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zoom RSS 住宅建築業の営業は見込客を他社に紹介して良いか悪いか についての一考察

<<   作成日時 : 2013/01/12 17:13   >>

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〔第155回〕営業と会社の話(38)
   住宅建築業の会社の 住宅展示場、営業所に来場していただいた見込客を他社で契約してもらうように計らう営業がたまにいる。 それはいかんと見える場合とそうでもない場合があるが、それについて考察を加える。

   会社は自分の会社のサービス・商品を契約してもらおうとして、営業社員を雇い営業・販促ツールを用意しその販促ツールのひとつとして住宅展示場や営業所を設けているのであるから、そこに来場した人を他社で契約するようにしむけるのは会社としてはもってのほかということになるが、その会社の商品・サービスで対応できない要望の方の場合にその要望に対応できるような会社を紹介するのは、「親切」と考えるべきか、やはり、雇われている会社に対しての「裏切り行為」と見るべきかという問題である。

   他の業界・商品において、こんなことをする人があるんだなあと思ったのは、今は昔、ゴルバチョフが軟禁される1991年のソ連の事件が発生したかまだかという頃。東京都大田区のアパートで、やってきた新聞の拡張員と称する男が、何新聞を扱っているのかと言うと「読売・毎日・朝日・産経・東京・日経・報知・その他スポーツ」と言う。 相当のいなかではひとつの新聞販売店ですべての新聞を扱っている所もあるとも聞くが、東京都23区内ではそういう所はないと思う。 どういうことかというと、その男が持っていた新聞の契約用紙は読売新聞の用紙であったが、その男が所属していた新聞拡張団では、読売新聞の販売店と契約して拡張活動をやっていたが、訪問した時、たとえば、「読売は嫌いだ。 とにかく、巨人とか読売と名のつくけがらわしいものとはかかわりたくない。これは我が家の家訓である。」(「YouTube-[動画集]くたばれ読売ジャイアンツ おまえは11球団共通の敵だ!」http://www.youtube.com/watch?v=cdML84lwuyc )とかいうオッサンが出てきた際には、「それなら、朝日」とか「それなら日経」と言って、読売新聞の契約用紙に「朝日」とか「日経」と書きこんで、契約させて、その用紙を朝日や日経の新聞販売店に持って行って、1件いくらで売るらしいのだ。 どうも、新聞拡張団に所属する拡張員というのは、そういうことをする人がいるらしい。このやり方をすれば、どの新聞は好きだ、嫌いだという見込客の好みにかかわらず契約をあげることができるので、拡張員としては、どんな相手でも契約に結びつけることができることになる。 もっとも、そういうやり方は、訪問された家の者としても、胡散臭い相手という印象を受けるし、新聞というものは、洗剤やらタオルやらをもらうためにとるのではなく、新聞を読むためにとるのであるし、朝日・読売・毎日・東京・産経・日経といった新聞をとろうと思えば、その頃であればNTTのタウンページ(職業別電話帳)、今ならインターネットで調べれば、販売店の電話番号は出てくるのであるから、わざわざ、胡散臭い相手から契約しなくてもよいではないかと思われる可能性もある。  販売店としては、その新聞販売店が扱っている新聞を売ってもらうために、拡張団に依頼しているのであるから、拡張に行って、「読売は嫌いだ」と言われたからと言って「それなら、朝日」とやられたのでは、何のために拡張団に依頼しているのかわからないことになるが、新聞販売員というのは、昔から、新聞というものは「インテリが作ってヤクザが売る」と言われる「ヤクザが売る」の方と見られているものなので、そんなものか、とある程度あきらめの目で見られているところもあるかと思う。
  新聞について、それほどとがめることもないかと思ったものとしては、今は昔、ヤクルトスワローズの監督を野村克也がやって「長嶋みたいや」とか口にしていた頃、1990年代後半、福島県某所に転勤でいってアパート住まいをしていた時、しばらく、毎日新聞を購読していたが、朝日の人が、「毎日の人間から、この家の人なら朝日とってくれるかもしれないと教えてもらった」と言って訪ねてきたことがあった。 わざわざ、他の新聞の営業をやっている人に、そんなこと教えてどうするのかと思ったが、その後、毎日の人が集金に来た時に、そのことを話すと、「彼はぼくの友だちなんです。なかなか、契約がとれないというから教えてあげたんです。」と言うのでした。このあたりの人はやさしいなあと思いました。
   これなどは、100パーセント問題はないことはないかもしれないけれども、困っている友人を個人的に助けてあげたいという気持ちからやったことなので、それほどとがめなくてもいいのではないかとも思ったが、先の、読売の拡張をやりながら、朝日でも毎日でも何でも契約するならさせてその新聞の販売店に売りに行く男の方は、私が見込客なら「何もそんな胡散臭いヤツからとらなくても」という方に考えるし、自分を雇ってくれた会社の利益に反することを就業時間中にやるということは、たとえばれなくても、そういうことは私ならやりたくないし、そういうことをする人間というのはあまり好きになれない。 「天知る、地知る、我知る、汝知る。」という言葉が中国の古典にある、と高校の倫理社会の時に聞いた。 ばれなければいいというものではなく、そういう商売を私はやりたくないのである。だから、そういうことをする人間からも契約したいという気持ちにはなれない。
※「天知る、地知る、我知る、汝知る」については、たとえば、
《YAHOO!知恵袋‐「天知る 地知る 我知る」とは、誰の言葉でどんな意味なんでしょうか?》http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1113540906 参照。

   住宅建築請負業の会社に私は長く勤務してきて、特に、営業の職種についてきた期間が長いのであるが、いろいろな人を見たし、いろいろな話を聞いた。
   まずい方の話をする。 在来木造の I 社で、神奈川県の営業所(住宅展示場)にいた人から聞いた話。 元・不動産屋の男が中途入社で入ってきたという。 元・不動産屋というだけにあまり人相はよい人間ではなかったそうだが、同時に、元・不動産屋だけに土地に関してはよくわかっていて、土地を捜して建てたいという顧客に対しては建築屋一本の者よりも対処できたという。 その人がどういうことをしたかというと、 I 社の住宅展示場に来場してそのおっさんが接客した見込客を、 I 社で建てさせずに不動産屋時代の知り合いの工務店に紹介して契約させ、その工務店から「バック」をもらうそうです。 知り合いの工務店からもらう「バック」の方が I 社で契約させた際の歩合給より金額が大きいのでそのおっさんには良い収入になり、住宅展示場を持たない工務店としては他所の住宅展示場を使って契約を得るのですからおいしい話です。 I 社で契約してもらう顧客は I 社の上役から文句を言われない程度の最低限の契約数にして、それ以上は「I 社で建てるよりも、○○工務店で建てた方が安くできますよ」と言ってI 社では契約させずに知り合いの工務店にまわして「バック」をもらうようにしていたらしい。 
   なかなか器用な人です。 たとえ、「バック」を渡す知り合いの工務店があっても、誰でもできることではないと思う。 私なら、自分が勤める会社のものを必死で売ろうとして、それでなんとか契約をあげることができるというもので、会社が「最低限」とするものの倍あげるということなら可能性はあっても、会社が「最低限」とする契約をあげた上で、かつ、知り合いの工務店用にも契約をあげるというのはなかなか難しいように思う。 その人は、それをやって相当かせいだらしいと聞くが、そのうち、所属する会社の方の契約をあげることができなくなり、I 社を去って行ったそうである。 器用な人であったのか、それとも、景気の良い時に条件のよい場所に入社したため、I 社の経営者が考える「最低限」の契約を取った上でそれ以上のものは知り合いの工務店に契約させるという手法で通じると思い込んでしまい、景気の悪い時でもそれをやろうとしてできなくなったというものか・・・。
  「不動産屋」というのは、合法な職業として存在しているものですが、世間一般に「ずるい、こわい、あつかましい」と見られているところがあります。 実際に「不動産屋」に勤務している人でも、そうではない人もいると思いますが、やっぱり、「ずるい、こわい、あつかましい」人もいると思います。 上のおっさんなどもそういう意味合いでの「不動産屋」系の人だったのかなという気がします。

   紹介しても悪くないのではないのかというケース、もしくは、紹介した方がいいのではないのかというケースもあります。
   他の業界・商品の話。 1980年代の終わり、元号が「平成」になったばかりのこと。今では、一般の人間が使用するカメラはデジカメの方が普通になりましたが、その頃はデジカメなどは一般に使われていません。 在籍した住宅建築請負業のK社があった松戸市の総合住宅展示場の道路をへだてた前に写真屋があり、敷地調査をした際の写真などはいつもそこで現像・プリントしてもらっていました。 ある時、どうしても、すぐ翌日までにプリントしたものが欲しいということがあったのですが、その店に行くと無理だと言われました。 その時、その店の奥さんだったのか女性店員だったのかわかりませんが、近くの駅の近くに、できばえがどうかはわからないが、45分で機械で現像・プリントする店ができたので、そこなら今日中にできるということを教えてくれて、そこに行ってその日のうちに現像・プリントすることができ助かったことがありました。その方は、 同業のよその店を教えたわけですが、その時に親切に教えてもらったおかげで助かったわけで、そして、その店は総合住宅展示場の目の前にあるので、特に急がないものはその後もその店に頼みました。親切に教えてもらったことは、この件に関してはその店にマイナスにはなっていないと思います。

   住宅建築請負業の会社においては、私が I 社にいた時は、I 社では新築のみおこなっていて、リフォームは、自社で建ててもらった家のリフォームはやるけれどもそうでない家のリフォームはやっていなかったのですが、私が担当させてもらった入居者の奥さんの親御さんが住まれている家の補修工事をやってもらいたいと話をもらい、それで、I 社で仕事をやっている大工さんを紹介したことがあります。 こういう場合は、もともと、その工事は新築の方に進む可能性はなく、 I 社で契約してもらえる可能性のある方を他社にまわしたという性質のものではありませんし、紹介した大工さんも I 社で継続的に仕事をしている人なので請けた場合もきっちりとやってもらえると思います。
   解体工事や外構工事の手配を私がいた頃の I 社では営業が手配していた為、どの業者を営業がお客様に紹介するかで、業者としては仕事をもらえるかどうか変わってきます。 私は、解体業者や外構業者に昼飯をおごってもらったり家でとれた筍をもらったとかいうことはありますが、相当のおカネをもらったといったことはありませんし、工面して工面して計画を進めているお施主さんを見ると自分を信頼して契約してくれたお施主さんがそれだけ苦労して建てる家の工事に関して中間でそういうものをせしめる気持ちにはなれませんでしたが、中には、営業担当者にいくらか渡す業者もありもらった人もあると聞きます。私は、昼飯おごってもらったくらい別にいいじゃんと思っていましたが、I 社から受け取る給料と同額くらい業者からの「バック」で稼いだ人がいるという話を聞いた時にはそれはいかがなものかと思いました。
  上の私が入居者の奥さんの親御さんの家の補修工事の場合は、もともと新築の方向に行く可能性はなかったもので、大工さんを紹介してもあくまで親切で紹介したという性質のもの、もし他に新築することがあった場合にはよろしくお願いしますというもので、話が成っても紹介した大工さんから何かもらうわけでもありません。 それに対し、微妙なのは、同じ営業所で営業をやっていたおじさんが、自分が担当した入居者とかではなく、住宅展示場に来場した見込客で、新築しようか改築しようか思案中という方に、あらかじめ、もしリフォームの方をやる場合はということで自分の知り合いの大工さんを紹介していたケースがあります。 そのおじさんは、あくまで新築の契約をいただくことを目的としているけれども、実際に見込客が新築するか改築するか思案中であるのなら、リフォームの場合用にリフォーム工事をやる業者も紹介するのが親切であり、その親切さを評価してもらって新築の場合には自分のところで契約しようという気持ちになってもらいたいというつもりであったようで、そう話していました。 しかし、会社の経営者というのは猜疑心の強い人が多いようで、そういうケースでリフォームの方に進んだ場合、新築の契約をとるべきものを知り合いのリフォームの業者に仕事をやって「バック」をもらったのと違うか?・・と疑われる危険もあったと思います。
   新築するかリフォームするか思案中という場合、自社で両方やっているという会社の場合は、新築部門の担当者がリフォーム部門の担当者を一緒につれていって、自分と別の部門の契約となった場合は、契約となった方の担当者から、別の機会には逆に協力するからということで、助けあい・協力しあう関係となればいいと思います。
   新築とリフォームの一方のみを扱っている会社では、他方の業者を紹介して他方の契約となった場合、他社に紹介して「バック」をもらったのと違うのかと疑われるおそれがありますが、逆に、無理に自分の会社が扱っているもので契約させるのが良心的か疑問に思えるケースもあります。 リフォームのWホームに在籍した時、同僚のEさんが契約した改築工事の工事現場を見に行ったところ、すでに築年数もけっこう経っていた家で、はっきりと家が傾いているのです。 家というものは、住んでいる人間が気づいていなくても厳密に調査すると微妙に傾いているということは少なくありません。しかし、肉眼で見てはっきりと傾いているのが誰にもわかるというのは、それはかなり傾いているということです。 その家に、Eさんは、800万円を超える金額でリフォーム工事をさせたのです。Wホームの社長は「Eくんが高額物件の契約を取った」と喜んでいましたが、たいして大きくない家ですから、それだけの額をかけて改築するくらいなら、もう少し出して、解体した上で新しい家を新築した方がよっぽどお施主さんのためです。 私はそれを見て、ひどいことをするなあといやな気持がしました。1000万円近くのおカネをかけてリフォームしても傾いている状態はなおりませんし、それだけの額をかけても、そう遠くないうちに、もはや建替えなければ住めない状態になる可能性は十分あり、中程度以上の地震が来れば倒壊する可能性が高いと思われます。 「○○さん、リフォームをやっているうちがこういうことを言うのは変だと思われるかもしれないけれども、実際問題として、リフォームで払ってもらう金額にあともう少しだせば建て替えることができると思うのだけれども、その方が得のように思うのだけれども。」という話を一度はするべきと思います。 工事が進んできたとき、その家のお施主さんが「Eさん、この家、なんか、ちょっと傾いているように思うんだけれども。」と言いだしました。Eさんは「傾いてないですよ。どこが傾いてますか。ぜ〜んぜん。」としらばっくれました。この男、こういう営業やってきたんだなと思いました。Wホームの社長のHさんは「Eくんが高額物件の契約を取った。Eくんは高額物件が得意だ。」と賞賛していましたが、私は、これは実質上、詐欺だと思います。あまり倫理的な営業ではありません。

   私が勤めてきた千葉市中央区鵜の森 の新華ハウジング有限会社 で、住宅展示場を持っているある程度知名度のある住宅建築会社に勤める営業の知り合いから、その会社にきた見込客を紹介してもらって契約にもっていこうとする営業Kがいました。 紹介する方の営業の会社では、金額の上で、成り立たないお客さんであり、それでも、家を建てたいという人なので、そのお客様の出せる額で建てることのできる会社を紹介した、というケースだと聞きました。
   どうなのだろう、とその時は思いました。 今も思っています。
   あくまで、その会社では建てることのできない見込客を紹介しているのであって、その会社で建てることのできる見込客をまわしているのではないというのですが、それでも、問題が発生しないか、どうなのだろう、と思いました。

   ひとつには、会社の経営者、特に、住宅屋のオーナー経営者というのは、猜疑心の強い人が少なくないのです。 又、周囲の従業員にも、しょーもないことを告げ口する人もないとは言えません。 I 社にいた時も、「イヌ」(⇒経営者が気に入らないと思う従業員に、経営者よりも先に、突っかかって行って、ワンワンワンワ〜ンと吠えかかることで経営者から優遇してもらうことを習慣としているイヌ人間)・「草」(⇒日頃は、各営業所に所属して、一般の従業員と同じように仕事をしているが、実は営業本部長の隠密であり何かと情報を送る。営業本部長は「草」が送った情報が事実と異なる場合は「草」の情報を信じる。 役職はヒラかヒラの上くらいであるが営業所長よりも実質上権力を持っている。会社が定めた昇進条件を満たしていないのに昇進したり会社が定めた降格条件にあてはまっているのに降格しなかったりすることがある。)・「ひまわり」(⇒経営者、もしくは、営業所長と経歴〔学歴・職歴〕が似ているなど、経営者もしくは営業所長の好みのタイプであるため、条件のよい場所に配属されることが多く、条件の悪い営業所の者と営業成績が同じなら条件のよい営業所の「ひまわり」の方が高く評価される。別名「長嶋みたいなヤツ」とも言われる。)などがいた。 私はどうであったかというと、「わしゃ、日陰の月見草や」というところで、I D野球で「ひまわり」をやっつけてやることを生きがいに思っていた。 〔⇒「YouTube-1995ヤクルト優勝ダイジェスト」http://www.youtube.com/watch?v=IoxHulKNqJ0 、「YouTube-1997ヤクルト優勝ダイジェスト」http://www.youtube.com/watch?v=7FmsE5Ah7yM〕 微妙なことをすると、「草」が何か情報を送る可能性があり「イヌ」が突っかかって来る可能性もあるノダ。 資金計画の上で、その会社では建てることのできない人をひと回り安い金額で建てる知り合いの人間が営業をやっている会社に紹介した、としても、それが本当であったとしても、猜疑心の強い経営者や、「イヌ」「草」「ひまわり」がそれを信じるかどうかは別問題である。
〔新華ハウジングにいた人で、「前の会社にいた『茶坊主』が」と言う人があったので、「『茶坊主』て何ですか」ときくと、「社長の茶坊主だよ。いたんだよ。社長に茶坊主するやつが。」と言うので、「茶坊主」のいる会社もあるのかと思いました。 会社って、いろいろな動物というのか植物というのかがいるところみたいですね。〕
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(↑ さいとうたかを 原作・岡村賢二『新 影狩り』〔「乱ツインズ」2013年2月号 リイド社〕 )

   もうひとつ、その紹介した側の人は自分の会社の商品について、十分に理解していたのか、という問題がある。自分が扱っている商品について愛情というのか愛着というのかは持っていなかったということなのか、という問題がある。 石の森章太郎の『ホテル』という漫画がある。「プラトンホテル」というシェラトンホテルかヒルトンホテルがモデルかと思われるホテルとその従業員の話である。 いつ読んだものか忘れたが、取引先からプラトンホテルでの宿泊予定を取ってもらった客が「バカ高いカネばっかりとって無駄なところに費用をかける金持ちにゴマをするろくでもないホテルだろう」と思い実際にそう口にするが、宿泊してプラトンホテルの対応を見て、そうではなかった、自分のサービスについて責任を持って仕事をし自分がおこなっている仕事に自信を持っている者はそれに見合った金額をつけるということだと考えを改めるという話があった。 紹介した人が勤めていた会社の商品の金額で建てることができない人でも建てることのできる会社がある、ということは、紹介した側の会社は暴利を取っているから高い金額になっているのか、無用の長物を取りつけているから高いのか、紹介された側の会社は手抜き工事をおこなっているから安い金額でできるのか、そうでなければ何なのか・・ということにならないかという問題。
   私が慶應義塾大学に行っていた時、「近代思想史」という科目で講義の時に教授が話された話だが、パリのセーヌ川沿いに古本屋が何軒かでていて、その教授がパリに留学されていた時、古本屋をのぞいて見てまわっていた時、同じ本が2軒の古本屋で異なる金額がついていたことがあり、高い方の額をつけている古本屋に、向こうの店はもっと安い額をつけていたよと言ってみたところ、その店のおやじは怒って「おれは泥棒じゃない」というようなことを言ったという。高い方の額をつけていた古本屋のおやじは、この商品ならどういう価格が適しているか、どういう金額とするべきか自分がよく考えてその額をつけたのであり、ひとがどういう値段をつけようが、おれはこの商品にこの値段をつけているということ、この商品はこの額だということについて絶対の自信があるんだ、ということであったらしいという話でした。
   もし、自社がつけている金額が適切であるという自信があり、かつ、自社の商品の内容が適切であるということに絶対の自信があるならば、それより安い値段で施工する会社があっても、ひとさまの商売にどうこう言うことはないであろうし、見込客が自分でそちらに行くのであればいたしかたないが、営業担当者の方から、安い会社を紹介するという気にはなれないはずではないのか、という問題。
   自分の会社の商品が間違いなく良い商品だと住宅建築請負業の会社の営業が思っているならば、ひと回り安い会社を紹介するのではなく、1坪か2坪か小さい延べ床面積でそれでも使える間取りを考えて提案するのが仕事ではないのか、それでは納得いかないとして安い金額で建てる会社に見込客が自分で行く分はしかたがないとしても、営業が安い知り合いの会社を紹介するということは、自分が勤めている会社の商品の良さを理解していないから、自分の会社の商品に愛着をもっていないからということはないか、という問題。

   そして、会社がではなく営業担当者が「安い会社」を紹介して契約させて、契約後に問題は発生しないか、発生した時に、紹介した側の会社は責任とらなくてよいのか、という問題。 「営業担当者が勝手に紹介しました」ですむのか?という問題がある。 
   今は昔、1980年代前半、桑田・清原がまだPL学園の生徒であった頃。 川崎市幸区のアパートに住んでいた時に来た新聞の拡張のおにいさんが、「日経とってくださいよ。 ガラの悪いやつだとお思いかもしれませんが、ガラの悪いやつと契約しても、間違いなくきちいいーっとした日経新聞が届きますから。これは約束します。決して、ガラの悪い日経新聞が届いたりいたしませんから。間違いありません。」と言ったことがあった。その時は、特に何とも思わなかったが、その後、自分が営業の仕事を経験してみると、面白いにいさんだったなあと思うし、今なら、その営業努力・営業トークを評価して「座布団1枚」として日経新聞3カ月でもとって悪くないように思う。それで、新聞の場合は、そのおにいさんが言うように、たとえ、ガラの悪いやつと契約しても、「ガラの悪い日経新聞」ではなく「きちい〜っとした日経新聞」が配達されるであろうけれども、住宅建築の場合は事情は違う。

   契約した会社が倒産した、もしくは、事実上、倒産した、すでにいくらかカネを払っているのに、工事をやり終えないでそのまま放置されている、どうしてくれるんだ・・・という話は、四六時中発生しているわけではないが、ありえないことはない話である。私が 在来木造の I 社に入社した頃、1992年、見込客から「住友林業が10年保証・20年保証というと保証してくれるのかと思うが、 I 社に10年保証・20年保証と言われても、I 社が10年後にあるという保証はないですよね」と言われたことがある。 だから、財閥系の会社・大手有名会社の系列の会社の方がいいと思う人はいるようだが、財閥系の会社がなくならないということはない。 三井木材工業が「三井ハウス」という名前で在来木造の家を作っていたが、「三井」で建てたい「在来木造」で建てたいという2つの条件の見込客には人気があったはずだが、三井木材工業は住宅建築をやめてしまったらしい。財閥系とか大手企業の系列とかでも、会社がなくなる可能性、会社はなくならないが住宅建築業をやめてしまう可能性というのはないとはいえない。三井木材工業だけでなく他にもそういう会社はある。
   もっとも、三井さんなら、たとえ、住宅建築業をやめたとしても、会社がなくなったわけでもないし、契約金をもらったもの、工事途中のものは、最後まで完成させるというくらいはやるだろうが、小さい個人経営の会社の場合はわからない。 そういう不安があるので、リフォーム屋の場合、保険のシステムを使って、リフォーム会社が何社もが加入して保険料を支払い、もし、顧客が頼んだ業者が工事途中に倒産することがあった場合、その地域の他のリフォーム会社が引き継ぎ、完成まで工事をおこなって引き渡し、お施主様に迷惑をかけることはないようにする、というシステムがあり、私がかつて勤めたWホームはそういうものに加入していた。 新築の会社とリフォームの会社ではリフォームの会社の方が小さい会社が多いことからそういうシステムもできているらしい。 新築の場合で、そういうシステムもなければ、もしもの時のことを考えれば紹介する側は相当に不安であるはずだ。 昔、賃貸の不動産会社某社にいた時、某社は人使いが荒く従業員の愛社精神がなかったので(そういう会社は多いが)、「この人、入居させて、後から問題でても、その時、私、もうこの会社にいないもお〜ん」と言っていた営業担当者がいたが、家1件建てる話は、賃貸アパートの入居者がどうという問題以上であろう。

   契約した会社が倒産した、もしくは、事実上、倒産した、すでにいくらかカネを払っているのに、工事をやり終えないでそのまま放置されている、どうしてくれるんだ・・という話は、四六時中発生しているわけではないが、思っていたものと異なるものができた、約束の時日までに完成しない、今まで住んでいた借家を出ることになっているのに引っ越せない、約束したものと異なるものがついている、取り替えてくれと言っても対応しない・・・等はよく聞く話である。
   そういったことを考えると、私が紹介する側なら、ある程度以上のカネでももらわないと紹介などできない話であるし、「ある程度以上のカネ」をもらったのでは勤めている会社から悪くすると懲戒解雇になる可能性もある・・・となると、もしも「不動産屋系」の人なら平気かもしれないが、私なら、あまり紹介したい気持ちにはならないしなれない。それを紹介しようという人は「不動産屋系」の人か?ということになる。

  紹介される側の営業担当者としては、やはり、紹介してもらって契約があがるなら契約があがった方がいいが、オーナー経営者みずから営業をやっているというケースならともかく、雇われて仕事をしている従業員の営業の場合には、他社に勤める友人から見込客を紹介してもらって自社で建てさせて、自社がまともな対応をしなかった時、どうなるのだろうという不安は感じるはずだ。 感じなければ無責任である。
  昔から、「友人に自分が勤める会社で家を建てさせると友達なくす」という話があった。 その会社が大手有名企業の場合、その「友人」も、「子供じゃないから、自分で判断して決めたのだから」と考え、「友達なくす」ことにはならないこともある。 しかし、オーナー経営の小規模の会社の場合、そうもいかない可能性がある。

  紹介される側の建築屋の経営者としては、利益につながる以上、紹介してもらえた方がよいだろうが、うまくいかなかった時どうなるかを考え、それにみあった責任感を持って対処しなければならないものであるが、すべての経営者がそれだけの責任感を持っているとは限らない。 相当にかる〜い経営者もいるし、ハワイでバカンスするのが経営者の仕事と思っているような経営者もいるようだ。福島第一原発の事故が発生すると、従業員には福島県に仮設住宅の工事に行かせ、「ホットスポット」の葛飾区水元の工事に行かせ、「ボランティアやれ、ボランティア」とか言って粉塵の舞う宮城県石巻市あたりに行かせて、社長と社長の嫁はんと社長の子供だけ「放射能こわいよね〜え」とハワイに避難する「社長の家族の笑顔って最高です」という経営者もいる。 

  どういう経緯であれ、契約はあがった方がいいのであるが、自社の住宅展示場に来場された見込客を他の会社に紹介して契約させる、他社の住宅展示場に来場された見込客を紹介してもらって契約する、というのは、問題がでないか、問題が発生した時にどうなるか・・・相当に不安を感じるものでもあるのは間違いない。 紹介した側の営業も、紹介された側の営業も、紹介を受けた側の経営者も、もしも、何の不安も覚えずにやっていたならば、それは無責任であろう、と思う。 お施主様と直接接する営業担当者はお施主様にいい家を作ってあげたいという気持ちになることが多いが、経営者はカネになるかどうかがアタマの大部分をしめている場合が少なくないようで、他社に紹介したりされたりするという場合も、営業担当者には不安を感じない人は比較的少ないと思うが、経営者には軽い人もいると思う。
  
  紹介してもらった側の社長は「紹介した方の営業はその会社では建てられないお客さんを紹介しているのだから悪いことしていない、紹介してもらう会社の営業と紹介して建ててもらう会社は契約をもらえるのだからいいことだし、お客さんは、前の会社なら資金的に建てることができないものを、それより安い会社を紹介してもらって建てることができるようになるのだから、お客さんのためにもなる」と思っているらしいが、もし誰からもそう見てもらえるのならよいのですが、実際問題として、それは、上の方でご紹介した、在来木造 I 社の神奈川県の営業所にいた元・不動産屋のおっさんがやっていた I 社にきた見込客をせっせと知り合いの工務店で契約させていたということとはっきりと境界があるかというと、実ははっきりとした境界なんかないのです。 その元・不動産屋のおっさんにしても、 I 社で契約してもらおうとしても難しい方の見込客を知り合いの工務店に紹介して、知り合いの工務店で契約させるのは難しいが I 社でなら契約してもらえそうという人は I 社で契約してもらうようにしていたのです。、「せっせと知り合いの工務店で契約させた」というのは、その人を見て否定的に感じた人がそういう表現をしたということで、本人にきけばそういう表現はしなかったでしょう。 
  「紹介した方の営業はその会社では建てられないお客さんを紹介しているのだから悪いことしていない、紹介してもらう会社の営業と紹介して建ててもらう会社は契約をもらえるのだからいいことだし、お客さんは、前の会社なら資金的に建てることができないものを、それより安い会社を紹介してもらって建てることができるようになるのだから、お客さんのためにもなる」と紹介してもらって契約してもらった側の会社の社長は思うかもしれないが、たとえ、その通りであったとしても、自分の会社の展示場の来場客を他社に持っていかれた会社の経営者がそう思えるかどうかは別の問題。うちの展示場に来た人を紹介されて契約したのなら、紹介料としていくらいくら払えと言いたくなるのではないのかとも思えます。
   住宅展示場を持つA社の営業αが、A社よりX百万円安い金額で同じものを施工するB社に、A社の住宅展示場に来場した見込客Pを紹介して、B社で契約させB社が建築したとする。A社の営業社員の給与は「基本給+歩合給」で、B社は謝礼としてαにA社の歩合給部分と同額の「バック」を渡したとする。なぜ、B社はA社よりも同じものをX百万円安い金額で施工できるかというと、「住宅展示場の出展費用+営業社員αの基本給部分」がかかっていないから、その分だけ、A社よりB社は安い額で施工できる・・・のではないのか、ふざけるな!とA社の経営者が考えたとして不思議なことではない。A社の営業αが、B社に紹介しなければ、B社は「住宅展示場の出展費用+営業社員αの基本給部分」の費用をかけずに契約することはできない、建築することはできないのであるから、B社もA社と同等の価格で建築するしかないことになり、A社はわざわざ営業社員αの基本給部分を支払って、自社で契約してもらえる可能性のある見込客Pを失った・・ことにならないか・・とA社の経営者は考えてもおかしなことではないことになる。

   自分の会社の住宅展示場に来た見込客を、自分の会社で契約してもらうのは困難だから友人がいる他社に紹介しよう、そうすれば友人が契約できるだろうという姿勢がよいかというと、それも少々疑問に感じます。  「千代の富士からの八百長の依頼を受ける力士みたい」 という感じもします。 営業というのは、結果がどうであるかにかかわらず、最後まで自分の会社で自分の会社の商品を契約してもらおうとするものではないのか。 かつて「週刊ポスト」か「週刊現代」かのいずれかに載っていた話ですが、北天佑の弟に暴力をふるって後遺症が残る大ケガをさせて逮捕も起訴もされない“国民栄誉賞横綱”千代の富士は相当に八百長を多くやっていたらしく、53連勝とか優勝31回とかは八百長が相当影響しているらしい。 但し、八百長を多くやっていたからといって千代の富士が弱かったわけではなく、むしろ相当に強いので、千代の富士から八百長を頼まれた力士は、どうせ真剣勝負しても勝てないのだから、それなら八百長で負けてカネをもらった方がいい、と考えてうけることが多かったらしい。自分の会社で契約してもらおうと最後まで努力してもその見込客に自分の会社で契約してもらうことは難しいから、それなら、ひと回り安い金額で建てる同業他社の友人に紹介した方がいいと思って紹介する人間というのは、どうせ千代の富士と真剣に勝負しても勝てないのだから、それなら八百長で負けてカネもらった方がいいと考える力士のようなものではないのか。たとえ勝てなくても、それでもなんとか倒そうと立ち向かうのが力士・相撲取りと違うのか、たとえ自社で取れないとしても、それでも最後まであきらめないのが営業と違うのかという気もするのだがどうだろう。 「週刊現代」に載っていた元・若の鵬の話によれば、稀勢の里は筋がね入りのガチンコ力士で、カド番の琴欧州が八百長で負けてくれと恵那司を仲介に頼み最後は800万円払うとまで言っても、「やかましい。向こう行け」と怒鳴りつけたそうな。 相撲の力士にとっては何としても白星は欲しいもの、住宅屋の営業にとっては契約はなんとしても欲しいもので、相撲取りにとってはカド番の友人はなんとか助けてやりたいという気持ちになるのが人情で、住宅屋の営業としては自社で契約してもらえない見込客なら同業他社の友人の成績になった方がと考えるのも人情でしょう。 自分も友人も常に困ることなく契約をあげることができればよいのですが必ずしも常に「絶好調」とはいかないことを考えると、「やかましい。向こう行け」とはなかなか言いずらいところがあるとは思うのですが、それでもやっぱり、かなわないと思えても、それでも、なんとか倒そう、最後まで自社で契約してもらおうとするものではないのか。 「ありゃ、うちの会社では取れんわ」と思ってしまっては、成長が止まるのではないのか。
   何かの雑誌に載っていた話だが、長嶋茂雄という人は正直なところのある人だったらしく、大洋ホエールズの投手・平松政次のシュートに凡退してベンチに戻ってきた時、阪神タイガースの江夏豊のストレートに凡退してベンチに戻ってきた時、正直に「ありゃ、打てんわ」と口にしたらしい。 その時の監督・川上がそれを聞いて、「きみには江夏のストレートを打つだけの給料を払ってあるはずだ。」と言ったという。 私が最初に覚えたプロ野球の投手の名前は江夏だった。 平松こそ最高の巨人キラーであり、1970年前後の巨人に強い大洋を象徴する投手だった。だから、簡単に打てないのはしかたがないとしても、監督の川上としては「ありゃ、打てんわ」と言われたのでは困る。巨人の3番や4番を打つ打者ならそれを打ってもらわないとということであったのだろう。 「ありゃ、取れんわ」と思って、他社の友人に譲ったのでは、営業としての成長が止まるのではないのか。井上靖の『あすなろ物語』(新潮文庫)には、伊豆地方には翌檜(あすなろう)という木が生えていて「あすは桧になろう、あすは桧になろう」と思い続けているがいつまでたっても桧にはなれない。しかし、それでも「あすは桧になろう」と思い続けていると書かれている。 なぜ、売れないのか、どうしたら売れるのか、と考え続けることによって営業力はつく。 営業が評価されるのは契約があがった時であるが、営業力がつくのは契約があがらない時になぜ売れないのかどうしたら売れるのかと考えることからである。自社では契約してもらえそうにないと思った人でも、なんとか契約してもらえる方法はないかと考え続ける姿勢を放棄したなら、その時の契約実績は変わらなくても後の契約成績に影響することは考えられないことはないように思える。

   私は、木質系K社にいたとき、兄弟の職場の同僚に契約してもらい、その家を完成・引き渡しする前にK社を辞めることになり、不義理なことになってしまったことがある。 その後、勤めた在来木造 I 社では、別の兄弟にI 社で家を建ててもらったが、 I 社は「従業員の親戚の家には新人を回すことになっている」と言い、 I 社の仕事が初めての設計担当、I 社の仕事が初めての大工、ボード屋の仕事が初めてのボード屋(≒しろうと?)、そして、私に転勤を命じて引き継ぎの営業担当として入社1年目の営業をつけた。 K社に在籍中、親の住む家の補修工事をK社でおこなったが、その際、K社では、工事担当に「従業員自宅につき、特に配慮した工事要」と工事指示書に記載し、「従業員の親御さんの家なので、特にきっちりと工事をやるようにと言われています」と工事担当は言ったと聞いたが、I 社では「従業員の親戚の家はすべて新人にさせるのが I 社の伝統です」と言った。 但し、その後、転勤で行った福島県浜通り地域では所長が自宅を I 社で建てていたが所長の自宅はその地域で最もベテランで信頼の高い大工が担当していた。 設計担当は敷地の面積を間違え、解体して地縄を張ると屋根が敷地からはみ出す事態になり、私が工事は待ってもらって図面を検討しなおしてもらうべきだと言ったが、I 社は強引に工事を進行しほとんど屋根のない家を作ってしまった。 引き継いだ新人の営業担当は、1度住宅金融公庫を申し込んだ後、金利が下がったため申込みをやり直した方が有利である時に何と言ったかというと、「申込みをやり直すのはめんどうくさいですから、前の申込みでやりましょう」(原文の通り)と兄弟の家に言いに行った。(「めんどうくさいですから」などと言うヤツ、仕事しなくていいよ、そんなヤツ。) I 社の紹介した解体屋は、隣家とつながっている塀を解体する際、隣家との境をカッターで切ってその上で引っ張るべきところを切断せずに引っ張ったため隣家の塀まで破壊した。その事を「先輩社員」に話したところ「カッタ―で切って引っ張るより切らずに壊して後から隣の塀を直した方が手っ取り早いからそうするのが当たり前」と言われた。(そんなバカな話はないと私は思う。) 工事が進むと近隣営業所の営業が見込客を連れてきて、すでに床を貼った家に連れてきた見込客とともに土足で上がった。 当初の予定通り建てたのでは、屋根は一方の道路側と一方の隣地側(東西方向)にはみ出すことになったが、一方の道路側ともう一方の隣地側(南北方向)には敷地は十分あるので、狭い側だけ軒をカットするか、当初、寄棟屋根で考えていたものを切妻屋根に変更して寄棟ならはみ出る側(東西方向)を妻とするという方法が考えられたが、設計担当は未熟で、寄棟屋根の2方のみ軒をカットすると見た目がよくないという観念が強く最終決定は施主がするものという認識が欠落している「建築家」タイプ思考の者であったことから、東西方向のみカットして南北方向は従来の軒の長さとする方法、切妻屋根に変更して寄棟屋根なら軒がはみ出る東西方向を妻とするという方法を検討することもなく工事をはじめ完成してしまった。 私は、営業本部長に、設計担当のミスで軒のない建売の家みたいになってしまったことを言ったが「建築というものはすべてうまくいくということはないから」と、設計ミスがあっても建築会社が悪いのではなく施主が悪いかのように言われた。 こういう経験があるので、私は、基本的には、あまり親戚や友人・知人を自分が勤める会社で建てさせたくないのだ。 
〔  親戚・友人を自分が勤める会社で契約させたくない理由はもうひとつある。 基本的には他人さまに契約いただくのが営業であり商売であり、それでも親戚・友人が契約したいと言ってくれるのなら契約してもらって悪いことはないが、基本としては営業というもの商売というものは他人さまに契約いただくものだということがある。「 生命保険の営業などで、売れない営業が親戚・友人の契約を取る」という話があるが、私は、それは逆ではないかと思っている。「売れない営業が親戚の契約を取る」のではなく、「親戚の契約を取ろうとするから売れない営業になってしまう」のではないのかという気がしている。営業とは、基本的には他人さまに契約いただくものという認識が欠落しているか不足しているから「売れない営業」になってしまうのではないのかという気がしている。
  又、従業員に親戚・知り合いの契約ばかり取らそうとして求人・採用する会社は、それは求人の形を取った契約獲得活動で求人ではない。〕
   こういった、過去に自分が勤める建築会社で親戚や親戚の同僚に契約してもらって痛い目にあった者としては、同業他社に勤める友人からその友人の勤める会社に来場された見込客を紹介してもらって自分が勤める会社で契約してもらい建ててもらうというのは、私なら相当に不安を感じる。
   私なら相当に不安を感じるものでも、それでも紹介しよう紹介してもらおうと担当が考え、そして、何事も問題が発生せずに少なくとも完工・引き渡し・入居まで行くのであれば、どういう経緯であれ契約はあがった方が営業の仕事をする者は評価されることになる・・・かもしれないが、私なら、自分がオーナーでない小規模会社に紹介をもらって契約してもらうというのは、やはり相当に不安を感じる。
    地域によっては共同出資会社や提携会社が営業・施工していた I 社の群馬県の共同出資会社の場合、 I 社直営営業所の営業担当者が契約まで持って行った顧客の家を共同出資会社が引き継いで契約・施工する場合、群馬県の共同出資会社では、引き継ぐ営業担当は各営業所の所長、設計担当はある程度以上経験のある比較的評価の高い設計担当者を配置するようにしていた。 そういう配慮をする能力と覚悟がある経営者かどうか。

   私が I 社在籍時、I 社では「オリジナル客」(本来的に I 社に志向が強い見込客)と「ポテンシャル客」(当初は他社志向でも工夫次第で I 社で契約してもらえる可能性もある見込客)ということを言っていた。本社の者は来場客数と契約数を比較をして見るが、来場客数が多くなくても「オリジナル客」数の多い展示場は契約はあがりやすく、「ポテンシャル客」の比率の高い営業所は工夫次第、「ポテンシャル客」ですらない見込客しか来てもらえない展示場でも営業はなんとか契約をあげる努力をせざるをえない。《「ポテンシャル客」ですらない見込客》がほとんどの展示場にいたことのある者としては「《自社で契約してもらうのは難しい見込客》(≒「ポテンシャル客」ですらない見込客)を他社にいる友人に紹介している」という者を見ると、けっこうな御身分と見えるし、他社にあげるほど見込客に余裕があるなら、その展示場には配属する営業社員の数を増やせばもっと多く契約をあげることができるのではと一般的な経営者は考えるのが普通であろう。
  又、通常、紹介してもらって契約になった会社は、紹介した者に「バック」を渡すし、たとえ「もらっていない」と言っても、オーナー経営者の一族の者がやった場合以外は、信じらてもらえない方が一般的である。それゆえ、私ならそういう紹介はしないし、紹介しようという相手を見るとあまり堅実な営業ではなさそうという印象を持つことになる。 (2013.1.12.)

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キョーテックス
2013/04/16 18:19

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