともな施工をせずして、文句を言うのは筋違い(すじちがい)も甚だしい・・・けれども、たとえば、「世界の丹下」とか「世界の磯崎」とかいうような人の場合は、私なんかがいくらボロクソに言ったところで、それで、食べていけなくなることもないだろうし、そういう人というのは世間から議論されるという前提でそれなりの年収を世の中からいただいているはずなので、遠慮なく批判させていただこう・・・と思うのだけれども、しょーもない零細工務店とか、個人経営の設計事務所とかだと、良心的でないろくでもない仕事をしてるヤツは批判されても、批判される方が悪いのであり、文句があるなら非難されない仕事をすればよいはずであるのは間違いないのだが、そうはいっても、零細な相手を実名をあげてボロクソに言ってよいものかどうかという問題もあるかと思ったのだ。
   『美味しんぼ』に、美食倶楽部主催の海原雄山があるレストランに入って食事をして、そのレストランの問題点を実名をあげて記事にしたところ、海原雄山としては実例として述べたつもりだったが、その店の売り上げ、集客はその記事によってがたっと落ちたということがあり、雄山は、実名をあげたのはまずかったかと後に考えたという話が出ていた。私は、海原雄山でも何でもないのだが、そうであっても、問題のある施工をしている業者があっても問題のある施工をする業者は他にもあるわけで、1社だけ実名をあげたのでは不公平かもしれないし、それで、零細な業者の場合は、実名はあげないか、もしかするとあそこかなと思う人はあるかもしれないという程度の表現にするかにした方が良い時もあると考えた。それで、この東金市の欠陥工事現場の写真については、会社名が載っている幟が入っている写真と別に、会社名が書かれたものは写らないようにして撮影した写真と両方の写真を撮影し、もし、人に見せることがあるなら、会社名が書かれた物は写っていない方を見せることにしようと考えていた。
   それが、↓
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   どこが問題か。
1. 筋交い(すじかい) の向き。
   [第231回]《住宅建築業界 職歴詐称を見破る方法(2)筋交いの向きがわからない者・自分の工事現場を見に行かない者 》http://shinkahousinght.at.webry.info/201401/article_13.html で述べた内容と同じである。 [第231回]をまだご覧になっていない方は、とりあえず、↑の写真を見て、どこが問題なのか、ご自分で考えていただきたい。 その上で、「解答編」として、[第231回]《住宅建築業界 職歴詐称を見破る方法(2)筋交いの向きがわからない者・自分の工事現場を見に行かない者 》http://shinkahousinght.at.webry.info/201401/article_13.html  をご覧いただくといいと思う。

   もったいつけずに、平屋建てと2階建ての場合の筋交いを入れる時の向きについて、もう一度、「おらさい」しておきましょう。↓
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↑ これが基本です。 地震などで水平方向の力が加わった時、理論的には最上階の梁の位置に力が加わると考えます。 その力はどう伝わるか。 建物には普段から、屋根の重さ、積雪があれば積雪の重さ、そこに居住する人や家具の重さなどで鉛直方向にも力は加わっています。そういった上から下に加わる力に地震や台風・強風の際には水平方向の力が加わり、それらが合わさった力となります。 その時にどうなるか。そういったことから考えて、筋交いは↑の方向に入れるべきなのです。 もしも、逆方向に入れたとすると、どうなるか? それを図にすると、↓
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1) 筋交いと柱・梁の接合部の接合が弱ければ、地震・台風・強風時に水平力が加わった時に、通し柱の中央部の位置(筋交いと柱・梁の接合部の位置)で筋交いがはずれる。
2) 接合が強く、筋交いが十分な太さ・強さであれば、通し柱を中央部でへし折る。
3) 接合が強く、筋交いが細く弱ければ筋交いの方が折れる。 理論上、そうなるはずです。
[第231回]《住宅建築業界 職歴詐称を見破る方法(2)筋交いの向きがわからない者・自分の工事現場を見に行かない者 》http://shinkahousinght.at.webry.info/201401/article_13.html でも述べましたが、もう一度、言いますと、これは私の大発見とかではありません。 杉山英男『デザイナーのための木構造』(彰国社)に書いてある内容であり、さらに言えば、杉山英男の大発見というものでもなく、これは建築の仕事をする者にとっては本来は「常識」と言うべきものです。 というより、普通に考えてくださいよ。中学校の理科で力の伝わり方を、「ベクトル」とか言うのでやりましたでしょ。どういうように力が加わり伝わるか。そして、通し柱というのは、多くあればいいというものでもなく、通し柱に中ほどで突き刺さる梁のことを「胴差し」と言いますが、それは通し柱の「胴」に突き刺さるから「胴差し」と言うのであり、突き刺さられる側を考えると、刺さるものを受け入れるために穴が空いているわけで、通し柱と言っても、胴差しが突き刺さっていない状態で見ると、つながっている部分はわずかなのです。そこを押すように筋交いが力を加えるわけですから→折れます。

   但し、念のため、お断りしておきますが、「折れます」と言っても、それなら、地震が来たら必ず折れて倒壊するかというと、そういう意味ではありません。 あんな施工していたら地震が来た時につぶれるぞお・・・て感じの家を見かけることがありますが、そう思っていたら大地震が来て、あの家、つぶれただろうと思って見ると、摩訶不思議なことにつぶれていなかったり・・・ということは、実はよくあることなのです。 住宅建築業の営業をやりますと、ずいぶんとその見込客のためにいろいろとやってあげたのに契約してもらえなくて、それも、自分の会社と同程度の所と契約するならまだしも、なんであんな所と契約するかなあ〜あ・・というような所と契約されてしまうことは時としてあります。 あんな所で契約して建てたら、地震の際にひっくり返るぞ、そのうち、雨漏れ起こすぞお・・とか思うことがありますが、倒壊してしまえとか、雨漏れ起こして苦労しろとか、そこまで思うのは、たとえ、どんなにその人の為に尽くしたのに裏切られたとしても、見込客の立場からすれば、どこかと契約すれば他は断らないといけないわけですし、契約してもらえることもあれば契約してもらえない時だってあるわけで、断られたからといって恨むのは筋違いですし、途中までは検討してくださったありがたい方ですから、自分の努力に足らないところがあったということかもしれませんし、倒壊してしまえとか、雨漏れ起こして苦労するといいわとか考えるというのは、それは人間として卑しい気持ちであり、そういったことは考えるべきではない・・と思いつつ、なんやねん、まったく・・とか思って、心の端っこには、ちょっとは問題でて苦労するといいわとか、ふと思ってしまったり、ということがあったりしますが、ところが、そういう家というのは、ある程度以上の地震があった時に、さすがにあの家、つぶれただろうと思うとどうもなっていなかったり、雨漏れ起こしているだろうと思うと起こさなかったり・・ということが、実はけっこうあるのです。ほんと! (株)一条工務店の栃木県の営業所にいた時、栃木県南部の所長(役職名としては「副所長」)になったKさんが、「せっかく、一生懸命、いろいろとやってあげたのに、なんであんな所と契約するかと思うような所と契約されて、それで、せっかく、あれだけやってあげたのに、あんな所で建てたら、地震が来た時につぶれてしまうぞ、とか思うと、不思議なことに、相当大きな地震が来ても、つぶれないんだよなあ〜あ・・」と口にしたことがあったので、この人、俺と同じようなことを思ったことがあるんだなあ、と思ったことがありました。実際、そういうものなのです。それでいて、ある程度以上、きっちりと施工しているから、特別に問題は出ないだろうと思っていたら、問題が出ることだってある。 これは、建築の仕事をある程度以上、真面目にやってきた人なら経験があることではないかと思うのですが、そういうものなのです。
   しかし、それなら、どんな施工をしても一緒なのか、↑で述べたような理屈・理論は間違っているのかというと、そうではないはずです。やはり、そういった理屈・理論を踏まえて、問題が出ないように建てた家とこういうことをすると問題が出るぞということをやった家では、問題が出るぞということをやった建物の方が問題が出る可能性は高いと考えるべきです。 その前提で、↑の写真の建物を見てください。 逆向きでしょ。筋交いの向きが。ことごとく。 いったい、何、考えてんの? て感じでしょ。

   ↑は西面の写真ですが、南面の写真もあります。↓
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↑ クリックすると大きくなるので大きくして見てください。こちらを見ても、ことごとく逆向きでしょ。それも、間取りやデザインの都合からすべての場所に適切な向きで適切な量の筋交い(すじかい)を入れることができなかったとかいう性質のものではなく、適切な向きで入れようと思えば入れることができるのに逆向きに入れてますでしょ。「バッカじゃなかろか、ルンバ♪」て感じがしませんか?
〔⇒《YouTube-野村監督「バッカじゃなかろかルンバ」(原曲入り)》https://www.youtube.com/watch?v=ewJ6WwU76Rs  最終回、点差は2点のビハインド。2死1塁。2点入れれば同点、3点入れれば逆転、1点目のランナーだけ生還してもだめ、1塁のランナーともう1人は生還しないと負けという場面で、1点目のランナーが冒険的な盗塁を試みるというのはアホでしかない。守備側のチームとしては、そのランナーに前の塁に進まれても特に痛くもない、アウトにできる可能性が増えるだけという場面で無謀な盗塁を試みるのは愚かというのは「しろうとでもわかる」のに、プロが何やってんの? ということで「バッカじゃなかろかルンバ♪」と野村じいさんは言ったわけだ・・が、それ以上じゃないか、↑の写真の施工は。〕

2. 梁桁材の太さ。特に、上階に柱が乗り、上階に筋交いの下端がとりついて来ているその下の下階に柱がないという場所の梁が細い。
   問題はそれだけではありません。 ↑の写真はクリックすると大きくなりますから、ぜひ、クリックして大きくして考えてみてください。 問題はまだあります。
   「梁材には、柱よりも厚みがあるものが必要とされる」
   「梁材の強度は、幅よりも厚みの影響が大きく、梁材は幅より厚みが必要とされる」
という2つは、これは、木構造の建築の仕事についている者としては「常識」に属するものだと思います。私は、最初、何かの本で読みましたが、それが何であったか記憶が曖昧ですが、その本の著者の専売特許の理論でもなく、一般に言われていることです。
   柱は常に上から下への荷重を受けます。上階(2階建てなら2階)の柱は常にその下の梁桁材を下に向かって押しています。これを受けるためには、下階(2階だてなら1階)のその真下にも柱があるのが構造上は好ましいのですが、すべての場所で、上階の真下に柱が設置できるとは限りません。その場合、ある程度以上、太い梁を使用することで持ちこたえるようにします。特に、上階の柱の根元に上階の筋交いの下端が取りついている場合、柱が下に向かって押さえつける力を加えるだけではなく、地震・台風・強風の時など、筋交いは斜め下に向かって力を加えることになりますから、梁はそれに耐えることができるように太め(厚め。幅が広いのではなく上下に厚いもの)が必要となります。
   さて、↑の写真を見てください。 西面の方の写真ですが、クリックすると大きくなるので大きくして見てください。2階の右から2本目の柱。その真下に柱はありませんが、梁は細いですね。 2階の右から4本目の柱。柱の真下の1階に柱はありません。かつ、筋交いの下端が取りついています。この上は、小屋裏3階らしいのですが、3階の柱も真上に載っています。そうなると、この柱は普段から真下に相当の力を加えているはずであり、地震・台風・強風などで力が加わった時には、それにプラスして筋交いが斜め下に力を加えます。その真下に柱を持ってくることができないなら、それに耐えることができるだけの厚みのある梁を使用する必要があるはずですが・・・、見てください。 厚みのある梁を使っているようには見えませんね・・というより、使っていませんね。

3. 屋根の形状と小屋組み。 3階建ての場合の筋交いの入れ方。
   この小屋裏3階ですが、3階なのか、小屋組みなのか。 もし、3階なら、在来構法での3階建ては筋交いの入れ方が、2階建て以上に思案が必要なところがあります。↓
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↑ 総3階の場合で考えて、このような入れかたをするべきだということになるか。中央部をすべて塞ぐわけにもいかないでしょうから、↓のような入れ方になるというのが妥当なところでしょうか。
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「軸組工法の木造」での3階建ては戦前まででも建てられてきたわけです。お城の天守閣なんて5層だったりします。ああいうものはどのように筋交いが入っているかというと、「在来木造」「軸組構法」であっても、「筋交い式」の軸組構法ではないはずです。 貫と差鴨居によるラーメン効果によって接合部がそれほど動かないようにする「貫式木造」「戦前型木造」のはずです。「貫式木造」とはどういうものか、簡単に図示しますと、↓のようなものです。
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「貫(ぬき)」と「差鴨居」でラーメン効果(接合部が動かないようにする効果)を発揮させることで、水平力に耐えるようにしようというものです。〔「ラーメン」というのはドイツ語で“ Rahmen ” という男性名詞で、枠(わく)、縁(ふち)、フレーム、台枠、車台、などの意味。『ラーメン発見伝』の拉麺とは違う。〕 「貫(ぬき)」には「筋交い(すじかい)」のような方向性はありません。貫をどちらの方向に入れようかと迷う必要もない。戦後、「筋交い式」「トラス式」の方が強度を発揮できるということで、「在来構法」「軸組構法の木造」では、「筋交い式」が普及しましたが、筋交い式の場合、「適切な向きで筋交いを入れることができるか」が大きな問題です。
  1990年前後においては、東京圏において、枠組壁構法(ツーバイフォー工法)では総3階建てが認められ、小堀住研(株)〔→エスバイエル(株)→ヤマダエスバイエルホーム(株)http://www.sxl.co.jp/ 〕などの木質パネル構法では小屋裏3階建て(2階建ての上の屋根の勾配を急にしてその下に2階の面積の半分までの面積の3階を設ける)が認められていましたが、在来木造(軸組構法の木造)では、法律上は3階建ても認められてはいたものの、東京圏においては在来木造の3階建ての実績がないため、総3階で建てようという方の場合、「2階建てなら在来木造でもいいのだけれども、3階建てだから、ツーバイフォー工法の方がいいと思って」と言う方がありましたし、そういう「雰囲気」が1990年前後の東京圏においてはありました。 1993年に(株)一条工務店http://www.ichijo.co.jp/ の松戸市の展示場にいた時、2階建ての家を建て替えて、総3階建てにして二世帯住宅にしようという見込客がおられたのですが、「2階建てなら在来でも考えるけれども、3階建てだからね」と言われたことがあり、そう言われたことを話したところ、営業本部長のA野T夫から「どうして、3階建てなら在来木造ではだめなんだ」と言われたことがあります。「どうして」と言われてもそれは私が言ったことではなくその見込客がそう言われたのであり、そして、浜松の場合は「家というものは在来木造で建てるものだ」「ムクの構造材はいいに決まってるんだ」という感覚の土地で、かつ、3階建てを建てる人というものがもともと多くなく、私が見せてもらったものとしてはJR「浜松」駅のすぐそばで在来木造の3階建てを建てられた方がありましたが、そのくらいで、 浜松は「家は在来木造で建てるものだ」という観念が強い地域で、そして、枠組壁構法(ツーバイフォー工法)でも在来木造でもどちらの構法でも3階建ての実績は多くないという地域であり、そういう場所においては、「なんで、3階建てなら在来木造ではだめなんだ」と思うのはわかります。そういう地域では、3階建ての場合においても、在来木造と枠組壁構法(ツーバイフォー工法)では、むしろ、在来木造の方が一般的なのですから。ところが、東京圏においては、枠組壁構法(ツーバイフォー工法)と在来木造では2階建てにおいてもどちらが一般的ということはないのです。そして、3階建ての場合は枠組壁構法はすでに実績があるし枠組壁構法のメーカーで3階建ての展示場もあるのに対し、在来木造は3階建ての実績はなかったのです。(株)一条工務店は浜松の敷地で3階建て実大建物で耐震実験をやりましたあと言っても、東京圏では誰も知らない浜松の無名の工務店がそんなこと言っても「ああ、そうですか」としか思ってもらえません。その見込客は、一条工務店の展示場に来場された時点で、本命:大成パルウッド、対抗馬:三井ホーム、ダークホース:三和ホームで考えておられました。そこに私がくらいついて、なんとか「大穴:一条工務店」としてもぐりこんだものの、いかにして、本命・対抗馬・ダークホースをごぼう抜きにすることができるかと考えると、なかなか難しいという見通しでした。営業である以上、「難しい」とあきらめるわけにもいきませんが、しかし、そういう状況であったのです。最初にその方とお会いした時点での契約確率としては、「大成パルウッド7割、三井ホーム2割、三和ホーム0.5割」というくらいで、そこに「3階建てを建てることができるという業者で、来るものは検討対象としては拒まず」という姿勢の方でしたので、なんとか「大穴 一条工務店0.1割」くらいで入り込むこめたのです。しかし、そこからの「攻め手」に困った。大成パルウッドは、枠組壁構法(ツーバイフォー)だというだけでなく、その方と何らかのコネクションもあったのではという感じもしました。浜松でしか営業をしたことがない「浜松アタマ」の人は「なんで、2階建てなら在来でもいいが3階建てならツーバイフォーの方がいいということになるんだ」と言うのですが、その「浜松アタマ」の感覚は間違っていますよと言うと「アタマが浜松」の人は怒りますが、しかし、怒られても、実際、東京圏では、枠組壁構法(ツーバイフォー工法)での3階建ては実績があっても在来木造での3階建ては実績がなく、かつ、本命はゼネコン大手5社の1つの系列の有名企業であるのに対し、こちらは、浜松のイナカのわけのわからない無名工務店ですから、どっちの言うことをきくかというと、こちらの「言うこと」を聞いてもらおうとしてもなかなか難しいというのが実状だったのです。営業である以上、「難しい」とあきらめるわけにもいかないのですが、しかし、現状は現状として認識してこそ道は開ける可能性はあるはずなのですが、「アタマが浜松」の人にそれを理解させるというのは並大抵なことではありませんでした。

   ↑の写真の撮影は2010年の後半です。下に「防水透湿シート」を貼った状態での写真も掲載しましたが、下の方は2011年の前半です。 松戸市で総3階建てで二世帯住宅を建てようという方になんとかくらいついてアプローチをしたものの、当初の予定通り大成パルウッドで契約されるに至った1993年から20年近く経ち、東京圏でも在来木造での3階建ては珍しくなくなり、それも、有名ハウスメーカーではなく「聞いたことがない工務店」とか「低価格帯で有名な会社」とか「あそこはひどいと評判の会社」でも3階建てを建てるようになりました。 そして、東京圏の見込客で「2階建てなら在来木造でもいいが3階建てだからツーバイフォーの方がいい」と考える人は少なくなりました。
   しかし、逆に、在来木造の会社でも、特定の会社が3階建てを建てるという時代なら、その会社の3階建てが信用できるかどうか考えれば良かったのですが、在来木造の会社がどこでも3階建てを建てるようになった今、在来木造の3階建てについては、「筋交いの向きが適切に入っているか」という点を私は相当不安に思うのです。3階建てに関しては、筋交いの向きをどうするかということをあまり真剣に考えない会社が建てる在来木造の3階建てなら、耐力壁に筋交いという方向性があるものではなく、方向性がない合板をつかう枠組壁構法(ツーバイフォー工法)・木質パネル構法の3階建ての方が問題が出にくいのではないかと、現実に建てられている在来木造の何社かの構造段階の建物を見て思います。
  ↑の西面の写真を見ると、「3階」の部分で上の梁まで高さがあるのは1間分(1820mm)だけですが、その左側の1間分くらいも勾配天井で部屋にするつもりか? という感じがします。下の外壁が貼られた写真を見ると、梁まで高さがある部分は壁でその左の部分に窓がありますから、少し天井が下がった部分も部屋にして窓を取っているのでしょう。 3階の部分に筋交いを入れるとすると、右寄り、梁の高さまで柱が延びている部分の1間のどちらかでしょうけれども、どちらかにたすきがけで筋交いをいれるか、左側に右下がり、右側に左下がりの筋交いを入れるかしたとして、その力は2階より下にどのように伝わるか。↑の写真で見て考える限り、的確に伝わりそうに思えないのです。↑の写真を見て考えてみてください。3階にどう筋交いを入れるか。入れたとしてその筋交いが伝える力を2階・1階の筋交いが基礎まで的確に伝えることができそうか? もともと、2階から下だけ見ても筋交いの入れ方が変ですから、3階の力がどう伝わるかなんて考えてもいないのではないかと思いますが。

   これを、3階ではなく、「小屋組み」と考えると、この小屋組みは「洋小屋」なのか「和小屋」なのか。 「洋小屋」「和小屋」というのは、洋風の家の屋根、和風の家の屋根という意味ではありません。 明治より前、日本の木造の建物の小屋組み(屋根の構造)は、「束立て小屋組み」という方法、束を立てて屋根を作る方法で、これを今は「和小屋(組み)」と言っているのですが、欧米から伝わってきた「小屋組み」は「トラス方式」として、屋根の内部で三角形に構造がなるようにできていたのです。この「洋小屋」の方が和小屋よりも強いということで、日本の在来木造では、和風の外観か洋風の外観かにかかわらず、「洋小屋(組み)」が採用されるようになったのです。 ↑の写真を見ると、左右の棟をずらしており、トラスになっていないように見えます。 和小屋なのか? 左右から合わさる屋根ではなく、左半分が片流れ屋根の3階で、右半分が2階の屋根だと考えるべきものなのでしょうか。
   ここでは、どうも、西面の写真の左半分に部屋を取ろうとしているようですが、その部分に部屋をとるわけでもなし、採光窓をとるわけでもなし、小屋裏の高さを上げて小屋裏物入れを取りやすくしようというわけでもなし、こういう屋根の棟がずれた外観がかっこいいと思って外観の為に棟をずらす建物を建てているのを、けっこうあちらこちらで見ました。 ここのように片方に部屋を取ろうとしているとかずれた部分から採光をとろうとか何か目的があるならまだわかりますが、理由もなく棟をずらすだけでは、単に屋根の部分の強度を低下させているだけでしかありません。 東海住宅(株)〔本社:千葉県八千代市〕http://www.10kai.co.jp/ のその頃の建物にそういう外観のものが多く、かつ、それを得意にしている営業担当とか設計担当とかいましたので、アホはどうしようもないなと思ったことがありました。

4. 「燃えしろ設計」という考えの欠如。
   火災が発生した時、木は、周辺部が燃えて灰の状態になっても、その内側の強度はそれほど低下しないという性質があり、必要とされる強度を発揮する為の太さよりひと回り太い部材を使用しておけば、火災になった場合でも、周辺部が灰になってもその内側の木材で持ちこたえることができるので人命は救われるという考え方があり、この「灰になった部分」を「燃えしろ」と考え、その内側だけの部分でも建物を支えることができるようにという設計を「燃えしろ設計」と言うのですが・・・、まあ、↑みたいな建物がそこまで考えているわけはないわな。 これは、けっこうレベルの高い話なので、建売屋の建物に期待しても期待する方が間違っているかもしれません。


   さて、↑ の写真を撮影した時、どうするつもりで撮影していたかというと、基本的には自分自身の学習用であった。 そんなしょーもない工務店なんか、叩いたところで、どうなるものでもない・・・と思っていたのだ。 「汝の使命は、蠅叩きとなることにあるのではない」とフリードリヒ=ニーチェも『ツァラトゥストラはこう語った』で述べていることであるし。〔⇒《YouTube―「ツァラトゥストラはかく語りき」 'Also Sprach Zarathustra' Einleitung 》https://www.youtube.com/watch?v=lXKox3LfO-Q 〕

   この写真を撮影した時点では、何の為に撮影したかといっても、あくまで個人としての学習用のつもりでしかなかった。しかし、誰か、個人的知り合いに説明の為に見せることもありえないことはないと思ったので、↑の写真は、一生懸命、工夫をして、会社名が入っているものが写らないように撮影したものだった。で、同時に、会社名が載っている幟(のぼり)が写っている写真も同時の撮っていた。それが↓である。
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   こんないいかげんな施工をやっている会社は、どこがなっていないか実名入りで公開されても文句なんか言えないのは当然だが、それでも、「武士の情け」として、誰かに見せる場合には会社名が載っている物が写っていない写真の方を見せるつもりだった。
   ところが。 もっと、近くからも見せてもらおうと思って近づいていったら、そこにいたおっさん、「大工」らしいが、「こらあ。何、見てんだあ」と怒鳴りつけられたのだ。・・・何を怒ってんだろうな、このおっさん、と思いませんか?  怒られなければならないのは、こちらではない。こんな無茶苦茶な筋交いを入れている「大工」の方だ。 そもそも、こんな筋交いを入れるような「大工」を大工と言うべきではない。大五の値打ちもない。怒られなきゃならんのは、大三の方であろう。
   (株)一条工務店にいた時、同社で仕事をしていたある大工さんから聞いた話だが、工事現場で作業をしていると、東南アジア系の外国人が来て、仕事をさせてほしいと頼まれることがあるそうだが、「これは、技術がいるからだめです」と断るという。「お願いします」と頼まれるけれども、そう言われても、大工というのは単に体を動かすだけの仕事ではないので、せっかく言って来てるのに気の毒だけれども断るしかないと言う。 で、↑のような筋交いを入れる「大工」というのは、「肉体労働者」「人夫」「労務者」ではあっても、「大工」とか「職人」とはではないと思う。
    屋根の垂木を、どちらを上にするかについては、両方の説があると本で読んだ。何の本で読んだか、記憶がはっきりしないのだが、何に載っていたか見つけたら補おう。木というものは、生えていた状態に近いように建てる方が良いから、柱でも、木として生えていた時に下であった方を下、上であった方を上にするべきで、逆にした柱は「逆柱(さかばしら)」といって縁起が悪いとされるが、垂木も、木の根に近い側(元口)を下、木の梢に近い側(末口)を上にするべきだという説と、建物は建物全体を樹木のように考えて、建物の中央の柱を木の幹と考え、垂木は幹から延びる枝だと考えるべきで、そう考えれば、垂木は、建物の中央に近い側を元口、外の方を末口として施工するべきだ、という考え方があるという。 この点について、(株)一条工務店のある大工さんと話していたら、「ぼくは、弟子の頃から、元口を低い側にするのが当たり前だと教えられたけれどもなあ」と言われたのだが、これなどは絶対にどちらということでもなくそれぞれにもっともらしい説があるということだと思う。 柱の上下も、考えようによっては、もともと生えていた状態の上下と同じように立てるより、むしろ、逆にした方が、下から水分を吸い上げないで良いのではないかという気がしないではないが、たとえそうでも、柱は、木が生えていた状態と同じ上下で建てたいと思うのが自然な人間の気持ちではないか。
   で、垂木をどちらを上にするかは両説あるらしいのだが、筋交いについては、「両説」なんて、ない!
   この↑の写真の左端に幟が写っています。 クリックすると大きくなりますから大きくして見てください。 「アインズホーム」と書かれています。 インターネットで検索すると、この工事現場と同じ千葉県東金市にある「アインズホーム 」という会社のホームページhttp://eyens-home.co.jp/ が出ています。大網・八街・茂原にも支店があるそうです。

   もうしばらくして見ると、↓のようになっていました。白いのは「防水透湿シート」というものだと思われます。外側からの雨水の進入は防ぎ、壁体内からの湿気は透過させるという性質のシートでしょう。感心なことに、「防水透湿シート」の外側に縦胴縁を貼っています。おそらく、この外側に窯業系サイディングを貼り、サイディング壁と防水透湿シートとの間の通気層により壁体内の結露を解消しようというものだと思われます。(それだけ考えてやっているかどうか、なんとなく、そうするものだと思ってやっているのかもしれませんが。)今は(株)一条工務店でも、これと同じように縦胴縁を施工してその外側に窯業系サイディングを貼り、その間に通気層を確保するという施工をするようになりましたが、1990年代前半においては、縦胴縁を貼らずに窯業系サイディングを柱・梁に「直貼り」しており、それが「ツーバイフォー工法の合板と同様に耐震に役立つ」と「売り」にしていたのです。ツーバイフォー工法(枠組壁構法)の問題点として、壁体内の断熱材の外側で枠材に合板を貼ることで「フタをする」ようになり、その為に断熱材の外側で結露したものが解消されなくなるという問題があるのですが、「直貼りすることでツーバイフォー工法と同様の耐震性を発揮」したとしても、「ツーバイフォー工法と同様に壁体内を断熱材の外側からフタをする」ことになる、という点についてはおかまいなしでした。
   この段階では、外からは、もう、筋交いは見えません。この段階で見た見込客には、「専門の業者がやっているのだから、構造は問題がないようにやっているのだろう」とかノー天気なことを思う人も中にあるのでしょうね。
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   自分の家のリフォームで、ある工務店の社長に来てもらったところ、「それはどうやって今の建物を支えるのですか」と私が言ったところ、「そりぁ、もう、考えてきっちりやりますがな」と言うので、こいつはだめだと判断したことがありました。「そりぁ、もう、考えてきっちりやりますがな」などと言って説明しないヤツのやることなんか信用できるわけないだろうが。

   海原雄山がレストランの批判をした場合は、そのレストランは、別に、毒入り食品を出していたわけでもないのだが、「食」の権威者である海原雄山の基準から考えて、もっと工夫をするべだというより高いものを求めての批判であったわけで、そのレストランは世間並から考えれば特別に悪いというわけでもなかったが、それを実例として実名をあげて批判をした結果、そのレストランの売り上げが低下したというのは、海原雄山としては、そのレストランの主人もそのあたりを認識して向上してほしいというつもりであったのだが、実名をあげたのはまずかったかと感じたわけだ。 しかし、↑で写真をあげたアインズホーム(株)http://eyens-home.co.jp/ の工事は、そういうケースではない。明らかに、欠陥工事、不良施工である。私なども、住宅建築業の会社に長く勤めてきて、ある会社を辞めた後、自分で事業を始めようかと考えたこともあったが、もしも、住宅建築業をやるならば、やっていけるだけの業者・職人を集められるかという問題、順調に営業成績を伸ばせるかという問題とともに、間違いのないものを作っていけるかという問題をも考えて、それらすべてを満たせると判断できないことから、人さまに雇われて仕事をしてきたのだ。 それを、間違いのないものを作る能力もない、間違いのないものを作ろうという姿勢もない者が、身の程知らずに会社を運営している以上、それを実名で公開されたことで、たとえ、営業にマイナスになることがあったとしても、それは、間違いのないものを作る能力がない、間違いのないものを作ろうという姿勢もない者が悪いのであり、そういうケースにおいて、実名を隠すというのは、むしろ、そういう姿勢は反社会的であり、公序良俗に反すると言うべきであろう。「反社会的勢力」にならない為には、実名を隠すということはしてはならないと判断するべきであろう。
   但し、このアインズホーム(株)という会社の名誉のために? 付け加えておくと、問題のある施工をやっている会社は他にもあると思います。 (株)一条工務店にいた時、比較対象として問題のある施工をしている所はないかと思って探すと、「これや♪」てものがなかなかなかったことがありましたが、「同程度の価格帯」で「請負で建てている所」で探すと、それほど大きくは差がない場合が多いのですが、「建売屋の建物」を見ると、まあ、いいかげんなものが多いですわな。 なぜ、建売の建物はいいかげんなものが多いのか。家具を買う時に、テーブルを作る技術とベッドを作る技術は別であるわけですが、同じ家具屋でテーブルとソファとベッドを一緒に買っても、一緒に買ったからといって質の悪いものを買うことにはならないのに、なぜ、土地と建物を一緒に買うと質の悪い建物であることが多いかというと、安めの価格を設定して売れやすくする為に、土地の価格を「安め」に設定して、そのかわりに建物の方で「安めの内容のもの」を「普通の価格」にしているケースがあるでしょうけれども、それより、一般論としてですが、「建売屋というのは(建設業の登録をしていても)基本的には不動産屋である」ということ、そして、「不動産屋の建物というのは、八百屋が売ってる魚、魚屋が売ってる野菜である」ということです。 だから、「八百屋が売ってる野菜」「魚屋が売ってる魚」がどれもこのうえもなくすばらしいかはさておき、一般には「八百屋が売ってる魚」と「魚屋が売ってる魚」では「魚屋が売ってる魚」の方が質が良い場合が多いということです。「多い」はあくまでも「多い」であり、すべての場合にそうであると決まってはいませんが、しかし、「多い」と思います。

   よくこんな「おあつらえむき」とでもいうようないいかげんなもの、作るよなあ・・・・とも思いましたが、ところで、もっと近くからも見せてもらおうと思って近づくと、「大工もどき」から、「こらあ、何、見てんだあ」と怒鳴りつけられたのですが、怒鳴りつけられなければならないのは、どちらでしょうか。無茶苦茶な筋交いの入れ方している者の方か、それを、ひでえなあ〜あ・・と思って見ていた者の方か・・・・。
   梁の厚みは、上に柱が乗って下に柱がない、かつ、上に筋交いの下端がとりつくといったところではもっと厚みのあるものを使うべきだと私は思いますが、この会社としてはこれでも厚いものを使っているというつもりなら、それは基準の違いなのかもしれないと考えることもできるかもしれませんし、「燃えしろ設計」の話はある程度以上レベルの高い話だからしかたがないとしても、筋交いの向きがことごとく逆というのは、ひどい・・と思いますね。 「こらあ」と怒鳴りつけられなきゃならないのは、無茶苦茶な筋交いの入れ方している者の方か、それを、ひでえなあ〜あ・・と思って見学していた者の方かというと、私は、おかしな入れ方をしている方だと思うのですけれどもね・・・・。そもそも、ひとに見られて困るようなものを建てるのが間違っている。

   なお、この建物の場所の正確な住所と行き方を私は知っていますが、すでに売却されて一般の方が購入されて住まれていますので、正確な住所はここでは公開しません。

   この写真を撮影した時点で私が在籍した会社の建物も相当ひどいもので、すでに公開して述べたものもありますが・・・、まだまだあります。
   (2016.8.23.) 

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不良在来木造構造現場の例。筋交いの向き無茶苦茶。上階に柱と筋交いがつき下階に柱がない場所の梁が細い 慎腹風呂愚/BIGLOBEウェブリブログ
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