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zoom RSS 「社長の営業」ではなぜ不動産案内はだめか【上】「建築屋の営業」と「不動産屋の営業」の不動産案内の違い

<<   作成日時 : 2014/03/15 15:01   >>

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[第247回]会社と営業の話(57)‐1
[1] かつて、私は、不動産物件は物件情報をすべて見せる不動産屋が親切で良心的と思っていたが・・
   高校生から大学生くらいの頃、私は、不動産の物件というのは、見込客が知りたいと思えば見たいと思えばなんでも見せる見せてくれる方が良心的で親切だと思っていた。 慶應義塾大学に入学した時、大学の共済部で下宿の斡旋をしていたが、共済部で用意したフォーマットに下宿を運営されている方に記入していただいたものを印刷して1冊の冊子にまとめたものを入学生に配布して、そこから見たいと思ったものを入学生が申し出て紹介状をもらい見に行くという方式だった。宅建業法では宅地建物取引業者の登録をしていない者は宅地建物の売買・賃貸の仲介をおこなってはならないことになっているが、大学の共済部は宅地建物取引業者ではなく、仲介手数料もとっていなかった。 そこでは、下宿をやると大学に届け出られた方の物件をすべてそのまま印刷して、すべての物件の情報を入学生に配布していた。
   大学生協の東京の連合部が1980年頃は中野のJR中野駅の南方にあり、その後、JR渋谷駅と原宿駅の中間のJR山手線に沿ったあたりに移転したが、大学生協連合部でも下宿の斡旋をおこなっていて、私は在学途中で大学生協連合部でアパートを紹介してもらって転居した。 大学生協は宅地建物取引業者になっていたようだが、扱うのはあくまでも大学生の借りる下宿・アパートに限られていた。
   私は途中で大学生協で紹介してもらって住居をアパートに変わったが、私が大学の共済部に行かずに大学生協連合に行ったのは、大学の共済部の情報で捜して決めると、入居者は同じ大学の学生ばかりの所になり、そういう所に住んだのでは、自宅に帰っても自宅に帰ったという気持になれないので、それで、大学生協連合でアパートを紹介してもらって転居した。
   その際、大学生協の担当者は、賃貸の情報を記載した資料の束を私に見せた上で、「私はこうやってすべての情報をお見せしますけれども、普通の不動産屋はこういうように見せたりはしませんよ。『どういうのがいいですか』と言って、2つか3つ見せて決めさせようとするもんです。」と話した。 それで、私はそういうものかと思ったのだ。 その頃、不動産屋というものに対して、「怖そう」「ずるそう」「だまされそう」「カタギじゃなさそう」「まともな人間じゃなさそう」というイメージを持っていた。それで、小学校から高校までのお勉強はそれなりにできたとしても、正社員として勤めて生活した経験のない者としては、そういう「胡散臭そう」な相手から紹介されるよりも、大学生協という「堅そう」「真面目そう」「頼れそう」な相手の方がいいように思っていたのだが、それだけでなく、不動産屋は、見込客に自分が決めさせようと思った物件の資料のみを見せるもので、見込客が自分でその不動産屋の資料から選ぶことを認めない、親切でない存在らしいと理解した。

   しかし、この理解は正しいかというと100%間違いというわけでもなく、そういう不親切から、あるいは、不動産屋への報酬が多い物件に決めさせようとして(賃貸の場合は、不動産屋の仲介手数料は貸主側の不動産屋と借主側の不動産屋の仲介手数料の合計が借主と貸主から合わせて家賃1カ月分までと宅健業法では決められているはずであるが、実際には「特別広告費」とかなんとか名目をつけてそれ以上に取っている場合が多い)、見せしぶる業者もあるだろうけれども、すべての物件の情報を見込客にことごとく見せないのは、そういう理由からではない場合の方が多いと思う。
   大学生協の場合は、宅健業者ということいなっていても、扱っているのは大学生の下宿・アパートのみであり、大学生が入りそうな下宿・アパートを地域ごとにまとめたものを、すべて見せても、それで問題はでてきにくい。
   それに対して、一般の不動産屋は、賃貸もあれば売買もあるし、その一方のみをおこなっている業者でも、さまざまなものがある。 そして、売買の場合、見込客がこういうものを取得したいと言ったとしても、その見込客が取得したいというものを買える予算があるとは限らないし、最初にこういうものと述べたものとは異なるものを購入しようという結果になる場合もある。 建築屋は他の住宅メーカーの商品を見込客が気にいったという場合に他社の商品を売ることはできないが(基本的には。他社に紹介してリベートをもらう不心得者営業の場合はここでは対象とはしない)、不動産屋は他の不動産屋の所有物件、他の不動産屋が一般顧客から媒介契約をもらって預かった物件を売ることもできるのであり、単に物件情報を見せるだけでは他の不動産屋との差はなくなることになる。 その地域で出回っている物件情報をすべて見せたとしても、それまでに不動産屋に行って話を聞いていない人ならそこで希望のものと出会う可能性もあるとしても、すでに他の不動産屋に行って話を聞いたことのある人なら、その時点でその地域で出回っているものの情報をすべて見せても、「見たものばっかり」ということになってしまう可能性が低くない。
   不動産屋の顧客としては、一般の人間が持っているものを購入する場合、どの不動産屋を通して買ってもいいわけで、仲介手数料をどの業者にあげるかは見込客の自由であり、見込客としては、どの業者に仲介手数料をあげるか決める権利があるようなものです。 ですから、「建築屋と違って不動産屋は、担当者の人間よりも、その物件で決まる」と言われたりしますが、どの不動産屋に仲介手数料をあげようという気持になるか、という点を考えると、不動産屋の担当者の人間は関係ないということはないと思います。

[2] すでにいくつかの不動産屋で物件を紹介してもらって納得できず、購入しない見込客に決めてもらえる可能性について
   いくつかの不動産屋に行って、「この地域で、この価格帯で、この広さで、・・・の条件で」というものを話した上で、出回っている物件をすでにいくつか見せてもらった人に対して、同じ条件で捜しても、新たによりよい条件のものが見つかる可能性は高くないと思います。 新たに別の物件が出てくることも絶対にないことはないでしょうけれども、その地域でその条件ならこのくらいの価格という相場よりも相当に安い有利な物件というのはなかなかでてきません。 もしも、相場が3000万円のものが2000万円で売りにでていて、かつ、それほど苦労しなくても買い手は見つかりそうというものなら、それを見た不動産屋は仲介せずに自分が買って自社物件として相場の値段をつけて売りに出すでしょう。もしくは、それを知った担当者が自分で買うか。
(私が見込客の為に土地を探していて、もしも、何か問題のある条件があるわけでもないのに相場が2000万円の土地が1000万円で売りにでていたなら、そんなもん、見込客に買わさずに私が買いますよ。当たり前じゃないですか。 そう思いませんか?)
  すでにいくつかの不動産屋から、見込客が話した条件に該当する物件をいくつか見せてもらって納得いかなかったという見込客に、他のものを紹介して決めてもらえる可能性としては、建築屋に長くいて不動産屋にも少ししたという者として、
1.[発想の転換] すべての面にわたって1流の条件の物件は、価格もたいてい1流の価格です。 しかし、見込客は1流の価格はだせない、という場合。 その見込客が求めている条件のうち重要なものは何なのか、ということを考えてみるべきです。 Aについては1流の条件のものでないとと思うが、B、Cの条件については2流であってもよしと考える人であれば、Aについてだけ1流の物件を探せば見つけられる可能性があります。
   私がかつていた千葉県八千代市に本社があるT海住宅の某店で店長をやっていた女性O友さん(50代)は、小学校・中学校の学区を考えて、見込客の子供が行っている小学校・中学校と同じ学区内でないとだめ、と決めつけていましたが、そういう顧客もあるでしょうけれども、客の側から言いだしていないのに不動産屋の営業の方から決めつけてしまうのはいかがなものか、と私は見ていて思いました。 私自身は、私が小学生の時、市町村もかわれば学区もかわる転居・転校をしています。客が何も言ってないのに、なにゆえ、営業が「学区が違うからだめでしょ」と決めつけて“指導”しなきゃならんのでしょうね? このケースのように、客が指定していない条件を営業担当者が勝手につけてしまっているケースもあります。
    「この地域でこの価格帯でこの広さで・・」という条件で探せるものはどの不動産屋がやってもそれほど差はありませんが、この点については、どの不動産屋がやっても同じではありません。担当営業の能力、思考の柔軟さによって変わってきます。
2.[建築屋の能力]  多くの不動産屋は建築屋と同等の建築屋の能力はありません。 ですから、不動産屋は、どのくらいの広さの土地が欲しいと言われればその広さの土地を探すことはできるでしょうけれども、しかし、土地を買って住宅を建てたいという人の場合、見込客が言う広さというのは、そのくらいの広さがあれば希望の住宅を建てることができるのではないかとしろうとが思っている広さでしかない場合が多いのです。 不動産屋はそれを前提に捜す能力しかありません。 しかし、建築屋の場合は違うのです。その土地に建物を建てた場合にどういうものができるかということを考えながら捜すのです。 小さめの面積の土地でも十分に使える家を建てられる場合もあれば、面積は大きくても建てにくい場合もあります。 そのあたりを建築屋、もしくは、建築屋の能力のある不動産屋なら考えて捜すことができます。 不動産屋には、建築屋から不動産屋に転職した人もいます。そういう人が不動産屋一筋の人と違って成果を出せる時があるのは、ここだと思います。 不動産屋には、建築条件付き土地や建売をその工務店で扱わせるかわりに、その不動産屋で仲介する土地について、建築した場合の図面を工務店の設計担当者に書かせるようにしている不動産屋もあるようですが、実際にその土地を見て顧客と接する営業担当者自身がわかるか、別の人間に判断を求めるのかの違いは大きいと思います。
3.[業者の交渉力]  建築条件付き土地で、土地の条件はいいけれども、その建築条件がついている建築会社では建てたくない、もしくは、他に魅力のある建築会社があるという場合、一般に建築条件付き土地を販売している不動産屋は土地と建物の両方で儲けたいので、一般顧客が「建築条件をはずしてもらうことはできませんか」と言うと、「それは無理ですね」となる場合でも、業者が言えばはずしてもらえる場合もあります。 あくまで「場合もあります」であって、だめな場合もありますが。 価格も、業者が交渉した方が下がるという場合もあります。 これも「場合もあります」ですが、場合もあります。
4.[営業担当者のカウンセリング能力] 一般顧客、「しろうと」は自分が思っていることを100%表現できるとは限りません。  又、その業者と営業担当者が信頼を得ることができていなければ、表現できても話してもらえない場合があります
  その見込客から、どれだけ十分に話を聞くことができるかによって、探せるものの内容も変わってきます。
5.[プレゼンテーション能力]  見方・見せ方によって、印象も変わります。 すでに見たものでも、「見せ方が悪かっただけ」というケースもあります。
   この1〜5を考えた上で対応するならば、それまでに他の不動産屋がいくつかの物件を紹介した見込客にでも、検討してもらえて決めてもらえる可能性が出てくると思います。

[3] 建築屋の営業が土地を見込客に紹介して決めてもらえないケースが多い理由
   一般に、建築屋に長く勤めた人間には、不動産屋が嫌いだという者が少なくありません。「不動産屋と関わると不快指数が上昇する」と言う者が少なくない。 私もそう感じたことが何度もあります。 
   建築屋の営業をやってきた者には「不動産屋の営業はレベルが低い」と思っている人が少なくない。 私が新卒入社した小堀住研の新卒社員研修でも、「住宅の営業でも、お客様が建築の営業に求めるレベルと不動産の営業に求めるレベルは大きく違います。不動産の営業と建築の営業は近い仕事だと思っている人もいますが、実際にはまったく違います」と教えられたし、実際に大きく違うと思います。 建築の営業は、礼儀や身だしなみといったものを考えます。すべてがいつでも成功するわけではありませんが、そういったことを考えて仕事をします。それに対して、不動産の営業はそういうことを考えません。 建築の営業は、建物についてきっちりと説明して嘘を言わずに誠実に対応するのが仕事ですが、不動産の営業はそんな認識はありません。 1989年に小堀住研に入社した時の新卒社員研修では、お客様宅に行く場合に乗るクルマは、スポーツカーはだめ、羽根つきのクルマはだめ、オープンカーはだめ、ツードアのクルマはだめ、改造車はだめ、外車はだめ、ベンツなどもってのほか、ワゴン車などはだめ、窓にスモークの入ったクルマはだめ・・・といったことを言われたものですが、不動産屋の営業にはそのような認識はまったくありません。 窓にスモークの入った黒のベンツとかを乗りたがる人が多いのが不動産屋です。 建築屋の営業はお客様に土地を紹介するのなら、まず、自分が現地を見てどういうものか把握した上で案内しますが、不動産屋の営業は物件案内書でしか知らないような土地を平気で案内して決めさせようとしたりします。そういう態度は不真面目で営業としてあるべきものではないと私は思うのですが、不動産屋の営業にそういうことを言っても通じません。 これらの点で、「不動産屋の営業はレベルが低い」というのは疑いようのない事実です。
   しかし、それなら、建築屋の営業は不動産屋の営業の仕事ができるかというと、そうでもないのです。「土地さえあれば、お宅で契約したい」と言っていただけるお客様がおられます。 そういう方のために土地を捜そうとする建築屋の営業はいます。 私も捜したことがあります。 総合住宅展示場内の展示場に、このような物件がありますよと物件案内書を持ってきてくれる不動産屋の営業の人があるので、そういう人が持ってきてくれたものを紹介したり、地方新聞に掲載されているものをその不動産屋に問い合わせて物件案内書を送ってもらったりして紹介したことはありますが、そのように紹介するだけであれば紹介できるのですが、そうではなく、土地を紹介して契約してもらってそこに建築する契約もしてもらおうとすると、これは相当大変です。在来木造の一条工務店にいた時、土地が決定する前に建築地の欄は空欄で建物の契約をしてもらって、契約後に私が土地を捜して勧めて土地の契約してもらって建てていただいたという方が2軒ありましたが、実際、大変でした。  建築屋の営業は建築の契約をすればそれを評価してもらえるけれども、土地を決めても評価の対象にならないにもかかわらず、手間は土地の契約と建築の契約の2倍かかるということもあります。 人によっては、欲しいと思った土地が考えていたよりも価格が高いということで、建築の方はもっと安い建築屋に頼もうと考えてしまうお施主様もおられるでしょう。 そういう問題もありますが、そうではなく、身だしなみとか礼儀作法といった点では「不動産屋の営業はレベルが低い」というのは疑いようもないのですが、しかし、不動産の営業の仕事と建築の営業の仕事は仕事が違うので、建築の営業ができるからといって不動産の営業の仕事ができるわけではないのです。 やっぱり、八百屋の仕事と魚屋の仕事は違うのです。
   具体的には、建築屋には、せっせと紹介してせっせと案内して、そして、決まらない決まらないと嘆く人がけっこういるようですし、実は私もやったことがあるのです。 そして、長く建築の住宅の営業をやった後、賃貸専門の不動産屋であるエイブルと、「建築業もやっているけれども売買の不動産業の方が中心」という千葉県八千代市に本社がある東海住宅とに勤めて、それで、正真正銘「不動産屋の営業」がやっていることを見て経験して、そして、やっぱり、自分が「建築の住宅の営業」の時にお客様のために土地を決めようとしてなかなか決めてもらえなかったのは、紹介のしかたに問題があったなと気づいたのです。 私は建築屋の営業をやってきた期間が長いのですが、不動産の会社にも少し勤めたことでそのあたりがわかるようになりました。
   不動産屋には「3件案内説」と「1件案内説」というものがあります。 「3件案内説」というのは、賃貸であれ売買であれ、≪物件を案内するのに、「決めブツ」「比較ブツ」「だめブツ」の3つを案内するのが良い≫という説です。 なぜ、「比較ブツ」や「だめブツ」を案内するかというと、意図的に「だめブツ」を案内することで「決めブツ」「比較ブツ」が良く見える。 そして、人間の心理として比較していくつかのものの中から決めたと思いたい心理があるので「比較ブツ」を見せた方がいい。又、それがいいかどうか検討するのに「比較ブツ」と比較して考えた方がわかりやすい、という理由からです。
   「1件案内説」というのは、≪「比較ブツ」も「だめブツ」も要らない。「決めブツ」だけ案内すれば良い。「決めブツ」を案内して、それで決まらなければ、その「決めブツ」が結果として「比較ブツ」になるのであり、その「比較ブツ」になったものをもとに、次に「決めブツ」を勧めればよいことだ≫という説です。
   実際には、「決めブツ」があって紹介しようとしても、ちょうどいい具合に「比較ブツ」が常にあるとは限らないし、「決めブツ」として悪くないものが2つある時もあり、そういう時に2つとも見せた方がいいか一方だけにした方がいいか迷う時もあり、そのあたりはケースバイケースで考えるしかないと思いますが、「不動産の営業」はこういうことを考えて案内しているはずなのです。  「建築の営業」でお客様に土地を紹介しても、「決まらない」「決めてもらえない」と嘆いている人というのは、このあたりを考えずに案内している場合が少なくないと思います。「不動産の営業」のくせに、このあたりを考えずに「建築の営業」みたいな案内のしかたをしている人も中にはいます。
   上に述べた大学の共済部の場合は、不動産屋と似た事をやっていますが、商売でやっているわけではなく、紹介するものも大学生が借りる下宿だけですから、大学に申し出てもらえた物件をすべて印刷して冊子にして、気にいったものがあれば紹介状を書きますから・・ということでいいのでしょうけれども、家を建てるための土地を買おうという人に土地を紹介する場合には、大学の共済部が下宿を紹介するような紹介のしかたではだめです。 それでは決まらないから商売にならないということもありますが、それとともに、その紹介のしかたは良心的でもないと言えます。 不動産の紹介を仕事としている者ならば、単に、これだけ物件がでてますよおと見せるのではなく、その方の要望と予算から考えて、これなどは悪くないのではないでしょうか、という提案を出すのが仕事であり、適切な提案を出せるかどうかが、顧客から評価されるかどうかの違いとして出てくると思います。
   その提案のしかたとして、「3件案内説」「1件案内説」というものがあり、そして、どういうクルマでどのように案内するか、という案内方法も関係してきます。

[4]≪「建築屋の営業」、及び、元「建築の営業」の「不動産の営業」≫と「不動産の営業」の発想の違い 
   「建築の営業」がお客様のために土地を決めようとしてなかなか決まらないのは、「不動産の営業」の能力がないから決まらないというケースがありますが、建物については「建築の営業」はわかるが「不動産の営業」はわからないというケースがあり、「建築の営業」は知っているが「不動産の営業」は知らないこともあります。「不動産の営業」でも「建築の営業」の経験のある人ならアドバイスできるけれども、「不動産の営業」しか経験のない人はアドバイスのしようもないというものもあります。
   私が経験したものでは、たとえば、八千代市に本社がある東海住宅という会社は高圧電線の真下の土地が大好きな会社で、そういう土地を自社物件として購入することもあるとともに、H川店の店長をやっていた女性O友さんなども、私が「ここは高圧電線の真下だから避けた方がいい」と言うと、「なんでよ。 あんたが勝手に思ってるだけでしょうよ。お客さんは高圧電線の下が好きかもしれないじゃないの」などと言ったことがありました。
 高圧電線の真下がなぜ良くないか というと、
(1)電磁波により癌・白血病などの病気になりやすい。 
(2)落雷、及び、それにともなう火災の危険性がある。 
(3)電波障害が発生し、ラジオなど受信しにくい可能性がある。 
(4)景観が悪い
(5)工事がしにくい。上棟作業の時、レッカー車を使えない可能性がある。
(6)付近では たこあげ などできない。(電線にひっかかった場合、感電する。) 鯉のぼりなどをあげることができない。

・・ということがありますが、それとともに、一般に、高圧電線の真下というのは、その条件があることで、その条件がない土地に比べて評価が低いはずなのですが、売主にその意識がない場合が多く、高圧電線の下でない土地と同程度の価格で売りに出ている場合が多い、ということがあります。
  「嫌悪施設」(近隣にそれがあることで、土地建物の評価が下がる施設)があれば、その分、安い価格でしか売れない、購入する時は安い価格でなければ買うべきではない・・はずなのですが、売主の方はそれを認めたくない人が多い。 かつ、買う方も、東海住宅のように「なんで、高圧電線の下がだめなのよお。高圧電線の下が好きな人だっているでしょうおよお」と、高圧電線の下でない土地と同様の価格で買ったり、高圧電線の下でない土地と同様の価格で見込客に勧めて買わそうとしたりする業者もあるのです。
   言葉は悪いのですが、不動産物件には「トランプのばば抜きのババみたいな物件」もあるのです。 高圧電線の真下の土地を高圧電線の下でない土地と同じような価格で買ってしまうと、売る時に、安い価格でないと売れない、高圧電線の下でない土地と同じような価格で買った人としては自分が買った時のように、高圧電線の下でない土地と同じような価格で売りたいと思うようですが、その価格では売れない、売れにくい場合が多いのです。 だから、そういうものは買わない方がいいし、もし、買うなら高圧電線の下などでない土地よりも安い価格で買わないといけません。 但し、高圧電線というのは、地域によっては、実際問題として、けっこうあちらこちらにあったりするので、少しでも近くにあってはだめと考えてしまうと買える土地が相当限定されてしまうことになる場合もあり、どのくらい離れておればよいと考えるかという問題もでてきます。
   私は基本的には人間として「建築の営業」の方の人間ですから、「不動産の営業」の方の仕事をした時もこういった思考をして仕事をしましたし、見込客にもこのあたりをお話して紹介しました。 しかし、「不動産の営業」一筋の人はこのようなことは考えません。 T海住宅のO友さんのように、「なんで、高圧電線の下がだめなのよお。あんたが勝手にだめと思ってるだけでしょうおよお。 高圧電線の下が好きな人だっているでしょうおよお」という認識です。 O友さんの後にH川店の店長になたT中さんも、「高圧電線の真下だと健康に悪いという絶対の科学的な論拠でもあるわけじゃないだろ。 おまえが勝手に思ってるだけだろ」などと私に言いました。 違います。「科学的な論拠」はあります。 かつ、国土交通省が作成している査定マニュアルにも、高圧電線の下は「嫌悪施設」としてマイナスの評価になるものとして記されてるはずです。  国土交通省がマイナスだと言っているものを悪くないと言うわけにはいかない、と考えるのが「建築屋の営業」であり、そう考えないのが「不動産屋の営業」です。 建築屋の営業が高圧電線の下を避けたいのは、「工事しにくい」ということもありますけれども。そして、「工事しにくい」ということは、建築費に上乗せされる可能性もでてくるわけです。「不動産の営業」はそんなこと考えないのです。
    東海住宅のH川店の店長をしていたO友さん(50代。女性。)が、アットホームが配布している不動産物件案内書を見て、千葉県市川市の土地で、「これ、いいじゃないの」と言ったものがあり、相場より安めだったので、私は何か理由はないのかと思い、住宅地図を見たところ、前はガソリンスタンドだったというものがありました。 ガソリンスタンドというのは、地下にガソリンや軽油のタンクがあったわけで、そこを埋めたとしても、埋めた所は地盤は間違いなく悪いはずです。 「建築屋の営業」は、そのあたりを顧客にアドバイスするのが仕事です。私の現住居の近くでガソリンスタンドであった所がガソリンスタンドを廃業し、跡地にコンビニが建ちましたが、コンビニの建物はガソリンスタンドであった時も建物が建っていた場所に建てて、給油していた場所はすべて駐車場にしていました。   最近は、住宅を建てる際、地盤調査をして地盤が弱い場合は地盤補強をして建てる方が一般的になってきました。 ガソリンスタンドのタンクがあった場所というのは相当深くまで地盤は弱いはずですから、その場所に住宅を建てようとすれば地盤補強の費用も相当かかります。 「建築屋の営業」ならそれをアドバイスするべきです。 戸建住宅の「地盤調査」というとスウェーデン式サウンディング試験のことだと思っている人もいますが、それは厳密には正確ではありません。 スウェーデン式サウンディング試験をしなくても、周囲の地形や建物を見たり、周囲の土地利用のされ方を見たり、その場所や周囲の地名を見たりすることである程度はわかります。地盤調査による判定もスウェーデン式サウンディング試験だけで判断するのではなく、それらと合わせて判断するべきです。 「建築の営業」なら、前の利用がガソリンスタンドだったとわかれば、地盤は弱いですよ、とアドバイスして、買うならそれを承知の上で買うべきであることを言うものです。もし、買うなら地盤補強に費用がかかることを理由としてその分程度の値引き交渉というのもありうると思います。 そういったアドバイスを的確にやることで評価してもらい、この人の所に頼もうと思ってもらうのが「建築の営業」の仕事です。 ところが、「不動産の営業」は違うのです。 東海住宅の店長O友さんは、私が「ここは、前、ガソリンスタンドですねえ」と口にしたのを聞いて、「そんなこと、黙っておけばいいでしょうおよお。なんで、そんなこと言うのよ。黙って売ればいいことでしょうおよお。あんた、何、考えてんのよ」と言ったのです。 それが「不動産屋の営業」の考え方です。
   O友さんは、千葉県北部の建物が傾いている「中古建物のある土地」を安めの価格で仲介して売り、入居後、買主から、傾いているなどとは説明がなかったと苦情を受け、訴訟を起こすと言われていましたが、O友さんとしては、そういう建物だから安めの価格に設定していると思っていたのでしょうけれども、買い手としては、傾いている等のない使える建物の建っている土地で安めの価格だから買いたいと考えたつもりのようでした。 O友さんとしては「不動産屋の営業のものの考え方」で、「そんなの黙って売ればいいでしょうおよお。なんで、そんなものこちらから説明するのよ。」と思ったのでしょうけれども、買い手は、きっちりと事実を事実として説明して売ってもらいたかったようです。
   不動産の売買と賃貸においては、「重要事項説明」として宅地建物取引主任者の資格を持っている人間が、宅地建物取引業法で規定されている事項についてはきっちりと説明をした上で契約していただかないといけないことになっています。 不動産屋にある程度以上勤めている人間、宅地建物取引主任者の資格を取得した人間はそういう規定があることを知っているはずですが、何が説明しないといけない事項になっているかは、けっこう細かい規定なのですべては把握できていない場合が多い。 しかし、重要事項説明で説明しないといけないことになっていようがいまいが、自分を担当者として契約しようと検討してくれている見込客に対して、その人の為に説明するべきことはきっちりとアドバイスするのがコンサルタントとしての営業である・・と考えるのが「建築の営業」で、「黙っておけばいいじゃないのよお」と考えるのが「不動産の営業」の発想のようなのです。 それで、T海住宅のO友さんとかT中さんを見て、同社退職後、私はやっぱり「不動産屋型」ではなく「建築屋型」だな、と思ったのです。
   私が知っている人でも、不動産屋に勤めていても「建築屋型」の人はいます。 そういう人は、「不動産しか知らない人間と違って建築もわかる」と評価されて「不動産屋型」の「不動産の営業」より高い営業実績を残している人もいるようです・・が、「黙っておけばいいじゃないのよお」の「不動産屋型営業」は、そのやり方でやって問題がでる場合もあるけれども、それで契約になって特に問題が表に出ないで進む場合もあるので、営業成績の点ではどちらがいいとはいちがいにいえないようです。

次回、【中】http://shinkahousinght.at.webry.info/201403/article_10.html  で、  
《[4] 社長の営業がだめな具体例》を述べます。

☆ 《「社長の営業」ではなぜ不動産案内はだめか》は三部作として作成しました。
中  http://shinkahousinght.at.webry.info/201403/article_10.html
下 http://shinkahousinght.at.webry.info/201403/article_11.html
 とともに御覧くださいませ。
   (2014.3.15.) 
(2014.3. .) 


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